鳥越由美 CD「やさしいまなざし」予約250枚でいよいよ発売日10/31を迎えます

鳥越由美 CD「やさしいまなざし」予約250枚でいよいよ発売日10/31を迎えます

樹原涼子の曲を『ピアノランド』以来、多くの子供達が演奏してくれるようになりましたが、2011年からスタートした大人のための「樹原涼子ピアノ曲集」も、多くのピアノファン、ピアニストの方達が演奏してくれるようになりました。

そして、丸ごと1冊をCDにしたいというお申し出をいただき実現したのが、
鳥越由美CD 樹原涼子ピアノ曲集「やさしいまなざし」です。

 

 

CD『やさしいまなざし』全11曲 ¥2,500(税込み)

 

この曲集『やさしいまなざし』は2013年に音楽之友社より発行、『こころの小箱』につづく2冊目の私のピアノ曲集で、父に捧げたものです。
曲集のタイトル曲「やさしいまなざし」は、今は亡き父が、病気の母にやさしく食事をさせている姿に心打たれて書きました。

80を過ぎても、こんなにやさしいまなざしを注がれている母は、なんて幸せなんだろう。
やさしいまなざしで世話をする父。
長いこと仕事ばかりしていて、やっとこれから二人で旅行でも……というときに母が認知症を発症して、父の計画は潰えてしまいました。
その罪滅ぼしのように、父は二人暮らしで甲斐甲斐しく母の世話をして、母が施設に通うようになってからも家事をしながら『走れ二十五万キロ 金栗四三伝』という本を書きあげました。(その本は大河ドラマの下敷きになるという、世にも珍しい運命を辿りました)

 

熊本にいる両親の元へ、月に1、2回、時には半月程度も介護帰省するのは大変でしたが、こうして両親が共に暮らす最後の数年間を私も共にできたことは本当によかったなぁと思うのです。

その頃の想いの詰まったこの曲集は、小品11曲で構成されていて、故郷熊本の両親を取り巻く自然や、私の想いを綴ったものです。その1曲めの「ふたり〜左手のために〜」は、舘野泉先生もご自身のCDに録音されていて、私の両親への想いをやさしく奏でてくださいました。

 

 

鳥越由美さんが『やさしいまなざし』全曲レコーディングをすることになったのには、いろんないきさつがありました。
それまで古典やロマン派のものを多く演奏していた彼女が、ガラリと近現代の作品に取り組み始めたことに興味が湧いて、遠く岡山県真庭市迎賓館でのコンサートを聴きに行ったことがそもそものきっかけでした。

過去10年ほど、ピアノランド勉強会の講師として研修に励み、ピアニストとして活躍の幅を広げてきた彼女の最新の演奏を聴こうと、倉敷のピアノランド勉強会仲間である氏峰裕子さんの案内で真庭市を訪れました。その演奏は、私の心に強く訴えかけるものがあり、アンコールには思いがけず「やさしいまなざし」が弾かれました。なんと、私の曲集を彼女にプレゼントしてくれていたのが、氏峰さんだったという!

長く探していた、自分の音楽をみつけたのね〜。
ドビュッシーやラヴェル、グリーグ、武満徹などどれも素敵だったけれど、とりわけ吉松隆がフィットしていて、迎賓館のベヒシュタインの音色にとてもよく合っていました。

 

「東京でも、この演奏会をやらない?」

そう誘って、2019年の9月29日、汐留ベヒシュタイン・サロンで「鳥越由美ピアノリサイタル 幻景の雫」を主催することにしたのでした。こうして、一人のピアニストの羽ばたきに出逢い、応援できたのは本当に嬉しいことでした。

 

 

ほどなくして、鳥越さんは各地で私のピアノ曲を演奏するようになりました。
そして、聴衆から「『やさしいまなざし』のCDが欲しい」との声が届くようになったのだそうです。
樹原涼子ピアノ曲集勉強会に参加していた方をはじめ、鳥越さんのファンや多くの友人が協力して、河越敦子さんの音頭でCD制作のための事前予約が始まりました。そして、とうとう250枚の予約が集まって発売日(10/31)を迎えることになったのは、なんと素晴らしいことでしょう!

 

この春の迎賓館でのホールレコーディングは、コロナ禍の中だったので立ち会うことはできませんでしたが、1月に鳥越さんが上京した折に全曲を聴かせてもらっていたので、きっと上手くいくと確信していました。が、折に触れては録音を送ってきて私に意見を求めたり、ジャケットの相談など、作曲者の意図を少しでも汲み取って反映させようという音楽家としての誠実さを感じました。作曲者がまだ生きてるんだから、できることはしますよ〜(笑)。

そんなわけで、鳥越由美というピアニストが、同時代に生きる作曲家樹原涼子の想いを、自分の経験に重ねながら磨き上げた記録として、とても貴重な録音が出来上がりました。
美しくもやさしく、凛とした音色で、どんな心のひだも、景色の移ろいも、光も影も表そうとした鳥越さん。
1曲めから最後の曲までのドラマが、一筆書きのように感じられるのもいいなぁと思います。

なんというか、私自身の日記を、女優さんが演じてくれたような感じです。
わかるかな……笑。

 

音楽は、はじめは、極めて個人的な芸術です。

それが多くの人に聴かれ、弾かれ、広まっていくときに、普遍的なものへと転じていきます。
この『やさしいまなざし』が、誰かの心に寄り添うであろう時間を思いながら、今、幸せな気持ちで、このCDの旅立ちを祝っているところです。

 

CDの背帯に私が贈った言葉です。

「鳥越由美の音は、聴く人の心に言葉のように触れては、宇宙を循環する」 樹原涼子

 

 

『やさしいまなざし』の曲達が、多くの方の心に届くことを願っています。

ありがとう、鳥越由美さん!

 

 

※鳥越由美さんの取材記事もよかったらこちらに。

音楽之友社のサイトで、『やさしいまなざし』の楽譜が立ち読みできるので紹介します。

※CD「やさしいまなざし」のご注文は、こちらのサイトまでどうぞ。

 

樹原涼子
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