番外編 『ピアノランド』の歌詞が目指すところは♪
ピアノランドの教え方 How to use PianoLand
番外編 『ピアノランド』の歌詞が目指すところは♪

番外編 『ピアノランド』の歌詞が目指すところは♪

みなさん、こんにちは!

今日は番外編として、『ピアノランド』の歌詞の世界をご紹介します。

「教材なのに、こんなに楽しい歌詞で嬉しい」とか、「レッスンが終わっても、子どもが歌いながら弾いていた曲をつい歌ってしまいます。歌詞が好きです」という声をいただくと、本当に嬉しい気持ちで飛び跳ねたくなります。

それはとりもなおさず、私が目指していたこと、苦心したことが伝わったということかも……♪♪♪

 

 

『ピアノランド』を作るときに考えたこと、歌詞についての方針です。

子ども達が最初に触れる音楽なのだから、音楽に合った、美しい日本語の歌詞をつけよう!

四季折々の、日本の自然の美しさや行事を歌詞に折り込もう!

子ども達が大好きな食べ物を主役にしよう!

動物や妖精、オバケやゲームに出てきそうな主人公にも、主役として活躍してもらおう!

そして、子ども達が繰り返し歌うことで心に刻まれる歌のメッセージが、人生を助けてくれるように!

番外編の目次です。

●音楽の始まりは、歌から

●思わず食べたくなる、美味しい歌詞を

●動物も妖怪も恐竜も、子ども達のアイドル!

●自然の美しさ、四季、行事を歌おう

●人生を応援する歌、夢のある歌を♪

 

 

●音楽の始まりは、歌から

自分の身体を楽器として伝えたいことを表現する、それは音楽の原点です。

自ら歌うことでしか得られない音楽の広がり、心の高揚感、言葉があるからこそ伝わる世界を、教育の現場に使わない手はありません。

そのためには、メロディと歌詞の折り合いは、何よりも大切です。

どちらも素晴らしく合ってこれ以外ない!というメロディと歌詞の組み合わせは最強です。

反面、なぜここにこの歌詞が……と思うときの情けなさといったら……。

 

日本の子ども達のために、繰り返し歌いたくなる心に残るような歌詞を、とにかく良質のものを作りたいと、半ば使命感のようなものもありました。

武蔵野音大を出て、作詞/作曲/編曲/演奏/歌の仕事をしながらピアノを教えていた私は、10回20回の書き直しをものともせず音楽業界を生き抜いている作詞家のみなさんに混じって、競作の世界を垣間見ていましたので、そのクオリティを教材に持ち込めたらと思ったのです。

作詞家も作曲家もどちらもアーティストですから、自分の砦は守りたい、直したくありませんから、それを調整するディレクターはとても大変なのですが、幸いにも、私ひとりで作詞作曲を担うのなら、メロディと歌詞が合わないときに、私は私と相談すればよいのです(笑)。

私達は多くの歌に勇気づけられて人生を歩んで来たけれど、子ども達にとっての『ピアノランド』が、そのような存在になったらどんなにステキだろうと、作曲だけではなく、歌詞にも命をかけました。

 

●思わず食べたくなる、美味しい歌詞を

『ピアノランド』1巻、1曲目の「どどどど どーなつ」は、私が一番好きな曲です。

32個の「ど」を、思い切り楽しんで歌い、演奏してもらうために、このような歌詞をつけました。

「ど」という音の高さと、「ど」という音の名前を、とても大切に感じてもらうための歌詞。

たった一音を演奏することの喜びを、歌いながら味わっていただけたら幸せです!

 

みぎてと ひだりて どどどど どどどど

どーなつ どーなつ おいしいどーなつ

かわりばんこに どーなつ どーなつ

 

演奏と教え方は、第10回をご覧ください♪

 

 

「まーちゃんのバナナ」の歌詞を、ゆっくりと、声に出して読んでみていただけますか。

 

バナナ バナナ まーちゃんのバナナ おいしい おいしい バナナ バナナ

 

ありがとうございます! 言葉のイントネーションが、そのまま音の高低に写し取られ、自然に歌になったことが、音符の上下の動きから、楽譜が読めない方にも感じられると思います。

これは、作曲家なら自然と身についている(はずの)もので、歌詞が心に届くためにもとても大切なことです。

ただし、曲調によっては、わざとイントネーションに沿わせすぎない方が印象的でよい場合もあり、そのさじ加減がポイントとなります。

いろいろな曲の歌詞を声に出して読み、実際に歌ってみると、実感していただけると思います。

 

『ピアノランド』2巻より、「まーちゃんのバナナ」
まーちゃんのバナナ

 

演奏と教え方は、第14回をご覧ください♪

 

その他にも、ピアノランドには美味しそうな曲が沢山あるのですが、1曲だけご紹介します。

「チャイニーズレストラン」『ピアノランド』3巻

 

青いサテン チャイナドレスで

大きな皿を次々運ぶ

店の奥から 髭のおじさん

「今日の料理は いかがです?」

 

歌詞だけでも、給仕さんのドレスの質感や料理の匂いや熱々の感じが伝わるように、また、コックさんとテーブルとの遠近感が出るように等、歌詞、メロディ、強弱の関係、そしてもちろんイラストについても全ての関係を考えてデザインしています。

イラストの後ろから覗いているコックさん、「僕が作った!」と言いたくてたまらない様子です♪

この曲は、ぜひ楽譜をご覧になり、ご自身で歌いながら演奏してみてくださいね!

