Q&A ピアノでのびのびと歌わせるにはどうしたらいいの?

Q.「ピアノで歌わせようとすると、とても力が入ってしまう教え子がいるのですが、どうやったらのびのびと歌うように弾けるのでしょうか?」
 

A.「もっと、楽に歌うように弾いてほしい」という、先生の切なる願いが伝わってきますね。
 意識すればするほど身体に力が入って、固い音になってしまう、ぎこちなくなってしまうという場合、どのようにすればいいのか、順を追って考えてみました。参考になれば幸いです。

 

〈力が入ってしまう原因1〉
 まず、「歌うように」とのアドバイスで力が入ってしまう原因を考えてみましょう。
 鼻歌まじりに歌うような、軽やかな気分で演奏するなら力も入らないはずですが、その子は「音楽を歌わせる。歌うように弾く」ということを、何か特別なことと感じているのかもしれませんね。「歌ってごらん」と言われると、表情豊かにしなければいけない、大げさな表現やアピールをしなくては…と、プレッシャーに感じているということも考えられます。

 
〈力が入ってしまう原因2〉
 また、のびのびと…という言葉も、ときにすれ違ってしまうことがあります。大人から見た「のびのびと歌う」とは、動きが大きく大げさという意味だと、子どもが誤解しているケースです。「子どもらしくのびのびと」とは、大きな声で、走り回ることだと大人に期待されていると思っているような場合では、「のびのびと」と言われても、しなやかに自然に…とはならず、手の動きが大きく乱暴になって固くなってしまう…という場合もあります。
 のびのびとした歌い方や音とはどういうものなのかがイメージできない、聴いたことがない、わからない、実感がない、という場合も、もちろんのびのびとした表現はできません。

 
〈力が入ってしまう原因3〉
 歌うように、のびのびと、という言葉がしっかりわかっている場合でも、脱力ができていないときは当然身体に力が入ってしまい、歌うような演奏はできなくなります。
 全身の脱力、肩や腕、手首、指など、身体の各部を部分ごとに脱力させたり緊張させたりできることがひとつ。そして、脱力した自分の腕の重さを支えられるだけの指の筋力があることも必要です。脱力している腕の重さを上手に利用できれば、歌うようなタッチが手に入ります。脱力だけできてフニャフニャな指では歌えないのです。

 
〈「歌う」意味を実感させる〉
 まず、お手本が必要です。美しく自然な歌い回しでピアノで歌う様子を聴かせて、「歌うように」の意味を音楽で伝えることが大切ですね。
 また、「歌う」のですから、楽器ではなく、実際に歌ってみることが大切です。「歌」で歌うことの意味を体験できなかったら、楽器で歌うことはまず不可能です。

 歌うときに一番気をつけなくてはならないのが、口先だけで歌わないこと。心の底から、その音の高さを欲して、その音になりきって、“心のピッチ”で歌うこと。それが習慣になったら、必ず歌うように弾けるようになります。
 音楽が歌っているときと、歌っていないときの差がわかる耳を育て、自分でも、“心のピッチ”で自由に歌えるように育てていくのです。
  
 
〈脱力できていますか? 筋力はありますか?〉 
 そして、身体は脱力できているでしょうか? 
 腕の重さを支えるための、最低限の指の筋力はありますか?
 腕を楽にしたまま、指のつけ根の関節を支点にして、“タッチポイント”で机の上に立てるでしょうか? 脱力することと筋力で支えることのバランスで、よい音が生まれるのです。力ではなく、腕の重さを利用した美しいピアノの響きを体得しましょう!
(タッチポイントとは? ピアノランドのテクニックでは、指先の鍵盤に触れる面の中心点をタッチポイントと呼び、各指の重心と鍵盤との接触面の広さとの関係を、ピアノを弾く前に教えます)
 脱力に関しては『プレ・ピアノランド』1巻、タッチポイントについては『プレ・ピアノランド』2巻を参照してください。
 自然なフォームで、思う通りの音が出るようになれば、歌うように弾くことができます。
 たった一音を、美しく響かせること。つまり、弦を正しく振動させ、美しい倍音を発生させるところがスタートなのです。一音が美しければ、その数を増やし、重ねていけばいいのです。音の連なり方が美しいとき、人はピアノが歌っていると感じるのです。一音一音が美しくなければ、いくつ音を連ねても耳を塞ぎたくなるだけですね。
 

プレ・ピアノランド① はじめてピアノを弾く前にマスターしたいことプレ・ピアノランド② ピアノを弾く前にマスターしたいこと


 
〈ピアノで歌うための準備ができていれば! “ニ段階導入法”で合理的に〉
 ピアノで歌えるようになるためにはどんな準備が必要か、ピックアップしてみました。
 

 
第一段階 ピアノ演奏前の準備
 歌心溢れる歌が歌える。(心のピッチで歌える)
 ピアノで歌うための、身体の用意。(全身、部分の脱力と緊張のコントロール)
 指を動かすことにストレスがない。(指の独立とコントロール)
 ピアノで歌っているかどうかわかる。(善し悪しがわかる耳ができている)
 
第二段階 実際に演奏する
 いい音で一音を響かせることができる。
 音数が増えても身体が固くならず、脱力したきれいな音で弾ける。
 歌うイメージを持って、それがピアノでも表現できる。
 先生のコピーではなく、何通りもの歌い方ができる。

 
 のびのびとピアノで歌うためにどのように指導すればいいのか、参考になったでしょうか?

 
 
 歌うとは何か、歌心とは何か、という根本的なところが心配な場合には、いつでも、“心のピッチ”で歌ってみましょう。『プレ・ピアノランド』1巻の、音の気持ちになりきって歌うレッスンを参考に。また、『耳を開く 聴きとり術 コード編』では、“心のピッチ”でコードを感じ、和声の変化を聴く耳を育てていきます。
 
 駆け足でお答えしましたが、詳しくは、セミナーをご覧いただき、ピアノ教育における“ニ段階導入法”の必要性を理解していただければ幸いです。
 
 よい耳、よい手、歌心と読譜力を育てる“二段階導入法”。
 東京と仙台で、それぞれ単発のセミナーを予定しています。
 
●11月13日(木)10時半 スタインウェイサロン東京 松尾ホール
「樹原涼子の 新しい“ニ段階導入法”を学ぼう!体験しよう!」
    聴きとり術を取り入れた最新の指導法
    模擬レッスン
    ピアノを弾く手の作り方
 
 お申し込み ピアノランドメイト事務局 Tel:03-5742-7542
       E-mail :info1@pianoland.co.jp
 
●11月18日(火)10時半 カワイ仙台ショップ
 「必ず成功する“ニ段階導入法”の教え方」~はじめからプロの音~

 お申し込み カワイ仙台ショップ    Tel:022-261-2851

 
 そして、樹原涼子のピアノランドマスタコース第14期は、11月27日(木)にスタートします。
 ピアノランドメソッド(テクニック、プレ・ピアノランド、ピアノランド、ピアノランドコンサート)をマスターして、充実のレッスンと演奏技術を手に入れてください! 上記の11/13のセミナーは、プレ・マスターコースとして、企画しています。

 
“時々日記”では、皆さんからの質問に時々お答えします(笑)。
初の質問コーナー、いかがだったでしょうか?

樹原涼子
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