リモートレッスン、スタートされましたか?
大手のピアノ教室は長期間レッスンがお休みになってしまい、個人のピアノの先生方も、お休みが2週間以上つづくとそろそろ心配になっていらっしゃるのではと思います。
新型コロナの影響が収まる見通しのない中で、ピアノ、あるいは他の楽器の方にも参考になるように、リモートレッスンについて、私なりのアイディアをお話ししようと思います。
これは、私が長いこと録音応募プロジェクトを通じて学んだ経験や、沢山のピアノの先生方と接する中で、こうしたらいいかも!と思ったことのメモなので、どなたにも当てはまるわけではないかもしれません。地域性もあるでしょうし、双方がデジタル機器を扱えるかどうか、最低限iPhoneなどのスマホを持っているかなどの条件もあるでしょう。
何よりも、ピアノを習っているお子さんや保護者のみなさんにとって、長いお休みを有効に使っていただくことが大切です。この期間を、上達の機会としていただけるよう、少しでもヒントになればと書くことにしました。大人の方も、こういうときこそお稽古事の時間が憩いのひと時となるのではないでしょうか。習う人のやる気をキープしながら、先生方もしっかりとレッスンできる環境を整えられたらと、願ってやみません。
目次
1)通常通りのレッスンでは、どんなことを注意すればいいか
2)レッスンを選べるようにしたら? 通常レッスン&リモートレッスン
3)リモートレッスンにも、いろいろな方法があります
4)コロナ騒ぎを乗り切る、樹原涼子のおススメレッスン方法
1)通常通りのレッスンでは、どんなことに注意すればいいか
可能であれば、通っていただくのが一番いいのは言うまでもありません。
が、お宅にお年寄りや病気の方がいらっしゃる場合は、万が一の感染を避ける必要がありますね。
その心配がなく、先生もレッスンに来る人も健康な場合には、
以下のようなことに注意してレッスンをすると良いと思います。
・少しでも熱がある、咳が出る、体調がわるいときは休む(先生も)
・ドアの取っ手など、手に触れる場所を消毒をする
・玄関に消毒薬を置き、入るときに必ず手指の消毒を促す
・トイレには、石鹸、液体石鹸を置き、ペーパータオルを置く
・ピアノの鍵盤は、キークリーナーで除菌する(楽器店で販売しています。アルコールは鍵盤を痛めます!)
・レッスン室での飲食は避ける
・人が入れ替わるたびに、窓を開けて換気する
・レッスン中、なるべく、手で顔を触らないようにする
・一人終わるたびに、先生は手を洗う
その他、アドバイスを求められることがあるので、いくつか。
マスクの着用は、ケースバイケースと思いますので、各自の判断で。
なるべく接触は避け、離れた位置から演奏を客観的に聴くように提案しています。
どうしても手に触れたいときには、消毒していることを伝えた上で「触っていい?」と許可を得ます。
こうして気を配り、安心できる状態を日常的に作ることが大切です。
慣れ、は怖いものですから、しっかりと続けることです。
こちらは、子どもたちに見せたい、手を洗うのが楽しくなるユニセフの動画です。
2)レッスンを選べるようにしたら?
通常レッスン&リモートレッスン
まずは、リモートレッスンを希望された場合、
お互いに使っている機器やアプリについて話し合い、後述の3)や4)を参考にして
一人一人のレッスン方法を考えていきましょう。
試行錯誤を前提に、まず、やってみて、改善していきましょう、
一緒にレッスンを作りましょう!という姿勢で進めたらいいなと思います。
通常レッスンとリモートレッスンをどう組みあわせていくか、ですが、
これは、混乱を避け、いつものペースを守って落ち着いてレッスンするために、
どちらのレッスンであっても、決められた時間内に行うことを基本とするとよいでしょう。
いつも通りの時間割でね!