 

チャイニーズレストラン

 

●動物も妖怪も恐竜も、子ども達のアイドル!

ピアノランドに出てくる動物は、犬、猫、たぬき、ウサギ、ライオン、キタキツネ、ペンギン、りす、ネズミ、恐竜、河童、オバケ(動物?)等様々です。

犬や猫以外は動物園にでも行かないとなかなか見ることもできませんが、曲の中に度々登場することで、地球のボスは人間だと人間だけが思っているかもしれないことに少し気づけたらとか(笑)、妖怪やオバケや妖精にも物語以外で出逢って欲しいとか、色々な思いがあります。

 

河童は、日本の代表的な妖怪です。きっと、故郷の川に住んでいたかも!

河童の子どもを助けたお礼に、泳ぎを教えてくれるという物語が、3巻の「かっぱのむかしばなし」です。

 

昔々のことでした お皿が乾いて苦しいと

泣いてる河童の兄弟 「はぁ はぁ」

倒れた河童に子ども達 お水をかけてあげました

川に運ぼう 「えっさ ほいさ」

母さん河童が喜んで 泳ぎを教えてくれました

日が暮れるまで 「すーい すーい」

 

かっぱのむかしばなし

 

●自然の美しさ、四季、行事を歌おう

小学校唱歌も歌われなくなりつつある今日、せめてピアノのレッスンで味わえたらと思います。

初歩の頃には「えんそくだわっはっは」「ごきげんこいのぼり」「がんばれうんどうかい」「メリークリスマス」「ふゆのペンキやさん」「バースデーソング」等、4、5巻では歌詞がなくてもまるで歌詞を感じさせるような「センチメンタル」「秋のエチュード」等、詩的感覚を音色や表現に生かしていくという方向性で作っています。

歌詞がなくても歌うように演奏できたら、本当に素晴らしいですね。

そう、歌詞がなくても歌うように弾くために、3巻まで、たっぷり歌詞をつけて歌うのがピアノランドのやり方です。

 

『ピアノランドコンサート』中巻に、日本の美しい風景と、それを表現する美しい日本語を残していけたらという思いで書いた曲があります。

言葉の意味を調べ、景色を思い浮かべ、風や空の色を感じるように演奏していただけたら幸いです。

 

「森の夕暮れ」

梢を揺らして 鳥が鳴く

お日さま傾き 風が歌う

まるで昨日と同じ 一日だけど

今日は今日だけの 日が暮れるよ

谷間を照らすよ 夕焼けが

水面に映るよ 一番星

まるで昨日と同じ 一日だけど

今日は今日だけの 日が暮れるよ

 

森の夕暮れ

 

●人生を応援する歌、夢のある歌を♪

ピアノランドは、歌詞においても人生の応援歌ばかりと思っています。

例えば、2巻の「だいふくじぞう」の歌詞をご覧ください。

 

山のふもとのお地蔵さんは 大福餅が大好きで

大福餅を供えたときだけ 願い事が叶います

 

そもそも、大福餅を供えたときしか願い事が叶わないなんて、ちゃっかりしたお地蔵さん!と笑ってしまいますが、この曲を何回も歌っていると「願い事が叶います」という、明るい未来への予感のようなものを感じるのです。

これを、レゲエのリズムで伴奏するのですが(笑)、なんだか楽しくて肩の力が抜けて、大好きな曲です。

1回歌うごとに「あなたの願いはなーに?」と質問して「〇〇になりたい!」等と答えると、すかさず、「願い事が叶います!」と最後の2小節をみんなで歌うというゲームを紹介していますが、これはとても評判がいいのです。

ぜひ、やってみてくださいね!

 

3巻の「ともだちになりたい」は、手話付きの合唱曲にもしましたが、多くの方に歌詞を気に入っていただいているNo.1ではないかと思います。

名前を知りたい、というのは、あなたに興味があります、ということ。

名前を教え合い、挨拶し合い、「会えてよかった」と思える関係になりたいと願うことができますように。

 

あなたの名前を教えてください

私の名前は〇〇よ

ともだちになれたらステキね

世界中 私の友達でいっぱい

ハウドゥユードゥー ボンジュール

ニーハオ グーテンターク

こんにちは あなたに会えて よかった

 

演奏と教え方は、第17回をご覧ください。演奏は、なんと小原孝さんと私のピアノランドフェスティバルでの動画がご覧になれます。

面白いのは、小原さんも私も、それぞれに自分の名前を歌っているところで、子ども達にも自分の名前を大切に歌ってもらいたいと願っています。

みなさんも、どうぞご自分のお名前を心を込めて歌ってみてください♪

 

 

最後に、子ども達に一番人気のある歌詞はこれ!

「にげだせロック」(『ピアノランド』2巻)のノリノリの曲です。

連載15回で紹介していますが、歌詞にスポットを当てて、再度お聴きくださいね♪

にげだせロック

 

 

 

番外編、少し長くなりましたが、毎日練習するピアノだからこそ、演奏する度に生きていることが嬉しくなるような歌詞をと願った気持ちを綴りました。

みなさんのピアノ人生が幸せなものでありますように!

樹原涼子

公開日: 最終更新日:2020/02/18

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