リモートレッスン3 オンラインはリモートの一部、問題は、その中身です

リモートレッスン3 オンラインはリモートの一部、問題は、その中身です

リモートレッスンについて、3/14と3/29に、2つの記事を書き、沢山のアクセスをいただきました。

リモートレッスン、スタートされましたか?

リモートレッスン2 皆さんの様子とこれから

 

すでにコロナは、どこか遠くの話ではなく、誰にとっても身近な問題となってきました。芸能界やスポーツ界でも、そして音楽教室でも感染者が出て、1日に確認される感染者の数も日々日々増えてきました。そんな中、感染を拡大しないためには徹底した手洗い、うがい、消毒、マスク、なども大切ですが、まず、「人と会わないこと」が一番有効な予防法となってきました。つまり、外出しないこと、ウィルスを家に持ち込まないこと。

なるべく外に出ないでいることで、誰かから感染する機会も、誰かを知らずに感染させてしまう機会も無くすことができます。家にいるだけで社会貢献できるのなら……と、私もせっせとリモートワークに励んでいるところです。できるところで、できることを。それが、私に今、できることです。

医療機関の最前線で働いておられる方々や、交通や流通のためのインフラに従事されている方たちにも、敬意と感謝の気持ちを持って過ごしたいと思います。

 

では、本題です。

目次

1)オンラインレッスンとリモートレッスンは、何が違う?

オンラインの実験結果

2)アプリの欠点、それを補う長所は?

紹介したアプリ、共通の欠点/これらのアプリの、音楽レッスンにおける長所

3)音楽のやり取りはオンラインで可能か?

音楽のやり取りは、別の方法で行う/録音しよう! 録画しよう!

4)レッスンはコミュニケーション

時間差を克服する方法

5)リモートレッスンのレポートをいただきました!

6)リモートレッスン内容について考える

宿題のヒント

 

1)オンラインレッスンとリモートレッスンは、何が違う?

オンラインレッスンとは、双方向に同時につながってレッスンすることを言います。

リモートレッスンは、遠隔でのレッスン、という意味ですから、同時双方向とは限りません。

つまり、リモートレッスンの一部が、オンラインレッスンということです。

英会話などではかなり前からSkypeでのレッスンが普及していましたし、最近では様々な種類のレッスンがオンラインで行われるようになりました。バレエなどは、先生のお手本の動きを見ながら同時に部屋で行うなど、コロナの状況下でできる方法を皆さん模索中のようです。

同時双方向が可能なアプリは、これまでにも紹介しましたが、Skype、FaceTime、Line、facebookのmessenger、WhatsApp、zoom等々、映像と音声、音声と音声を双方向でほぼ同時につなぐことができます。

 

オンラインの実験結果

ここでは、よく使われている方法を改めて紹介します。私自身がスタッフや生徒たち、夫と、実際に実験をしての印象です。皆さんのお宅では、WiFiなどの電波状況が違ったり、携帯の機種、パソコンで使った場合等、同じアプリでも同じ結果になるとは限りませんが、参考までにご覧ください。

 

スカイプ Skype

これは、私の事務所と私とで日常的な連絡用に使っているアプリで、文字だけでも、音声だけでも、画像を伴っての双方向での会話も行うことができる無料アプリです。会話するのには何の不自由もありませんが、双方でピアノを弾くとなると、音質的には厳しいものがあります。それは、この後に紹介するアプリどれも同じなのですが、その中ではやや良い方でした。どのアプリも時差がありますから、生徒と一緒に連弾するとか、同時に弾くということは不可能です。

 

フェイスタイム FaceTime

iPhone、iPad、MacBookなどのユーザーのみが使える、元々備わっている無料アプリです。Macのユーザー同士なら、一番簡単に行えるもので、音質もSkypeと同じで下記に紹介するものよりもやや良い方と言えるでしょう。

 

ライン Line

無料メール、無料通話、無料ビデオ通話というのは、上記と同じサービスですが、通信手段として一番多く普及しているので、便利かもしれません。ただし、音質はレッスンに耐えるほどではないのは同じです。画面を双方で半分ずつにすることもできるのは便利です。

 

ワッツアップ WhatsApp

海外でLineのように使われている、機能はほぼ同じの無料アプリです。iPhone、Android携帯、もちろんパソコンでも使えます。画面の中の自分が映る窓の場所を動かすことができます。比較的画像がきれいです。

 

フェイスブック メッセンジャー facebook messenger

facebookの無料メール、無料通話、無料ビデオ通話機能。他のアプリよりも自分の画像が少し大きく、4隅の好きな位置に移動ができます。画像もまぁまぁですが、音はいまひとつ。ただ、お互いが自分の顔に好きな絵を選んでかぶせることができるので、子どもには楽しめるかもしれません。実験しながら、私もつい耳をつけたり、顔に落書きをかぶせたり、遊んでしまいました!

