第13回 ピアノランド1巻のラストは、6/8を楽しくマスター!
ピアノランドフェスティバルがスタートしました!
名古屋公演、小原孝さんのおかげでとても素晴らしい、心に残るコンサートとなりましたので、その様子を“時々日記”でご報告しています。
ぜひ、この感動を生で味わっていただきたいと思います。
8月7日(金)西宮公演、8月9日(日)熊本公演、8月21日(金)東京公演にお出かけくださいませ♪
このウェブ連載「ピアノランドの教え方」も、さらにご理解いただけることでしょう。
今日は、いよいよ『ピアノランド』1巻のラスト、6/8拍子がテーマです。
『ピアノランド』出版直後、友人からのTELで「出版おめでとう!でも、初歩でいきなり6/8なんて教えにくいから、とばしたよ」と聞いてびっくり! その理由が「だって、4分音符をりんご1個で教えてるから説明できないでしょ、6/8」と言われて、のけぞったときの衝撃は忘れられません。
教えやすいかどうかではなく、どのような順序で系統立てて音楽を教えていくかが大切なのに……。
そのときに、やはりテクニック教材を書いて、先生達が6/8を上手に教えられる下地作りからスタートしなければならないのだと学びました。
翌々年出版した『ピアノランドたのしいテクニック』上巻で、6/8の拍子感の教え方を詳しく書いたときには、多くの方から感謝の声が寄せられました。
さらにそのテキストを3分冊、『プレ・ピアノランド』2巻の中で、6/8にたっぷりページを割いたら大絶賛の嵐だったので、今回はそちらを紹介していきます。(マスターコースや勉強会で大いに盛り上がるところでもあります!)
そう言えば、拍子感を教えるという概念は、昔の教材にはあまりなかったのかもしれません……。
拍子感の指導には、ミュージックデータもとても役立ちます。
iPhone、iPadでも使えるとあって、「ピアノランドの広場」からのダウンロード大好評をいただいています。どうぞ楽しんでくださいね!
(ミュージックデータを再生するためのPhone、iPad用のアプリ、 SOUND Canvas for iOSは現在¥1,800)
目次です。
●メロディをどのように歌わせていくかを、具体的に見せる方法 「かなしいね」
●1巻で6/8! 連弾なら大丈夫!「ごきげんこいのぼり」
『ピアノランド』1巻より 「ごきげんこいのぼり」
日本の伝統的な行事を音楽にしようと思い、この曲を書きました。
左右の1から4までの指で受け渡し、メロディラインをのびのびと歌わせていく曲です。
これまでに学んだ順次進行と跳躍進行を組み合わせたシンプルな音型で、連弾の伴奏パートにのることで自然に6/8の拍子感が表現できるはずです。
それには何と言っても、先生の伴奏に拍子感が必要で、「それさえあれば大丈夫!」とさえ言えます。
(6/8の拍子感の育て方は、次の項目で詳しくご紹介します!)
冒頭の“ミのまわりを飾るような音型”は、3の指を軸にしてリズムを感じながら、指をバタつかせたり打ち込んだりしないで、一息に演奏しましょう。動かしにくい4の指はスッと立つだけ、というつもりで。
「こいのぼり」や「ひらひら」という語感ともマッチさせて、裏拍を軽く感じて6/8らしく歌える歌詞をつけましたから、「歌ってから演奏する」ことでさらに効果が上がります。
前半は2小節単位の下行形の繰り返し、後半は上行形、最後は冒頭の音型でまとめ、分析も楽しく、曲作りの参考にもなるようにと考えました。
そのメロディラインに6度のハーモニーで寄り添うような伴奏パート、そして、拍子感を支えるベースライン。
楽しく連弾してくださいね!
●だから、「拍子感」を教えていきましょう!
さきほど、無理に「りんご」で説明しようとして6/8を教えるのを諦めた友人の話をしましたが、理屈から説明したくなる気持ちをぐっとこらえて、“二段階導入法”の第一段階で6/8を教えるところをご覧いただきましょう。
『プレ・ピアノランド』2巻 レッスン21 6/8びょうしで「やまのぼり」
子ども達は、ミュージックデータか先生の演奏で2拍子系である6/8の拍子感を感じ、まずは、ピアノランド流の“リズムボール”を1小節に2回叩きます。
ウサギのイラストのように背伸びと屈伸を繰り返し、上行下行のエネルギーを感じながら歌い、左ページではト音記号のパートを、右ページではヘ音記号のパートを練習します。
そして、最終的には、先生と子どもで(グループレッスンンなら2組に分かれて)、それぞれのパートを歌いながら踊り、つまり、同時に反行する動きを感じ合うのです。
向かい合って手をつないでもいいし、並んで手をつないでもOK。異なる方向への動きを感じ合うことが目的です。
2拍子の波が上手に感じられたら、ポリフォニーの相手パートを聴く、感じる練習を同時に行なう!と思いついたときは本当に嬉しくなりました♪
ト音記号 ↗︎↘︎↗︎↘︎↗︎↘︎↑↑
ヘ音記号 ↘︎↗︎↘︎↗︎↘︎↗︎↑↑
こうして、身体で6/8を感じた子どもは、「ごきげんこいのぼり」でも、同じ2拍子の波にのって演奏することができます。
6/8の拍子感の育成のコツがお分りいただけたでしょうか?
では、『プレ・ピアノランド』2巻で学んだことを、いよいよ3巻で演奏するところをご覧ください。
『プレ・ピアノランド』3巻 レッスン10 6/8びょうしをひこう! より「やまのぼり」
6/8の曲と4/4の曲を聴くのは、どちらが難しいですか? 歌うのは、どちらが難しいですか?
何の先入観も無ければ同じはずなのに、難しくしてしまっているのは大人なのです。
理屈よりも先に、6/8の拍子感、ノリ、グルーブを体験させれば、音楽的に演奏できる感性が育ちます。
楽典的な説明は、後からでいいのです。音楽は、音楽で教える! これがピアノランドのモットーです。
●メロディをどのように歌わせていくかを、具体的に見せる方法 「かなしいね」
では、最後に短調でしっとりと6/8の回をまとめます。
拍子感を表すには、音の重さ軽さの感覚が必要です。
「ひびきちゃん」の大きさと色の濃さをかえることで、次に弾く音の大きさや音色、質感について連続してイメージできるように工夫しました!
この方法が開発できたときには、本当に嬉しく、ポリフォニー音楽への道がスーッと開けていく喜びを味わいました。
まずは単旋律を完璧にコントロールすることからスタートして、耳と表現のテクニックを伸ばしていきましょう!
先生の伴奏も、繊細にお願いします♪
『プレ・ピアノランド』3巻 レッスン10より 「かなしいね」
多くの方が教えにくいと感じている6/8について、ピアノランドの手法をお伝えしました。
お役に立てれば幸いです。
では、最後に、先生のためのコメントを『プレ・ピアノランド』3巻より抜粋します。
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