例えば、田中さんはレッスンに通うので時間通りに訪れる。
次の佐藤さんはリモートレッスンなので、すぐにアプリを開き集中、時間内に終える。
次の近藤さんは通常レッスン……
こうして、いつもの時間にスタートして、いつもの時間に終了することをお勧めします。
慣れないうちは大変かもしれませんが、できるだけ時間割を崩さないことを目標にします。
こうすることで、教える側も習う側も、お互いの時間をしっかりと意識することができます。
プロとして、きちんとその時間はその人に向き合う、という姿勢を大切にしてください。
お互いに1週間の区切り、時間の使い方をキープすることができます。
もちろん、時間内にアドバイスがまとまらないときには、
慣れるまで、ゆるやかな時間割を作るのもいいでしょう。
ちょっと気分転換に綺麗な写真を。
これは、タイのジム・トンプソンの邸宅の一室です。
窓の外の緑が本当に美しくて。
はい、深呼吸!
3)リモートレッスンにも、いろいろな方法があります
リモートレッスンは、目指す方向性によって、使うアプリケーション(アプリ)を選択します。
双方向を目指すのか、グループレッスンや講義を配信するのか、録音や動画を送ってもらう形にするのか、音質には目をつぶるのか、音質を優先するのかによって、方法を選びましょう。
【双方向のレッスンを目指す場合】
同時に、お互いの様子がわかり、お互いの声と演奏が聞こえることを優先する場合、
様々なアプリケーション(アプリ)を利用することで実現できます。
下記は、パソコン、携帯などから利用できる一般的な無料アプリです。
かなり以前から使っている方も多い、スカイプ Skype
お互いにアカウントを持っていればすぐにスタートできますね。
文字でのやり取り、声だけでのやりとり、画像有り無しの選択ができて、
世界中どこにいても顔を見ながら会議もできます。
ウィーンの滝澤志野さんと編集者、私がそれぞれ別の場所にいながら、
お互いの表情を見ながら『即興演奏 12のとびら 音楽をつくってみよう』の
インタビュー記事ができたのは昨年のこと。
アカウントを持っていれば複数で使用できます。
MacBookやiPhoneやiPadなど、Appleユーザー同士ですぐに使えるのが、フェイスタイム FaceTime
画像有り無しの選択もできるのは、スカイプと同じで、
無料通話として利用している人も多いアプリです。
32人まで同時に使えるとのこと。
このところのリモート会議などで流行っているのが、ズーム zoom
新しいアプリだけあって機能も様々、使い勝手が便利と評判です。
企業向けに開発されたもので、会社の会議などでは圧倒的に増えてきました。
最大1000人まで利用できて、セキュリティも高いようです。
ただ、いずれの場合にも、音楽のレッスンにおいて、音質が満足できるものではないとの声が多く、
“会議”と違って、楽器のレッスンには十分とは言えないとの声もあります。
演奏においてどこまで活用できるかは、それぞれのデジタル環境にもよるので、
個別に判断してください。
音質が十分でない場合、それを補うのは使い方です。
例えば、これらのアプリではピアノの演奏のデリケートな部分を聴き取ることや、
同時に演奏するのは難しいという特徴を理解した上で、
言葉によるレッスンを主体にする方法も考えられます。
A 先生からのアプローチ 先生の講義やアドバイスを聴く場とする
普段のレッスンでは曲を弾く時間に追われてしまう人が多いので、
例えば楽典的な事柄の講義をまとめて教える、などが可能です。
これは、同時に配信するグループレッスンにも向いています。
個別の場合は、練習の仕方のアドバイス、次回までの宿題の説明などできます。
B 双方向のアプローチ 質問に答える、Q&Aの時間とする
生徒に、質問したいことを考えておいてもらいます。
「その時間は、あなただけの質問に答えるから、質問をいくつか考えておいてね」
何かを質問するためには、勉強しておかなくてはなりません。
記号の意味を聞かれたら、音楽辞典で調べる方法を教えるなど、
後々役立つ方法を、じっくり伝えることができます。
どんな質問にも真摯に答え、わからないときは次回までにと約束します。
C 習う側からのアプローチ 興味のあることを自分なりに調べ、考え、発表してもらう
例えば、今取り組んでいる曲や作曲家などについて調べるとか、
自分の興味のあることについて調べたり考えたりして、
それを先生に聞いてもらう時間とするのはどうでしょう?
自ら調べたことや自分の考えを報告するという、能動的な取り組みへのチャレンジは、
春休み期間にぴったりかもしれません。
先生はそれを受け止め、さらなるアドバイスをすることで、
お互いに気づくことが多いはずです。
自分の言葉で発表できたら、とにかく褒める、褒めまくること!