 

ズーム zoom

会議用に開発されたアプリで、最近流行り始めています。大学の授業など、複数に向けての講義などに向いています。新しいアプリなので期待しましたが、残念ながら音楽には向いておらず、ピアノの微妙なタッチなどは聴き分けることができないのは、他のアプリと同じです。(このアプリのみ、友人の実験結果です)

また、4/5朝、安全性(セキュリティ、ビデオ会議に第三者が乱入暗号化について等)の問題がクローズアップされた記事を見て、導入は少し待たれた方がいいかも……と思っているところです。

 

以上、オンライン、双方向でのやりとりをする、という点においての実験結果ですが、どれも、お互いの部屋でピアノの演奏をして聴き合うには、音質的な問題がありました。SkypeとFaceTimeがほんの少しだけましではありましたが、下記の欠点はどのアプリも共通です。

 

追記:海外のピアニストの方がFaceTimeで日本の生徒とオンラインレッスンをされていたり、SNS上には実験動画などもあり、記事を書いた後、更に比較検討してみました。ピアノとの距離をある程度とっての演奏だと、ここにあるアプリの中ではFaceTimeが一番音質がよく、ニュアンスまで伝わることがわかりました。ついで、Skypeというところに落ち着きました。FaceTimeでも、iPhoneよりiPadの方がよりよいのは内臓スピーカーの大きさによるものですね。先に書きましたが、それぞれお持ちの機種やバージョンによっても差があると思いますので、ご参考まで。(4月6日深夜)

 

ちょっと喉が乾いたかな? スイカジュースとマンゴージュースをどうぞ。

 

 

 

2)アプリの欠点、それを補う長所は?

紹介したアプリ、共通の欠点

・音が割れる

もう、この時点で、音色や表情に関するアドバイスは難しいことがわかります。和音の連打などはちょっとやめてほしい……という感じです。

 

・音が途切れる

同時に演奏すると、音が途切れたり、聞き取れなくなります。

 

・時間差がある

0.何秒かの時間差があるので、同時に演奏することは不可能です。隣の部屋どうしの実験では、時間差がかなり大きいアプリもありました。相手に音声が届く時間に差があるため、海外の特派員とスタジオのアナウンサーの会話がちぐはぐになるのと同じことが起こるかもしれません。落ち着いてゆっくり話すことが大切です。

 

このように、双方向で会話することはできても、音楽を生で演奏して手本にしたり、演奏内容を聴き取ってアドバイスしたり、連弾したりするのは難しいのです。

が、ここで、「じゃぁ、無理じゃない、オンラインレッスンは!」という方、少しお待ちください。これらの欠点を理解した上でのリモートレッスンで成果を上げていく方法があります。まず、どんな長所があるか、使っている先生方や私の感想も含めて書きます。

 

これらのアプリの、音楽レッスンにおける長所

・子どもが喜ぶ

リモートレッスンの提案をするときに、「こんな風にできるよ」と、親御さんの携帯でアプリを立ち上げてもらい、私の携帯とビデオ通話状態にして私が別の部屋にいって、リモートレッスンごっこをしたら大喜び。もちろん、早くやってみたい!と楽しみに、張り切って帰っていきました。

 

・顔が見える

子どもたちにとっては、先生の顔が見えること、表情が見えることが大きな励ましになります。お互いの表情が見えることで、安心感が生まれ、レッスンをしているという実感が湧きます。

 

・レッスンがあることを意識した生活につながる

毎週、決まった時間にアプリで先生のレッスン室とつながる、という習慣が、日々の練習の励みになります。小さな子どものにとっては、毎週レッスンがあることが進歩の条件でもあります。間が空いてしまうと、習ったことを忘れてしまい、呆然とすることがありますね。画面越しでも、毎週先生と会う習慣はキープしましょう。

