第19回『ピアノランド』4巻から、音楽的な楽しみがぐっと広がる!
今年最後のweb連載は、『ピアノランド』4巻に入ります。
動画では、ピアノランドフェスティバル2015から、小原孝さんの「センチメンタル」の演奏をお届けいたします!
各地のフェスティバルで「小原さんの演奏は、いつも自分が弾いていたセンチメンタルとは全く別の曲のようで、ショックを受けるほど素晴らしかったです」との声を沢山いただきました。
みなさまへのクリスマスプレゼントとなりますように♪
【年末年始のお休み】
web連載は年末年始お休みをいただき、次回は2016年の1月20日となります。
また、動画だけまとめてご覧になりたい方は、YouTubeの「ピアノランドweb」からご覧いただけます。
再生リストは、「ピアノランドの教え方」「ピアノランドフェスティバル2015」「ピアノランドフェスティバル2014」の3つです。
これからも、動画や音で勉強していただける方法を研究していきたいと思います。
どうぞ、ピアノランドwebをお楽しみください♪
目次です。
●演奏するとは、演じ、奏すること 「センチメンタル」演奏:小原孝
●4巻の連弾は、パートチェンジしてみよう!「熱帯魚」
3巻までの連弾は、メロディは主にプリモが担当、セコンドは伴奏する形が中心でしたが、4巻からはセコンドがメロディ、プリモが伴奏というシーンも登場、連弾の“4手それぞれの役割感”に幅が出てきます。
子どもたちはこれまで先生の伴奏パートで様々な和声やリズム、技術を見て聴いてきましたから、その要素のいくつかを、少しずつ自分が担当していくことも自然にできるようになっています。
例えば、「熱帯魚」では、子どもが16分音符のクロスハンドの連続したアルペジオを担当して〈海の中の水が揺らぐ様子〉を表し、先生が低い音域で〈水中を泳ぐ熱帯魚〉という主役を演じます。
できるようになったらパートを入れかえ、どちらのパートも子どもに経験させましょう。
自分が16分音符を弾いたあとならメロディの付点音符をたっぷりと正確に歌うことができますし、その後再チェンジすればアルペジオのフレーズを一息で歌えるように、と演奏が変わっていきます。
「熱帯魚」 『ピアノランド』4巻より
この曲ではプリモを弾く子どもがペダルを踏むというのも、それまでにない経験!
どんどん音楽的な自立に向けて成長していく時期です。
(『ピアノランドたのしいテクニック』下巻で、ペダルの仕組み、ペダルのノイズのない踏み方、同時ペダル、切分ペダル、後踏みペダルを学びます。テクニックについては、次回以降をご覧ください)
●4巻のソロ曲はポリフォニック♪歌える左手を♪ 「眠り姫」
ピアノランド育ちの子ども達がバッハなどのポリフォニーが得意になるのは、
1)3巻までに、連弾の他のパートの対旋律やオブリカートを聴きながら練習していること
2)ミュージックデータを使用していると、多くの楽器やラインを緻密に聴きわけて弾けるようになっていること
が理由として挙げられますが、さらに、もう1つの理由があります。それは、
3)4巻からスタートするソロ曲の左手の役割が、密集形の和音の連打、アルベルティバスを避け、左手を歌わせることを大きな目標としている
ということです。
ほとんどのソロ曲で、左手が和声を感じさせつつ、ラインをとりながらメロディと歌い合うように動いており、多声音楽、ポリフォニックな役割を早くから経験をさせるように作曲しています。
左手が主旋律と一目でわかるよう、左手の音符に歌詞をつけました。
フレーズ感を大切に、バイオリンやチェロ、管楽器のソロ奏者のような気持ちで、まずは左手のメロディだけをたっぷりと歌うように弾けるように、実際に歌って練習をしましょう。
次に、右手のラインだけを練習するのはもちろんのこと、メロディラインを歌いながら、右手だけを弾くという練習も有効です。
両手奏では、右手は左手を追いかけるように歌い出し、ハモリながらメロディを美しく飾るように演奏します。
歌いながら演奏する練習は、歌わないで弾くよりも大幅に脳を使うことになりますので、ぜひ、取り組んでみましょう。
