第6回 〈聴く〉→〈歌う〉→〈見る〉の流れで教えましょう!
ピアノランドの教え方 How to use PianoLand
第6回 〈聴く〉→〈歌う〉→〈見る〉の流れで教えましょう!

第6回 〈聴く〉→〈歌う〉→〈見る〉の流れで教えましょう!

「ピアノランド」の“ニ段階導入法”の4つの柱〈聴く〉〈歌う〉〈動く〉〈見る〉について、連載を進めています。

第4回、第5回では〈動く〉メニューから、指の体操と手のフォーム、タッチポイントについて、動画でもご覧いただきましたが、いかがでしたか?

今回は、〈動く〉以外の3つの柱について動画も使いながら、大切なポイントをお伝えしていきます。

 

今回の目次です。

●〈聴く〉〈歌う〉〈見る〉の順番が大切な理由

●〈聴く〉「ひびきちゃん」の音のしっぽまで聴く

●〈歌う〉“こころのピッチ”で歌う

●〈見る〉音の高さは、数えないで場所を覚える

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〈聴く〉〈歌う〉〈見る〉の順番が大切な理由

残念なことに、楽譜を見て、それを何とか音にしていくことが「ピアノを弾く」ということだと思っているケースもあり、そういうお子さんは自分の音を全く聴いておらず、指を動かすだけで精一杯、音楽的に歌うということからは無縁です。

そうならないためには、“二段階導入法”で提案している、教えていく順番が大切です。

聴く体験が充分にできていれば、「聴いたように歌う」ことも、「感じたように歌う」こともできるようになります。

音の気持ちになって自然に歌えるようになれば、その歌い方をそっくり楽器に置き換えるだけで、音楽的な演奏ができるようになるのです。

また、『プレ・ピアノランド』1、2巻(まだピアノを弾いていない期間です)での読譜指導は、すでに聴いて知っている音、歌って体験していた音を、それはこのように書くのよ…と教えていきます。

 

『プレ・ピアノランド』で、子ども達が新しい音に出逢うときには、「聴いて、歌って、書く、読む」という順番で音を覚えていきますから、みんな、ピアノを弾く前からスラスラと音が読めて、歌えて、表現意欲を持ちながら育ちます。

また、聴いた音が書けるので、当然のように音符が読めるようになりますし、頭の中で聴こえた音を書く「作曲」という行為が、とても身近なものになっていくのです。

ピアノランド育ちで作曲を始める子どもが多いのは、そのような流れで学んでいくことも影響していると思います。

 
 

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〈聴く〉「ひびきちゃん」の音のしっぽまで聴く!

美しい単音を演奏して、その“移ろい”をじっくりと聴かせてみましょう。

『プレ・ピアノランド』では、はじめに単音を聴かせるときに「ひびきちゃん」という名前で呼び、音が減衰していく様子を聴きつづけるレッスンをします。

音の減衰を観察する耳を持つことは、ピアノを弾く上で何よりも重要で、途中から音を膨らませることのできる弦や管楽器との根本的な違いを、最初に教えます。

そして、それが“音の連なり”の美しさを表現できる耳(音型やフレーズの美しい表現)、音の積み上げ方や組み合わせの美しさを味わい表現できる耳(コードとしての響き、バランス、意味の理解)等へと繋がっていくのです。

この効果は、ポリフォニー(多声音楽)を演奏するようになったときに、大きく実を結びます。

音の減衰を聴く習慣をつけ、前の音からどのように発音の瞬間に繋げていくかという美意識を育てておくことは、何よりも大切です。

 

『プレ・ピアノランド』1巻  メニュー14 しっぽさがしゲーム

 


『プレ・ピアノランド』1巻 メニュー17 「ド」をきいて うたって かこう!

『プレ・ピアノランド』1巻 メニュー17 「ド」をきいて うたって かこう!

 

〈歌う〉“こころのピッチ”で歌う

上手に聴くことを覚え始めたら、次に「こころから歌う」ことを教えます。

歌うことは、身体という楽器を使って音楽を表現することです。

楽器の練習において歌うことは大切だとわかってはいても、実際にレッスンで歌わせる人は少なく、たとえ歌わせたとしても、音名やリズムの確認のためという場合がほとんどで、音楽表現のために歌うことをレッスンしている人は少ないようです。

けれども、歌うように演奏するためには、実際に歌うことが必要です。

そして、口先ではなく、こころから歌うことが必要です。

私は、レッスンでよく「“こころのピッチ”で歌ってね」と言いますが、その音の高さを正しく歌うだけではなく、その音の持つ表情やエネルギーを全身全霊で表してほしいと願って指導しています。

 

『プレ・ピアノランド』1巻

メニュー17「ド」をきいて、うたって、かこう! メニュー18 「どどどど どーなつ」をひらいて

 

 

『プレ・ピアノランド』1巻 メニュー18「どどどど どーなつ」をひらいて

『プレ・ピアノランド』1巻 メニュー18「どどどど どーなつ」をひらいて

 

〈見る〉音の高さは、数えないで場所を覚える

上の動画で、中央ドの音符を、大譜表の中のどの場所に、どのように書くか、その書き方を説明したところがありました。

他の音も、大譜表の中のどの位置に書けばよいのかを、上下の五線の中での位置関係で覚えていくように指導します。

いちいち音を数えていたのでは音楽のスピードに乗り遅れてしまいますから、「音は数えないで覚える」を原則として、見た瞬間に何の音かわかるように教えましょう。

そのために、『プレ・ピアノランド』では、音符に色をつけるのではなく、スペースの方に目印となる色をつけて、子ども達が覚えるまでのほんの短い期間だけ、色付きの音符カードを使います。

『プレ・ピアノランド』2巻の付録の音符カードを使った、メニュー18の「おんぷカードゲーム」はとても楽しく、保護者の方にも好評です。

 

『プレ・ピアノランド』2巻 メニュー18 おんぷカードゲーム

『プレ・ピアノランド』2巻 メニュー18 おんぷカードゲーム

 

このように、〈聴く〉〈歌う〉〈見る〉の順番で、教える人も習う人も楽しくレッスンを進めていただけますように!

 

先日、ピアノランドマスターコース受講生から「初めて“ニ段階導入法”で教えたときは大変だったけど、成果がハッキリ出るから続けて使うようになりました」と聞いて嬉しくなりました。

「ピアノランド育ちとそうでない子の差が大きくて、今、それを埋めているところです」とのこと。

沢山の方に喜んでいただけますように! 来月もお楽しみに!

 

littlelady

樹原涼子

公開日:

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