 

・親御さんとのコミュニケーションがとれる

アプリを立ち上げてもらうのにも、その時間にレッスンを始めるのにも、保護者の協力が必要です。親御さんとの連携をとりながらレッスンが進められるのはとてもよいことです。普段、仕事でレッスンを見ることができない親御さんも、リモートレッスンのおかげで何を習っているのか、子どもの様子も把握できて嬉しい、という報告があります。

 

子どもや保護者との繋がりという点においては良いところも沢山あることがお分かりいただけたかと思います。アプリの欠点である「音質がよくない」「時間差がある」をどう補うのか、次の章3)で提案をします。

音質について妥協せず、さらに、他の方法を組み合わせてのレッスンの提案は、3)4)をご覧くださいね。

 

 

 

 

3)音楽のやり取りはオンラインアプリで可能か?

音楽家としては、上記で紹介した無料アプリでのオンラインレッスン通話機能のみで音楽を聴きあい、質の高いレッスンをすることは難しいと考えます。しかし、オンライン通話では、会話を中心にして、音楽そのものは他の方法でやり取りするのであれば、十分にオンラインのよさを生かすことはできます。

オンラインアプリは、録音や録画を送るツール(道具)として使えばよい、そして会話のために使う、と割り切ることが肝心と考えます。では、演奏を聴くこと、聴かせることはどうやって行ったらいいのでしょう。

 

音楽のやり取りは、別の方法で行う

演奏を聴いてアドバイスするためには、最低限の音質が必要です。無料アプリ双方向での演奏は、音の高さは聴き取れても、音の表情や余韻まで伝えることはできません。会話のために作られたアプリですから、会話で使えば十分です。音楽専用のオンラインアプリ(安価で簡単なもの)がいつか開発されるまで、待ちましょう。

演奏は、iPhoneなどに内蔵されたボイスメモや、録音専用機器(最近は小型で安価なものも沢山あります)で録音しましょう。それを、先ほどのアプリやメール等で送信する。これが一番簡単で良い方法だと思います。

 

録音しよう! 録画しよう!

習う側は、レッスン日、約束した日時までに、練習した曲を録音してあらかじめ先生に送っておき、先生はオンラインレッスンでその演奏に対する具体的な指導をするとよいと思います。録音の際には、音量が振り切れてしまわないように、どの辺りで録音すれば一番いい具合に聴こえるのかをシミュレーションしておきましょう。イヤホンやヘッドフォンで確認して(わかりやすいです)、ピアノから録音機器の距離を決めておくといいですね。

また、動画を撮影して送るならば、姿勢や、手の使い方へのアドバイスができます。携帯でも簡単に録画してアプリから送信できます。

録音と録画での音質は、先ほど説明したオンライン通話状態での音質と雲泥の差がありますので、オンラインレッスンでも、「音楽そのものは別に送る」ことで、レッスンの質を大幅に向上することができます。

 

本格的な録音録画で大容量になった場合には、ファイアーストレージfirestorageなどを使って送ることもできます。

 

こちらは、橋の欄干の影。とても綺麗だったからパチリ。(1月、浜離宮朝日ホールの近く)

 

 

 

4)レッスンはコミュニケーション 弾かせるだけがレッスンじゃない

習う側は、演奏は録音、録画して先生に送り、先生は録音や録画を見て、オンラインでアドバイスをするとよいのです。先生のお手本は、オンライン中では音質が悪くて難しいので、それも録音して送りましょう。曲の一部の手本を送っておくのも良い考えです。1週間を有効に使う計画が大切です。

そして、レッスン時間には、お互いがピアノの前に座ることでレッスンの気持ちと、形が整います。

 

録音で聴いた入魂の演奏について、真剣にアドバイスをする

以前書いた通り、録音、録画をする、OKテイクができるまで何度も繰り返し演奏する、という行為の中で、子どもたちは自分の演奏を振り返り、だんだん上達していきます。普段は録音することの滅多にない子どもたちにとって、「これを送ってもいいかな?」と考えるのは貴重な経験となります。「あと1回弾いたら、今より上手になるかもしれない!」と頑張ってみた子どもたちの努力こそが、上達へのステップになっていくのです。

