第14回 固定5指のポジションで、いろいろな曲を弾こう♪
お元気でお過ごしですか?
ピアノランドフェスティバル、夏の女神山合宿が終わり、コード塾6期の講義がスタートしました。
ちょうど今回のテーマである固定5指のポジションで弾くソロ曲、「カンガルーのニーナ」をピアノランドフェスティバルで演奏したので、その映像もご覧いただきながら、5指のポジションで学びたいことや曲について書いていきます。
5本の指をストレスなく自由に使える、ということは、ピアノを弾く上でとても大切なことです。
5指をきちんとコントロールするために、ピアノランドメソッドでは“二段階導入法”で様々な準備をしてきましたが、そのことが、ピアノを弾く段になって功を奏します。
少ない音数を扱う段階で、発音のタイミング、音質、音量、バランス、表情等を注意深く聴き、音楽を自分のコントロール下に置くことができていれば、音数が増え始めても細かいところに注意を向けることができます。
もし、固定5指のポジションを演奏しているときに上手くいかないことがみつかったら、〈聴く〉〈歌う〉〈見る〉〈動く〉柱のどこに問題があるかを見極めて、ポジション移動に進む前に、その部分をケアしてから進みましょう。
先に行くことが目的ではなく、美しく音楽を奏でることが目的となりますように!
目次です。
●音楽の表情をだすために、アーム、ハンド、フィンガータッチを使い分けて
●「がんばれうんどうかい」で3つのタッチ登場! 休符を聴く練習も
●3拍子の「まーちゃんのバナナ」、6/8の「オバケやしき」です
●ステージでは、グリッサンドも! ピアノランドフェスティバルから「カンガルーのニーナ」
●音楽の表情をだすために、アーム、ハンド、フィンガータッチを使い分けて
ピアノランドメソッドでは、はじめから音楽の表情を表すことを大切にしています。
音が並べられるようになってから強弱や表情をつけるのではなく、はじめから音楽として表現する習慣をつけたいものです。
そのためには音楽上の言葉遣いとも言える「アーティキュレーション」に対するセンスを磨くことが大切と考え、ピアノランドでは先生の伴奏パートの中に様々なアーティキュレーションの手本を散りばめ、子どもの感性を刺激しつづけていきます。
これから子ども達が出逢う様々な演奏法、テクニックが、いつも隣りにいる先生の伴奏パートの中に!
この、〈聴く〉経験は何ものにも変え難く、「一人で100回練習するよりも、上手な人と1回合わせた方が上達する」と繰り返し言いつづけてきたことでもあります。
先生の呼吸、タッチ、ちょっとした強弱変化のニュアンス、ペダル使い、和声感覚、リズム感、何もかもが子ども達への贈り物となることを忘れず、伴奏していただけたら嬉しいです。
連弾するたびに、子ども達の耳が開かれていくことを忘れずに!
アーティキュレーションを弾きわけるために必要なタッチを、『プレ・ピアノランド』3巻の後半で大まかにまとめています。
1)すでに習って演奏できるタッチを改めて言葉としても認識する
2)机の上で動きを確認する
3)例題曲で演奏、音色でも確認する
4)様々な曲中でタッチを選び、組み合わせて、音楽的に表現する
上記の流れを、3つのタッチ別に見てみましょう。
アームタッチ
1)黒鍵だけの「きかんしゃ」や、「どどどど どーなつ」「たぬきのたいこ」他で演奏したシンプルな動きを思い出しましょう!
