ピアノ曲集 風 巡る
発売元:音楽之友社
定価:本体価格1,400円+税【購入】
発行年月日:2017年08月
樹原涼子作曲
菊倍判・32頁 装画 本間ちひろ
樹原涼子、待望のピアノ曲集が、4年振りに出版されました。
この『風 巡る』は、すべての曲が樹原が敬愛する音楽家や心を寄せる人たちに捧げられたもので、歌を2曲含み、バラエティに富んだ作品集となっています。
親愛なる宮谷理香に捧ぐ 巡る(pf)
世界中の子供たちに捧ぐ 夢見る妖精 (pf)
敬愛する舘野泉先生に捧ぐ 天空の風 Celestial Breath(左手のためのpf)
親愛なる春日保人に捧ぐ 僕の故郷(ふるさと)(歌とpf)
故郷に捧ぐ 君が笑えるように(歌とpf)
昔子供だった人に捧ぐ 小さなお伽話(pf)
音楽之友社のWebページにも、本書の案内があり、編集者による紹介文があります。
立ち読みページでは、内容の一部をご覧になることができます。
「巡る」
1995年のショパンコンクールで5位に入賞したピアニスト宮谷理香さんに捧げられており、2017年4月に《樹原涼子》を弾きたい シリーズ トーク&コンサート 第1回 宮谷理香において初演された曲。軽やかにも、またしっとりと表現することも可能な、小節線のない自由さがああります。ペダルを踏み替える深さをコントロールして倍音の残り具合を調節することを促すために、〈ped.〉の記号を用いています。
宮谷理香さんによる、初演時の動画はこちら。(出版前の楽譜で演奏されている)
その後、宮谷理香さんの《樹原涼子》を弾きたいシリーズ トーク&コンサートは大阪、倉敷、熊本でも開催され、「巡る」は多くのファンを得ています。
「夢見る妖精」
世界中の子供たちへの贈り物。楽しげなワルツの揺れ動く和声、モードと調性が絡み合うような中間部。演奏するのも聴くのも楽しい1曲。和音の中の特定の音の強弱を表す記号等の細かな配慮で立体的になります。この『風 巡る』勉強会では常に人気曲で、演奏する人が急増中です。初演は作曲者によるピアノランドフェスティバル。
「天空の風」
左手のピアニストとして活躍されている舘野泉先生に捧げられています。「大気の動きを感じられる曲を。風の音を聴くのが好きで」とのリクエストに、時間をかけて書き上げた1曲。『こころの小箱』の「思い出の小箱」と、『やさしいまなざし』の「ふたり」が、『舘野泉左手のためのピアノ小品集』に収められたことをきっかけに生まれた曲で、2017年11月16日の《樹原涼子》を弾きたい シリーズ トーク&コンサート 第2回 舘野泉において初演され、その後神戸でも演奏されています。
手の平を使ったアルペジオで、スタートと終わりの音を指定する三日月型の記号を用いている。演奏方法は、こちらの動画でレクチャーされているので、参照ください。
「僕の故郷」
樹原涼子と同郷で熊本出身のバリトン歌手、春日保人氏に捧げられています。阿蘇や天草を思い出の地として育ったであろう氏の故郷への思いを作品にこめて作曲しました。2017年8月12日のピアノランドフェスティバル熊本特別公演にて春日保人、小原孝(ピアノ)の演奏で初演されました。2019年には、音楽劇「楽しいわが家」の劇中歌として春日保人氏が出演、熊本市民会館にて上演され大好評を博し、再演が待たれています。(バリトン用の楽譜は、そのまま女声でも歌うことができます)
「君が笑えるように」
熊本地震の直後に、熊本に住む大切な人たちを思いながら樹原涼子が作曲、『風 巡る』に収められました。
音楽には、地震に限らず、台風等の自然災害、心くじけそうなときに、苦難に直面した人を慰め、勇気づける力があります。人の心に寄り添うことができる歌として、多くの方に届きますように。
「小さなお伽話」
昔子供だった人に捧げた愛らしくも不思議な5拍子の小品。この曲集の最後を飾るために出版直前に書かれたもので、軽やかなタッチでの演奏は聴く人の耳と心に深い印象を残します。最後のCmmajor7の独特の響き(アルペジオ記号の中に強弱を指定するための記号を用いています)は子供達にも人気です。
ピアノランドフェスティバルで小原孝氏が演奏、木原浩太氏のダンスとのコラボレーションが話題になりました。
この『風 巡る』の勉強会が各地で開催されています。著者の直接の勉強会も開催中です。
この『風 巡る』の作曲者によるレクチャーコンサートが、2017年9月29日に行われました。その様子はこちら(時々日記)。
2017年 11月 16日(木)には、《樹原涼子》を弾きたいシリーズ トーク&コンサート 第2回 館野泉(カワイ表参道)が コンサートサロンパウゼで開催、2019年4月18日には汐留ベヒシュタインホールで、20日には神戸にて開催され、樹原涼子作曲の左手のための曲が多数演奏されました。プログラムノートはこちら。