先生方は、その録音を聴いて、想像してください。何度もトライして、親御さんの手もおそらく借りながら、一生懸命、その時点での一番いい演奏を送ろうと頑張ったことを。そして、その演奏がどんな状態であったとしても、それは、それまで先生がどのように教えてきたか、または教えられなかったかを表しているとも言えます。また、子どもたちへのコメントには、離れてレッスンしている分だけデリカシーを持って接することが大切です。保護者への協力にも感謝しながら、あたたかい雰囲気でオンラインレッスンが進められるといいですね。

 

録音を聴いていたとしても、その場で部分的に演奏させてのアドバイスも必要になってくるでしょう。先生は、あらかじめ録音を聴いているので、オンラインで聞こえてくる演奏の音質が悪くても、姿勢や動作、指使いについてなどのアドバイスは十分できます。フレーズ感や、アーティキュレーション、強弱なども録音で聴いていますから、うまくいかなかった箇所の原因は、動作のどこに原因があるのかを映像を通じてすぐに推測することができるでしょう。

 

時間差を克服する方法

相手に音が届くまでの時間差があるため、同時に演奏することはできません。

それは、先生が1オクターブ上で演奏して、真似させるように手本と一緒に弾かせるという手法は使えない、ということです。

また、連弾もできません。どのアプリも許容できる時間差を超えていますので、一緒に弾くとぐしゃぐしゃになります。音質が悪い上に、音が途切れたり歪んだりするので、ぜひ、やめてください。これは、連弾で上達していこう!というピアノランド著者としてはとても残念なことです。が、それでも子どもたちに上達してもらう方法があります!

ピアノランドでピアノを習っている子どもたちの多くが、ミュージックデータに合わせて自宅で練習する、という習慣を持っているので、その録音を送ってもらうことで、先生と連弾できなくても、それに準じた力をつけていくことができます。

また、オンラインレッスンでは伴奏をしてあげられませんが、その点を解決された先生からレポートをいただいています。少し長いですが、小川真由美さんからのメール、ご本人の承諾を得てほぼ原文のままご紹介します。

 

 

 

 

 

5)リモートレッスンのレポートをいただきました!

〜略〜(子どもが自宅でミュージックデータを流しながら演奏しているのを、オンラインで先生が見ている様子です)

案の定、ミュージックデータの音はこちらには途切れ途切れに聞こえてクリアには聞こえないのですが、生徒さんのリズムボール(樹原注 ピアノランドでは音の長さを空間として捉えるために「リズムボール」という言葉で表し、音価に応じた大きさのボールを叩く練習をしています)が打って変わって正確になりました。こちらにデータの音がまるっきり聞こえないわけでは無いのでズレている場所もわかります。

生徒さんがデータをちゃんと聴けているか、ぴったり合わせようとしているか、を確認するためにおいては必ずしもクリアな音質である必要は無い、と思いました。今後リモートレッスンが続くようであればブラッシュアップして行く必要はもちろんあると思います(先生の記事にもありました)けれど最初から完璧な環境を目指す事に拘って足踏みをしてしまうより、手持ちの札でまず始めてみる事が大切だなぁと思った次第です。

因みにお姉ちゃんのレッスンは『ピアノランドたのしいテクニック中巻』の【ふたごのメロディ】の光と影に挑戦しました。こちらも聴き取れました。音を聴くと言うより生徒さんがやろうとしている事を感じ取る、そんな感覚かもしれません。

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音質が悪いことを承知の上で、「リズムがあっているかを確認できてよかった」「生徒がやろうとしている事を感じ取れる」という点において、レッスンの意味がある、とのリポート第一弾でした。数日後に届いたのがこちらです。

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本日はリモートレッスンをしてみて改めてミュージックデータの素晴らしさがわかった!と言う内容でございます。4年生と1年生の姉妹のレッスンを初めてリモートで行いました。

 妹ちゃんは『プレ・ピアノランド3』の「りょうてのメロディ」に今日から入る所でした。

【ひくじゅんび】の最初にあるリズムボール、PC同士でしたがどうしても多少のタイムラグは出ます。私が歌えばどうしてもズレが生じます。

けれど、(生徒が自宅の)ミュージックデータに合わせれば間違いなく正しく叩ける…。教室で普段当たり前にやっている事がこんなに効果的とは!