2)机の上でアームタッチの動きを確認する 『プレ・ピアノランド』3巻 p.43
3)「カミナリだいこ」(上記の例題曲)で確認する
4)「おさるのかごや」「ドキドキブギ」(『ピアノランド』1、2巻、『ピアノランドコンサート』上巻)等で応用する
ハンドタッチ
1)しずくのようなスタッカート「おそらのなみだ」、軽い同音連打で「どんぐりこぞう」他で、手首を柔軟に使い演奏しました。
2)机の上でハンドタッチの動きを確認する 『プレ・ピアノランド』3巻 p.42
3)「へいたいさん」(上記の例題曲)で、音価による手首の使い方、音色の重さ軽さを確認する
4)「おさるのかごや」「リズムをたんたかたーん」「がんばれうんどうかい」「カンガルーのニーナ」(『ピアノランド』1、2巻『ピアノランドコンサート』上巻)等 で応用する
フィンガータッチ
1)となりあった音のレガート「ひなたぼっこ」、離れた音のレガート「わたりどり」他で演奏
2)机の上でフィンガータッチの動きを確認する 『プレ・ピアノランド』3巻 p.44「ローラースケート」
3)「ローラースケート」(上記の例題曲)
4)「わたりどり」「コアラコアラ」「オバケやしき」「星の砂」(『ピアノランド』1、2巻『ピアノランドコンサート』上巻)等で応用する
●「がんばれうんどうかい」で3つのタッチ登場! 休符を聴く練習も
『ピアノランド』2巻より「がんばれうんどうかい」
♪かけっこ 同音連打の軽いハンドタッチで 拍の表と裏を自然に感じて
♪つなひき 順次進行はフィンガータッチで のぼる気持ちを大切に!
♪うんどうかい 1拍ずつアームタッチで ピッチを感じて歌うように
このように、1曲の中でも音型によって、目指す表現によって、選ぶタッチが変わっていきます。
もちろん、同じ曲でも解釈が変われば様々な可能性が生まれていきます。
子ども達に、表現のためには様々なタッチを使い分ける、ということを教えるのが目的ですから、一人一人の欲するニュアンスを大切に指導していってください。
また、2、3、4、6、8小節目の休符は、いずれも先生の伴奏パートの音型の変化をしっかりと聴いて演奏しましょう。
パートナーの音の動きをよく聴くことで休符が正確に感じられて、生き生きとした表情が生まれます。
●3拍子の「まーちゃんのバナナ」、6/8の「オバケやしき」です!
『ピアノランド』2巻より「まーちゃんのバナナ」
音が向かう方向性、音型と音型の関係を縦にも横にも感じて演奏しましょう。
「バナナ」の「ミレド」は5回も繰り返し出てきますが、そのたびに和声の背景が変わることを意識させるように伴奏してください。
『ピアノランド』2巻より「オバケやしき」
上の2曲はプリモ左手が伴奏の大切な音を受け持っていましたが、「オバケやしき」では単旋律を歌い込むように演奏することを学びます。
どのようにメロディを歌わせたら「怖い」感じが出るのか、工夫して演奏しましょう。
6/8で2拍子の拍子感を意識するためのチューリップマーク、跳躍進行を意識するための矢印等、『プレ・ピアノランド』で学んだことの復習を書き込みました。
●ステージでは、グリッサンドも! ピアノランドフェスティバルから「カンガルーのニーナ」
ピアノランドフェスティバルのステージで、ミュージックデータをバックに弾き歌いをしましたのでご覧ください。
発表会等で(ミュージックデータの)オーケストラと共演するのもとても勉強になります。
弾き歌いではなく、歌う人が別にいても楽しいですね。
1の指の爪でグリッサンドをしていますが、幼児の場合は鍵盤の端にハンカチ等を置いておいて怪我をしないように使うのもありだと思います。
この曲は、実際に歌ってみることで軽いアクセントやスタッカートの表情が出せるので、歌うように弾けばよい、ということが分りやすい曲です。
また、ドを中心とする固定5指のポジションをそのままオクターブ上げて、2オクターブ上げて……と移動するだけなのですが、客席からみるとクロスハンドのポジション移動がとても華やかに見える曲です。
小さなお子さんは立ったまま演奏して鍵盤の前を移動するのも、とても可愛らしいです。
今回は、固定5指のポジションで演奏できる曲を紹介しながら、アーティキュレーション、タッチの使い分けについてまとめてみました。
次回から、ポジション移動に入りますので、お楽しみに!
★動画で使用しているミュージックデータは、オントモ・ヴィレッジのウェブサイトの中にある「ピアノランドの広場」でダウンロードで購入できます。
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