舘野泉先生と一期一会のコンサート 胸がいっぱいです

舘野泉先生と一期一会のコンサート 胸がいっぱいです

舘野泉先生をお迎えして、汐留ベヒシュタイン・サロンにて開催した《樹原涼子》を弾きたいシリーズ トーク&コンサート(4/18)。

 

 

舘野先生の音の隅々まで聴こうと、沢山の耳が音の行方に集中している時間は、それはそれはあたたかで幸せなものでした。今回、私の書斎の小さなベヒシュタインから生まれた左手のピアノ曲を、先生にベヒシュタインのフルコンサートグランドで演奏していただいたら、どんなに素敵かしらと楽しみにしていたのは私だけではありません。

舘野先生が学生の頃、芸大で安川加寿子先生の指導を受けられた頃に安川先生のお宅にあったベヒシュタインを思い出されたお話から、「ピアノによって音楽は変わるんですよね」と。本当に、楽器に触発されて作曲をしたり、演奏をしたり、そしておいでくださったお客様もみんな、私たちはピアノの音色に魅せられた種族なのだわと思いました。

 

写真は、「相響く」の演奏。

 

フィンランドからおいでになったばかりの奥様のマリアさんも、客席から嬉しそうに舘野先生をご覧になっていらしたのが心に残っています。今日は、私が両親を思って書いた「ふたり」を1曲めに演奏されたので余計に、お“ふたり”とご一緒できたことが嬉しく感じられました。

 

実は、プログラムとは全く違う順番できままに演奏していただいたところ、思いがけずスリリングだったので(飛行機の中で忘れないうちに!)書き出しました。樹原涼子で始まり樹原涼子で終わるのですが、真ん中にアルゼンチンのエスカンデさんの曲を挟んで、私と同じ熊本出身のピアニスト、作曲家が並びます。

 

ふたり    樹原涼子
想い出の小箱

雫~しずく~ 月足さおり
風の彩

母の胸に 樹原涼子(連弾)

三つの俳句 松尾芭蕉 エスカンデ (初演……のはずだった)

オルフェウスの涙 第3曲 アリア 光永浩一郎

相響く 樹原涼子

季節の三部作 樹原涼子 【初演】
萌えいづるとき
濡れた紫陽花
椿 散る

 

先生に、「(エスカンデさん以外は)みんな熊本の作曲家ですが、偶然ですか?」と伺ったら、
「熊本マフィア」と仰って、どっと笑いが起こったり(笑)。

もう一つ、
「《三つの俳句》は今日が初演のはずだったんだけど、この前弾きたくなって弾いちゃったから初演じゃなくなっちゃった」と仰って、またまた笑いの渦に。

 

 

 

そして演奏が始まると、スーッとみなさんの耳と心が全開になる、楽しい楽しい、素敵な素敵なコンサート。この時間が終わらなければいいのに。

正真正銘の初演、《季節の三部作》は、「締めにしましょう」と仰っていたので、とても楽しみにしていました。リハーサルでも「楽屋にもピアノがあるから」と、私がいるところでは演奏されなかったので、期待が高まり過ぎてドキドキ。

本番を聴きながら、ああ、私が書いた曲だけれど私には表現できないことを、受け取ってくださっているのだわと、全てが報われたような嬉しさに包まれました。これまで書いた左手のための作品の中で、一番苦しみ、一番楽しみにしていた作品です。舘野先生の手にかかると、もう、私が楽譜に書く前から、初めからこう書かれていたのだなぁ、生まれてくる運命だった曲なのだなぁと、しみじみ思いました。

舘野先生、この三部作のタイトルを考えていただいたおかげで、それにふさわしい曲が出来上がりました。ありがとうございます!

 

 

演奏された後に、第3曲の最後のAdagio部分を解説しながら、「樹原さんもこういう曲が書けるようになったんだなぁ」と言ってくださって、思わず心でガッツポーズをしました。

2月末から3月にまたがって作曲したものを、1カ月足らずで初演してくださった舘野先生、本当にありがとうございました!!!

明日(4月20日)には神戸で(中華会館 東亜ホール)にて、同じプログラムのコンサートをいたします。東京でお聴きになれなかった方は、神戸で聴いていただけたら幸いです。

 

 

先日「おんがく交差点」という番組で先生がご紹介された月足さんの《雫~しずく~》はとても美しい曲で、つづく《風の彩》もいつまでも心に残る作品でした。

そして、光永浩一郎さんの《オルフェウスの涙》は、偶然にもこの日にその楽譜が先行発売ということで、素晴らしい作品+舘野先生の演奏に感動されたのでしょう、即売で売り切れてしまったそうです。

こうして、【《樹原涼子》を弾きたいシリーズ トーク&コンサート】とは言え、舘野先生をお招きするには左手の曲はまだ5曲しか書いていませんので、展覧会のように色々な曲を演奏してくださいました。私の心は今、ふくよかな海の中にいるようです。

(ここまでの写真は、満田聡さん)

 

***

ここまでを、コンサート直後、羽田から熊本へ飛ぶ飛行機の中で書いたのですが、その後力尽きて、アップするのが今日(19日)になってしまいましたが、明日20日の神戸での演奏会も頑張りたいと思います。人生には思いがけずいろいろなことが起こりますが、音楽はいつも私を支えてくれて、音楽には感謝しかありません。

写真家の満田聡さんが先ほど写真を送ってくださったので、そうだ! と、力を振り絞って続きをアップ。

 

いつも演奏会においでくださる絵本、童話作家の垣内磯子さんと舘野先生をお引き合わせしたら、もう、こんな笑顔に。

 

お時間の許す方との撮影タイムで、和やかに終了しました。

 

明日も、一番聴いてほしい人に届くように祈りながら、舘野先生を神戸にお迎えいたします。それではまた🍀

 

2019年 4月 20日(土)16:00  中華会館 東亜ホール(神戸)

《樹原涼子》を弾きたいシリーズ トーク&コンサートin神戸 ゲスト 館野泉NEW

出演者:舘野泉×樹原涼子

 

 

樹原涼子
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