第25回 子供達の作曲する力を引き出す、ピアノランド♪
ピアノランドの教え方 How to use PianoLand
第25回 子供達の作曲する力を引き出す、ピアノランド♪

第25回 子供達の作曲する力を引き出す、ピアノランド♪

 

「ピアノランドの教え方」というタイトルでweb連載をしていますが、「ピアノランド」シリーズが出版されて25年(しかも、連載がちょうど25回目!)経ち、ピアノランドの教育の成果はピアノ演奏だけではない、と思うようになりました。

それは、「作曲をする子供が増えつづけている!」ということです。

録音応募プロジェクトの成果は、少しずつ、着実に積み上がってきて、先生方と子供達は進化しつづけています。

 

 

6月から8月にかけてはピアノランドフェスティバルのプレ・セミナーが全国各地で開かれ、ちょうど6回のうち3回が終了、私がピアノランドに託したことが実際に形となってここまできたのだなと、とても嬉しい気持ちになりました。

今回は、作曲部門についてお伝えいたします。

 

 

名古屋、大阪、熊本のプレ・セミナーでの公開レッスンは、出演した子供達、先生方のおかげで本当に素晴らしいものとなりました。(お客様の感想 6/11カワイ名古屋6/26カワイ梅田 カワイ梅田、追加の感想 7/3熊本での感想は準備中で、News欄に掲載予定です)

 

当日のレジメと資料。そして、ピアノランド25周年キャンペーン用の「特製ピアノランドメモ」ができました!

 

当日のレジメと資料。そして、ピアノランド25周年キャンペーン用の「特製ピアノランドメモ」ができました!

 

 

3カ所のプレ・セミナーの公開レッスンを終えた、私自身の感想や驚きのメモを紹介します。

 

作曲部門

録音応募の段階で、選びきれないくらいよい曲が集まっている!

まだ、“二段階導入法”のピアノを弾いていない段階での作曲もある。(これは、昨年もありました!)

単旋律、二声、両手伴奏付き、連弾、歌、歌と伴奏、お話と演奏、組曲等、作曲の内容もバラエティに富んでいる。

メロディのインパクトのあるもの、アイディアが優れたものが増えた。

(歌詞のあるものは)歌詞のセンスが素晴らしく、テーマがハッキリしているものが多い。

和声的に面白い作品が増えた。借用和音、不協和音の使い方が効果的。

ラテン系のリズムや左手のパターン、特殊なリズム等、個性的な曲がある。

生き生きとした作品が増えた。本当に自分の感動を曲にしていて、自由に書いている。

ドリアンモード、ミクソリディアンモード、エオリアンモード等を、そうとは知らずに効果的に使っている作品がある。

小節に縛られない作品も多い。拍子が次々に変わる作品も増えた。(音楽優先であとからどう書くかを考えた結果である)

自分が習っている範囲の音楽的知識や奏法を駆使している。

強弱やアーティキュレーションの書き方が丁寧。

『耳を開く 聴きとり術 コード編』で学んだことがわかる音の積み方(密集ではない)で、ピアノでの響かせ方を工夫している作品も。

タイトルと曲の内容がピッタリものが多い。

作曲した自分の作品が、自分の演奏能力を超えている(ので上手く弾けないが、いい曲を書いている場合が増えた)。

 

 

 

今回の作曲部門では、「あと一歩」の作品には初めて再提出も認め、再審査をすることにして(汗)、さらなる進歩を促しました。

明確な指示がないということは明確なイメージがないということですから、テンポ、表情記号、拍子、強弱記号、アーティキュレーション等の楽語をきちんと書くよう求めたり(ここで素晴らしく変身することが多い)、「タイトルと曲が合っていないのでは?」と再考を求めたり、「前半は素晴らしいのに、後半は何を伝えたいのかな?」とよい部分と惜しい部分を明確に解説したコメントを書いて構成を再考してもらったりと、かなりの時間を費やしました。

 

ある小学生は、季節がテーマの組曲を書いたのに2曲だったので、「いい曲ができたけれど、残りの2つの季節も書いてみたら?」と投げかけたら1週間で2曲書き、四季の組曲が完成しました!

こんなことがあるので、やはり、ついつい一生懸命アドバイスをしてしまいます。

作曲そのものは教えられるものではありませんから、どこがどんな風にステキで、どこがどんな風に惜しいかを、作曲家の目から見て詳細に伝えることに徹して、何年もつづけてきたプロジェクト。

 

今年の公開レッスンでは、作曲の子供達の演奏が終わる度に、どの会場でも“どよめき”が起きました。

そのときの子供達のちょっと得意そうな顔と言ったら!

 

 

次の世代の演奏家のみならず、作曲家が育っていったら……という私の願いは、もう、夢ではなくなってきたなと感じ始めています。

 

たとえ才能があっても、努力がなければ花は咲きません。

努力が楽しくなることが教育の一番大切な部分で、そこを応援するのが先生や保護者の役割かなと思います。

 

よいことばかり書いたように思われるかもしれませんが、今年は本当によい作品が増えました。

惜しいところはそれぞれですが、今年はこんなことが気になりました。

 

「困ったときのグリッサンド」と秘かに名付けましたが、(多分)どうやって終わったらいいのかわからないときにグリッサンドで無理やり終わってしまう作品がある。(可愛いですけど 笑)

小学校高学年以上になると長い曲が増え、アイディアをまとめるのに苦労している。

魅力的な部分とまとまらない部分の落差が、年齢が高い子ほど大きくなる。つまり、もっと知識や技術が必要になってくる。

言葉と音楽をつないでお話風のものを作る子が増えたのはよいが、音楽ではなく、効果音で終わってしまうケースもあり、惜しい。

等々。

 

ですが、「自分で曲を作ってみた」のは素晴らしい経験です。

自分が何かを生み出すことができるというのは、子供達にとって大きな自信になるはずです。

作者として、どのように曲を完成まで導いていくのかを考えたことがある子供は、楽譜の見方が大きく変わります。

子供達からの、「作曲に関する私への質問」もとてもかわいくて面白かったです! が、それはまた別の機会に。

 

 

昨年までのピアノランドフェスティバル出演作品は、pianolandweb でご覧いただくことができます。

今年のピアノランドフェスティバルではどんな作品が選ばれるか、楽しみにしていただきたいと思います!

 

 

連弾部門については、次回をお楽しみに!

 

今後のピアノランドフェスティバルプレ・セミナー、ピアノランドフェスティバルのスケジュールはこちらです。

 

7月30日(土)倉敷の「プレ・ピアノランドフェスティバル in 倉敷」は、ピアノランド育ちの次男樹原孝之介と私の2人のスペシャルコンサートで、歌もたっぷりお聴きいただきます。

この夏、みなさまにお目にかかれますように♪

 

 

 

 

 

 

樹原涼子

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