「弾き語り」の後で歌わないで弾くときには、はるかに余裕を持って演奏できるようになっています。
「眠り姫」『ピアノランド』4巻より
『ピアノランド』4巻の曲の練習方法を、テキストの中で紹介しています。
●演奏するとは、演じ、奏すること 「センチメンタル」演奏:小原孝
こうして、歌える左手を育てていくと、「センチメンタル」のように伴奏もチェロのようなラインで書かれている曲を弾くときに、まるで二人の奏者が共演しているように演奏することが出来るようになります。
曲の後半で、左手がメロディ、右手が伴奏になっている部分も、ごく自然にストレスなく演奏できるように、脳から指令を出しましょう。
「メロディと伴奏を縦の線で結んで、身体の動きとして同時に弾く」というやり方は、その対極にあります。
ポリフォニックな曲を美しく演奏するには、力技ではなく〈メロディ対メロディ〉であることが聴いている人にわかるように演奏できるまで、急がず、脳が2つのメロディをコントロール下に置けるよう、そして、2つの手をコントロールできるよう、指導してください。
小原孝さんの演奏で「センチメンタル」をお聴きください。
今年のピアノランドフェスティバルで、感動のため息と大きな拍手が贈られた演奏です。
「教材」ではなく、「曲」として演奏してくださる小原孝さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。
「センチメンタル」 『ピアノランド』4巻より 演奏:小原孝
●『ピアノランド』を使っている方の声
ピアノランドを使っている先生方、親御さんから、今年いただいた声の一部を抜粋いたします。
・譜読みがきちんとできるようになる。
・ピアノが好きでよく弾いている。
・手の形がきれい、音がきれい。自分の音をよく聴いている。
・タッチやペダルを選んで弾くので、自分の時代との差を感じる。
・楽譜をよく見て考えて弾く子が育つ。ただ弾かないのがいい。
・“二段階導入法”の効果に驚いている。もう、前には戻れない。
・”二段階導入法”を保護者に理解してもらうのに苦労している。(このweb連載をおススメください!)
・先生が勉強しないと使えない教材だと思う。(その通りだと思います)
・合唱の伴奏やアンサンブルが上手。連弾、ミュージックデータで、合わせることに慣れているのは凄い。
・バロック、古典、ロマン派、近現代、4期のどこにでも行けるように育つのでスタートはピアノランドにしている。
・5巻まで終わった子は自立して、好きな曲を弾いている。
・4.5巻からはブルクミュラーやクラシックの小品との併用がしやすい。
・伴奏パートが難しいけれど、慣れて来たら連弾だからこそ教えられることがあると痛感した。
実際に、テクニックの基礎をきちんと学べること、ノンジャンルにピアノを弾く力がついていくこと、4、5巻からは大作曲家の小品と併用しやすいこと、メソッド卒業後は個性に合わせていろいろな音楽が弾けるようになることなどが先生方の間で喜ばれ、広まってきました。
これからも、メインテキストとして、併用曲集として、テクニック教材として、発表会の曲として、様々に『ピアノランド』の世界を楽しんでいただけたら、幸いです。
1月13日は、渋谷で「ピアノランドのミュージックデータを使って、ピアノランドの世界をさらに広げるセミナー」の第2回目が開催されます。
前回のレポートはこちらです。
第1回の大好評だった内容に加えて、盛沢山にお届けいたします!
年末は、12月26日のクリスマスコンサートが仕事納めとなります。
昼の部は、『ピアノランド』からの連弾や、樹原孝之介の『ふたりで弾こう!ピアノびっくり箱』、樹原孝之介作曲のゲーム主題歌「WILL」他を演奏いたします。
夜の部は、ゲーム主題歌「花」、『The Four Seasons ベスト・セレクション』や『樹原涼子のピアノの世界』をお届けします。
樹原涼子のノンジャンルな一面を、お楽しみいただけたら幸いです♪
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