作曲と連弾の公開レッスン&「脱力と響きとベースラインのステキな関係!」

7月12日は熊本でのピアノランドフェスティバル プレ・セミナーを開催しました!

満員になるかドキドキでしたが、直前には座席を慌てて追加するほどで、熱く集中した3時間となりました。

 

梅田(6/27)、名古屋(6/28)、熊本、銀座(7/21)、表参道(7/23)と、子ども達に伝えたい一心で暑い盛りに各地を回る一連のプレ・セミナー。私が何を伝えようとしているのかを、熊本のセミナーレポートとして“時々日記”に記しておきます。(会場の反応によって、若干取り上げる内容が異なります)

 

まず、多くの人が“脱力”が大切だと気づかれていますが、それは、何のためでしょうか。

 

 

私の答えは、たった一言。

「美しい響き」のために、“脱力”が必要です。

脱力することが音楽の目的、レッスンの目的ではなく、美しい響きを求めるという音楽的行為の中に、当然“脱力”が含まれるということ。

また、美しい響きを実現するためには、美しい響きを求めつづけていく強い気持が必要です。

たった一音の美しさが実現できれば、楽曲の中にあるおびただしい数の音符を、全て美しく響かせることも可能になるかもしれません。

まず、その一音を、美しい一音を、自分に求めましょう。

 

そのためには、美しい響きとそうでない音を聴きわける「聴く力」が必要です。

ピアノを弾く人は、一度に沢山の音を演奏するこができるので、弾くことに一生懸命で「聴く」ことがおろそかになりがちです。

演奏するときには、弾くことよりも「聴く」ことに、意識の7、8割を使ってほしいと思います。

そう言わざるを得ないくらい、自分の音の響きを聴いて演奏している人は少ないのが現実です。

 

そこで、『耳を開く 聴きとり術 コード編』から、「C」「Cm」「Caug」を会場のみなさんに聴いてもらいました。

会場に運び込んだベヒシュタインのえも言われぬ美しい響きで、コードの響きを届けることができたのは大きな喜びです。

“聴きとり術”では、密集ではなく開離の位置で、ポジション移動をしながら広い音域に渡って、豊かなコードの響きに包まれる体験をしてもらいます。

たった数小節の課題ですが、美しい響きを届けるためには、根音、第3音、第5音がどのような意味を持って働いているかを意識して、各音の役割にふさわしいバランスで全体を響かせることが大切です。その意味を、会場のみなさんには、実際の響きを聴くことで体感していただきました。

 

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いくつかのコードを聴いて、その違いを言葉にしてもらいます。「Caug」では、「深い響きが心に届いた」と答えた子どももいました。

こうして、実際の響きを耳で、いえ全身が耳になったように集中して聴き、心で味わい、言語化していくことで、子ども達はコードの響きを自分のアイテムにしていきます。

 

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自分では演奏しないで、まずは“聴きとり術”で先生の美しい響きを聴いて、美意識を育てていく。

その手間をかけたのと、かけないのでは、子ども達の未来がどれくらい変わっていくでしょう。

美しさの価値観や、センスを育てることはもちろん、和音の響きを固有名詞で呼べることで、将来、彼らの努力が花開いていくのが見えるようです。

 

 

さぁ、次は、美しい響きのために脱力のワークショップを! ということで、子ども達はもちろん、会場の大人も参加していただきました。

 

プレ・ピアノランドシリーズの中の身体各部の緊張と脱力の体操を3つ、ピアノを弾くための腕の構えのための〈脱力→キープ→緊張〉の練習(これは各地で大好評!)。

さらに、ピアノランドマスターコースで腕の脱力を体感してもらうためのメニューを紹介。

身体の重心を丹田に感じて、身体の軸をしっかりと支えます。鎖骨から肩、腕、手の力を抜く。そのまま、身体の軸をキープしたままお尻を後ろに引くようにすると、身体がくの字になり、腕がだらりと、地球の方に垂れ下がります。

 

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こんな感じです。しばらく、腕はゆらゆらと揺れいています。私の意志とは関係なく。

 

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自分の腕の重さが感じられましたか?

子ども達のほとんどが上手にできました! が、ゆらゆら自分で揺らしてしまう子もいて、会場には思わず笑いがこぼれます。

1回でわからなくても大丈夫。お家でも繰り返しやってみてください。

 

 

次には、実際の鍵盤でいい音を響かせるための脱力のタイミングとコツについて。

演奏している指は、打鍵の直後に緩めてキープしますが、弾いていない指は指のつけ根から脱力しています。(動画でお見せできないのが残念ですが、弾いていない指は芯から脱力していることを、反対の手で触ってお見せしました)

そして、次の音に移り変わる瞬間に、今まで鍵盤上にキープしていた指は脱力するのです。

ピアノを弾いたことがない人にとっては、演奏する指への脳からの指令によって、まるでリレーのように一瞬で入れ替わっていく様子は、マジックのようかもしれません。

 

打鍵の瞬間は、欲しい音色に応じたタッチで、1センチの鍵盤を下ろします。

このときに変な力が入ると固い音、響かない音、詰まった音、美しくない響きになります。

 