ちょっと2分音符が短くなってしまっていた生徒ちゃん。もしもミュージックデータに合わせる習慣が無かったら、先生の歌や伴奏だけに頼って(乗せられて)いるだけだったら、画面のこちら側でどれほど歯がゆい思いをしただろうかと。この感動、上手く伝わりましたでしょうか…。

樹原先生にリモートレッスンを勧めていただいて思い切ってやってみて良かったです。私の教室の地域は今週の半ば、突然クラスターが重なって起きた地域なのです。先日、初めてのリモートレッスンのご報告をした後、全生徒さんにリモートレッスンの手引きを配布していました。その間、先生仲間でzoomを試したりと準備がしっかり出来ていました。

4月1日からまずは一週間、全生徒さんのリモートレッスン開始です。また何か発見がありましたら送りたいと思います。

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小川さん、ありがとうございました!

テンポやリズムに問題がある場合、ミュージックデータがなくても、曲によってメトロノームを使ってもらったり、先生が伴奏パートを演奏して録音したものをあらかじめ送っておいて合わせてもらう等、工夫できると思います。

この他にも、リモートレッスンに関してのコメントを沢山いただいています。

 

・高齢の両親と同居しているため、レッスン再開が難しく、でも、このままずっと休講にするわけにいかないしと思っていたところ、まさに天の声!先生のメッセージを読んで、録音応募プロジェクト方式(樹原注:録音を聴いてアドバイスするイベントを長年つづけてきました)でのレッスンを4月からすることにしました。初めての経験でどのようになるかわからないのですが、全員でのりきれたらと思っています。

・リモートレッスン、自信がなく言い出せずにいましたが、思い切って1人に伝えたところ、感染が心配だからと喜んでいただきました。本当は通うのも心配だったのだとわかり、お互いにホッとしています。頑張ってみます。

・zoomではレガートに聞こえないので、音楽的なレッスンは今ひとつですが、次の宿題を出したり、アドバイスをしたり、質問を受けたりできるのがよかった。

・Lineで小さい子のレッスン、楽しくできました。いつものように楽譜にアドバイスを書き込めないところは、お母さんに書き込んでいただき、お家での様子もほのぼのと伝わってきました。楽しみにしてくれているので続けたいです。

・動画を送ってもらって、Lineでアドバイスしました。足台を使わず、足をぶらぶらしている様子にびっくり! 早速、親御さんに用意していただけるようお願いしました。椅子も、ピアノに近づきすぎていて、家での練習の様子はいつもわからないので、今回よかったなと思いました。

 

概ね、小さいお子さんのレッスンで効果を感じている方の声が多く、難易度の高い曲のレッスンについては、まだ報告がありません。お待ちしています。

 

 

 

 

6)リモートレッスン内容について考える

ここまでお読みいただき、リモートレッスンも工夫次第で効果をあげることができるのはお分りいただけたかと思います。

難易度の高い曲のレッスンについてはオンライン通話状態では無理ではないかという声がありますが、私もそう思います。その場合は、録音か録画を送ったのちにオンライン通話でアドバイス、なら可能と思います。

それでも、実際にピアノの弦の振動が反響版から空気に伝わって音の響きとなる、そのえも言われぬ状態、ペダルのちょっとした踏み込みや緩める加減による倍音の移ろい、弱音が空気に溶けていくようなニュアンス等々は、余程の機器で録音しないと伝わるものではありません。生に勝るものはない、ということを理解した上で、少しでも良い状態で音楽を共有していくという姿勢が大切だと思います。

 

何もしないよりは、リモートレッスンを計画して、続けた方がよい、というのは、子ども、アダルトビギナー、受験生など、どんな難易度の指導でも言えることだと思います。

 

問題は、先生の側が、リモートレッスンでも可能な種類の指導方法を編み出せるか、リモートにふさわしい宿題の出し方ができるかというところではないかと思います。いつも通りのレッスンでは、うまくいかないことが多々出てきます。状況に応じて、柔軟に対応することや、リモートならではの宿題についてじっくり研究されることをおススメします。

 

子どもたちは休校が伸びた地域も多いようですから、この機会に、このような宿題はいかがでしょうか?