【グループレッスンや講義を配信する場合】
これは、上記で紹介したアプリでももちろんできますが、
配信専用ということであれば、YouTubeの限定公開も便利です。
YouTubeの長所は、上記のアプリに比べて(録画、再生環境にもよりますが)音がよいことと、
いつでも好きな時間に見てもらえることが挙げられます。
限定公開なら教室に通うメンバーだけに限ることができますし、
一定期間で削除することもできます。
はい、ここでちょっとお散歩!
これも昨年、タイに旅行したときの一コマです。
4)コロナ騒ぎを乗り切る、樹原涼子のおススメレッスン方法
アプリや機械の話はダメなんです、という方も、これならできるのでは?
というリモートレッスンの方法を最後に提案します。
それは、録音応募プロジェクト方式!
毎週のレッスン時間までに、宿題の曲の録音、または動画を送ってもらいましょう。
送信方法は、LINEでも、メッセンジャーでも、DMでも、WhatsAppでも、メールでも何でもOK。
できる方法で受け取りましょう。
例えば、佐藤さんのリモートレッスン時間の前半に、録音か録画を再生して聴きます。
レッスン後半の時間で、佐藤さんに電話をする、メールをする、LINEで伝える、動画を送るなど、
伝えるための時間とするのです。
受け止める時間と発信する時間を約半分ずつ使えるようになるといいですね。
この方法の良いところは、
「習う側が録音、または録画して送信する」という行為の中にあります。
これで渡してもいいかな?
これが今の自分のベストかな?
あ、ここは、もっとこうしたらよくなるかも!
あ〜あ、間違えてしまったからもう1回録音しよう……。
次は、もっとメロディを立てて弾かないとダメだな……。
……と、もっとよくなりたいという自分への要求が膨らんでいきます。
自分が自分のディレクター役となっていくのです。
ピアニストがレコーディングの経験を積み、どんどん良くなっていくのは、
いつも、「こう弾いたつもり」ではなく、
「どう聞こえているか」を客観的に省みることができるからです。
もっとできるはず、あと少し!と、自分を励ましながら、
“今のベスト”を録音して送信することは、
場合によってはリアルタイムのレッスンよりも効果があることもあります。
そして、録音は残ります。
毎週の進歩を実感することができます。
録音する親御さんも、「頑張れ〜」と一緒に応援してくださるのは有難いことです。
いつもはどんなレッスンか知らない親御さんにも喜んでいただけたと、
実践している先生方から報告をいただいています。
録音応募プロジェクトとは、樹原涼子が2001、20011、2013〜2019年まで9年間に渡ってつづけてきた活動で、これまでにのべ数千人の子どもたちの録音を聴き、アドバイスをしてきました。
全国の先生方、保護者、子どもたちから大変喜ばれ、録音するたびに成長、上達していったことへの感謝が沢山寄せられました。
参考にしていただけましたら幸いです!
それでは、みなさんのライフスタイルに合わせたレッスンが進められますよう、
お祈りしています!
🔶先生方も、ご自宅で、DVDで勉強することができます。
樹原涼子のマスタークラス、コード塾は、DVD受講が可能です。
(この騒ぎの中でも、休むことなく継続できることが有難いです)
これらは、3台のカメラから映像を編集しており、
チャプターがあり、細かく勉強できること、音がよいことが自慢です。
また、DVDピアノランドマスターコースでは、
樹原涼子が講義した最後のマスターコースをご覧いただけます。
🔶今後の樹原涼子のスケジュール🔶
2020年 4月 2日(木)←DVD受講のみ受付
マスタークラス 第14回 コード分析で機能を理解するために必要なこと ダイジェスト
2020年 4月 29日(水)←延期が決定しました
『即興演奏 12のとびら 〜音楽をつくってみよう〜』
樹原涼子 新刊発売記念セミナー ピアノプラザ群馬高崎本店(群馬県高崎市)
2020年 5月 7日(木)←DVD受講申し込み受付中
マスタークラス 第15回 ペダルの技術を磨こう
2020年 5月 19日(火)←どのような形にするか検討中
DVD『えいごでピアノランド』発売記念セミナー
英語でピアノランドを歌いましょう!