この様子をご覧いただいていると、身体を脱力することだけが大切なのではなく、自分の身体を、いつ、どのようにコントロールするかを知って、演奏に繋げていくことが大切なのだと、会場中に静かな理解が広がっていくのがわかります。

鍵盤を叩くようにバリバリと演奏するのは、美しい響きが得られないばかりか、弾く人も聴く人も疲れてしまいます。

本当に美しい響きは、弾く人も聴く人も癒され、幸せになります。

 

次に、『こころの小箱』から「かなしくても」で、ポリフォニーの下声部の流れを感じながらメロディラインを歌ってもらい、対旋律の歌い方を聴いていれば、それ応じてメロディの表情が変わることを体験してもらいました。

 

そして、『やさしいまなざし』の「光」で、ベースラインを聴きながらメロディを歌ってもらい、ベースラインの強弱や表情でメロディを歌う気持ちが変化するばかりか、ベースラインによって同じメロディが短調になった時の衝撃も感じてもらいました。

 

多くの人が、楽譜を見て演奏しているときには、気づかない、意識していないことかもしれません。

ラインとラインの関係、ドライブ感、和声の支えとしての役割。

左手を「メロディの添え物」のようにしか感じて来なかった人が、ベースラインが和声の骨格、根っこであることを知り、意味を持ってベースラインを演奏できるようになっていく過程を、その後の公開レッスンでもご覧いただくことができて、子ども達の耳のよさに拍手が贈られました♪

 

飾りケイ

 

梅田、名古屋での作曲、連弾の公開レッスンに出演した子ども達も素晴らしいものがありました。

そして、熊本には福岡、宮﨑から選ばれた子ども達も参加、前半のワークショップを生かしたレッスンとなりました。

 

小学生2年生の作品でリズムが楽しい「おうまのおいかけっこ」、メロディラインだけだった曲にコードの伴奏をつけて健闘した「みんな大すきカレーライス」(小4)、不思議な歌詞と拍子感の「うそ鳥さん」(小4)。

偶然にも3人とも歌詞のある作品で、リズム、歌詞、コード、拍子感、小節線なしの曲と考えて音楽的表現をするコツなど、勉強しました。

また、弾き語りでの演奏で難しい部分を、歌、ピアノのどちらか1つだけに集中するために、私が片方を引き受けたらどうなるかの実験も。

 

 

録音応募プロジェクトを始めた頃には、自分のテクニックの範囲でしか作曲できなかった子ども達ですが、近年は、どの会場にも、自分で演奏できないレベルの曲も書く子ども達が現れるようになってきました。

作曲するにあたってはイマジネーションの広がりは何よりも大切で、今、自分が演奏できないことでも、譜面に書けるということは素晴らしいことです。

 

もちろん、どんな難しい曲でも自分で演奏できたらなおよいとも言えますが、どちらか長けていることに集中するという考え方もできますね。

 

 

「作曲をした人にしかわからない気持ちがよ〜くわかりました。作曲しないときは、書いている人はどんな気持ちかなと思っていましたが、自分が曲を作ってみて、書いている人の気持ちがわかりました」と公開レッスンで発言した少女の言葉を聞いて、苦労してこのプロジェクトをつづけてきてよかったと、心の底から思いました。

自ら創作することで得られた自信は、これから彼女達を大きくしていくことでしょう。本当に嬉しい!

 

連弾の公開レッスンでは、年長、小3、小6の子ども達が、「わたりどり」、「Dreaming」、『こころの小箱』より「いかないで」」を演奏、一言アドバイスするごとに、音色が変わり、表現が深くなり、音楽の魅力が増していきました。

ベヒシュタインの繊細な音色に子ども達の耳が反応していくのが嬉しく、連弾の伴奏パートとのやりとりも楽しめました。

 

 

演奏を終えて、誇らし気な子ども達!

 

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その後、次点となった子ども達5人にはレッスンはできないけれど発表のチャンスをプレゼント。

作曲が3作品、連弾2人も素晴らしい集中力で演奏しました♪

 

 

今回のプレ・セミナーは、どの会場でも素晴らしい反応だったのですが、熊本ではセミナーが終わった後、いつまでもいつまでもあたたかい拍手が鳴り止まず、胸がいっぱいになりました。

ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

 

まだまだ、私にはもう一仕事……受講生の中からピアノランドフェスティバル出演者を選ぶと言う大仕事が残っているのですが、こうしてレポートを書きながら、講評の内容も決まってきました。

 

ピアノランドフェスティバルチラシ

 

セミナー終了後、「脱力できるように頑張ります!」と、受講した歌い手さんがFacebookに書いていらしたのですが、頑張ったら脱力できないかもです…(笑)。

その昔「脱力したら、生きていくのも楽になります」とアドバイスしたら、大喜びしたピアノの先生を思い出しました。

今回のテーマは、フェスティバルが終わってからも伝えつづけていかなくては、と思います。

 

6月26日のカワイ梅田、27日のカワイ名古屋につづいて、ちょうど熊本は折り返し地点、残りはヤマハ銀座店(7月21日)カワイ表参道(7月23日)です。

次は、どんな作品に出逢えるか、本当に楽しみです!

 

樹原涼子
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