走れ二十五万キロ マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版)
著者:長谷川孝道
体裁:A5判、並製本、352ページ
出版年月日:2018年5月22日
定価:本体価格1,500円+税【購入】
ISBNコード:978-4-87755-574-0 C0023
発行:熊本日日新聞社
制作・発売:熊日出版
NHH大河ドラマ「いだてん」で一躍有名になった、日本人初のオリンピック選手金栗四三。
その金栗四三に長谷川孝道(樹原涼子の父)が直接取材をして書き上げた貴重な伝記が本書である。大河ドラマ制作にあたり、第一の資料となっているのがこの本で、金栗四三の史実に当たる部分のエピソードの多くはこの本を参考に描かれている。大河ドラマのタイトルロール中程、「資料提供 長谷川孝道」と表記されている。
ドラマ「いだてん」ファンも、陸上ファンも、金栗四三の人間的な魅力、人並み外れた行動力とその秘密を、本書から読み取っていただけたら嬉しい。(長谷川孝道談)
本書は、早稲田の競走部で活躍した長谷川孝道が郷里熊本で駆け出しの新聞記者となった1959年(昭和34年)、夕刊連載のために金栗四三宅に数ヶ月に渡りインタビューに訪れ記事にしたものをまとめたもの。金栗が自身の日誌を見ながら丁寧に答え、それに加えて長谷川が全国各地に飛びその裏付けを取り記事にした、資料としても大変貴重なものである。
新聞連載の翌昭和35年、講談社より『走れ二十五万キロ「マラソンの父」金栗四三伝』として出版されるが後に絶版。長谷川は自分の死後、金栗さんのことを伝えて行く術がない」と、退職後、80代になってから陸上のため、日本の歴史のために残さなくてはと老骨に鞭打ち、「余禄」を加えての新たな出版を計画。長女樹原涼子の伴走で原稿を書き上げ、2013年8月に『走れ二十五万キロ 金栗四三伝』(復刻版)を、熊日出版より自費出版し、ようやく志を果たす。
折しも、同年9月に2020年の東京オリンピックが決まり、オリンピックを題材とした2019年の大河ドラマの参考資料として使われることになり、2018年5月には熊日出版から改めて一般書籍として発売されることになった。(『走れ二十五万キロ 金栗四三伝』復刻版第2版)その経緯はこちら。
出版社の流通経路の関係で地元熊本の書店でしか販売されていないので、本書をお読みになりたい方は、
熊日出版、アマゾン、このサイト樹原涼子スタジオからも購入することができます。
なお、本書と大河ドラマ「いだてん」を比較しながら樹原涼子がつづる「いだてん日記」はこちら。
いだてん日記 1 「NIPPON」の標識で→「百年の孤独」肥後モッコスの主張 敗れて悪びれぬ三島 他
いだてん日記2 炎熱のレースに散る→「太陽がいっぱい」常識はずれの猛スピード 敗戦後の朝を迎ふ 他
以下、本書の目次、「いだてん」ロケの取材記事(中村勘九郎と長谷川孝道)、長谷川孝道プロフィール。
【もくじ】
まえがき
『走れ二十五万キロ』の再刊に寄せて 日本陸上競技連盟名誉会長 河野洋平
第一部『走れ二十五万キロ マラソンの父 金栗四三伝』
少年時代
玉名中学時代
高師に入る
徒歩部の生活
明治のスポーツ
羽田の予選
「黎明の鐘に」
汽笛一声新橋を
盲目旅行
水の都で
「NIPPON」の標識で
炎熱のレースに散る
欧州の旅・明治から大正へ
再出発
高師卒業
後輩を鍛える
全国行脚で体育振興
史上初の合同練習会
堅忍持久
“ベルリンの夢”去りぬ
初の教壇
徴兵検査
独逸学協会中学へ活気注入
五十三次駅伝競走
富士の合宿
下関ー東京間走破
金栗足袋
日光ー東京間走破
箱根駅伝
船上の秘密
見合い、結婚、単身上京
アントワープ大会
女子体育の振興
パリの大会
東京を去る
郷里での日々
東京五輪の夢
マラソン翁
戦中戦後
マラソン日本の復活
教育委員
家庭の父
桐友会
栄光のマラソン王
老漢との対決
『走れ二十五万キロ』を読んで 日本体育大学学長 栗本義彦
マラソン十訓(玉名市立歴史博物館こころピア所蔵)
第二部「カナクリズム」余話
「体力 気力 努力」に思う……相通ずる嘉納の柔道精神
『走れ二十五万キロ』とは
ストックホルム五輪、当時の新聞報道
スポーツは何のために……金栗と三島の場合
嘉納治五郎と熊本
大森監督夫妻と松田女史のこと
金栗に憧れ、夢に応え……悲劇のランナー円谷幸吉
ロマンティック大記録「54年8ヶ月6日5時間32分20秒3」
マラソンへの登竜門……熊日30キロ
「KK-WING」と金栗さん
“猛婦のくに”の女子体育
金栗さんと「リーダーの条件」
金栗さんの「七つの魅力」
あとがき
金栗四三年譜と関連年表
【いだてん玉名ロケ 中村勘九郎さんと】
熊本日日新聞2018年5月17日朝刊より(掲載許可)
【著者:長谷川孝道 プロフィール】
1931年(昭和6年)、熊本市生まれ。
済々黌高校、早稲田大学法学部卒。熊本日日新聞社社会部、東京支社長、広告局長、情報開発局長等を経てエフエム中九州社長、会長。その間、熊本陸上競技協会会長、心豊かな熊本を創る会会長、熊本県体育功労者、日本陸上競技連盟秩父宮賞受賞。著書に『走れ二十五万キロ 金栗四三伝』『熊本の体力・郷土スポーツの歩み』(編著)など。