 

宿題のヒント

・小さい生徒には、ワークブックなどを活用して、どこまで進んだか、写メで送ってもらう。
(ピアノランドメイト会員の先生のところへは、リズムボールの書き込み、コード分析の書き込み、『即興演奏 12のとびら 音楽をつくってみよう』のテキストに思いついた音型を書いたもの等が写メで送られてくるようです)

・先生のお手本演奏の動画や、YouTubeのピアニストの演奏などを聴いて、感じたことを絵に描いて送ってくる子もいたり、感想文や手紙を書いてくれる子もいるようです。強制するのはよくないですが、ヒントになりますね。

・小学校中学年くらいであれば、好きな作曲家の伝記を読んで、次回のオンライン通話のときにその内容を要約して解説してもらう。そこから、その作曲家の曲のどんな曲を弾きたいか相談したり、曲の背景を調べたり、例えばソナタ形式について勉強したりと、弾くだけではないレッスンの方向性を考えていくのもよいでしょう。

・レパートリー作りを提案する!というのも、長いお休みがあるときにオススメです。子どもたちに、「レパートリーっていうのはね、いつでも弾ける曲のことなの。いつのまにか前に練習した曲をすっかり忘れてしまうのはもったいないでしょう? いつでも弾ける曲が何曲あるか、レパートリーを増やしていきましょう!」と提案してみましょう。ノートに、暗譜で弾ける曲、楽譜を見て弾ける曲、大好きな曲、レパートリーにしたい曲、等の項目別に、考えてきてもらうことを宿題としましょう。

・長いお休みが終わったときのお楽しみとして、あるいは、録音や録画で記念に、レパートリーをつづけて演奏してもらいましょう。子どもたちにも、ミニコンサートが開けるようにレパートリー作りをしてもらい、1ヶ月後に、お家でミニコンサートができたりしたら素敵です。そこまでいかなくても、レパートリーがあることで、ピアノを習ってよかった!という気持ちになるものです。

・小学校高学年、中高生などには、普段なかなか時間がとれない楽典やソルフェージュについての指導をするのも良い方法です。音質にこだわらず、音楽に必要な知識を楽しく教えていきましょう。大切なのは、机上の空論のように感じさせないことです。例えば、音程の数え方を教えたら、「《エリーゼのために》のメロディの隣同士の音は、何度になっているか、◯小節目まで調べてきてね!」という宿題を出したらどうでしょう。いざ演奏するときに、それらの知識のおかげで素敵になったね!という結果を出すのです。半音、順次進行、跳躍進行の違いや、上行下行のニュアンスを感じた、表現力豊かな演奏につながるような流れをイメージしてみましょう。

 

 

 

 

新型コロナの影響で、多くの方の生活がこれまで通りとはいかなくなっています。そんな中、ピアノを教える方達も、自分にできることで社会貢献をしていただき、子どもたちの家での時間の過ごし方が少しでも楽しく、幸せになるように、努力していけたらと思います。

プロとしての誇りを持って、しっかりと研究して成果を出し、きちんと月謝も受け取り、この辛い時期を乗り切っていけるよう、頑張ってください。

 

次回は、リモートレッスンにふさわしい内容とは何か、宿題の出し方について、さらに書いていきたいと思います。

 

 

お知らせです!

DVD「えいごでピアノランド」がいよいよ4月末に発売となります。

 

どうして、「えいごでピアノランド」を作ろうと思ったのか

お読みいただけたら幸いです。

 

5月には下記の発売記念セミナーが予定されていますが、開催が難しい場合は後日に動画配信などの可能性も検討中です。

また、おって詳しい情報をお伝えします。

 

2020年 5月 19日(火)10:30〜12:45 カワイ表参道
ピアノランドが英語になった! 見て、聴いて、歌って、覚えよう! NEW

DVD『えいごでピアノランド』発売記念セミナー
DVDを活用して、英語&ピアノ&日常生活を劇的に向上させる方法を、具体的にお伝えします

 

ピアノランドメソッドの指導法に興味を持っていただいた方は、こちらを無料でご覧頂けます。

web連載 ピアノランドの教え方 

 

 

 

樹原涼子
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