第9回 ピアノを弾きましょう! 黒鍵でスタート♪
ピアノランドの教え方 How to use PianoLand
第9回 ピアノを弾きましょう! 黒鍵でスタート♪

第9回 ピアノを弾きましょう! 黒鍵でスタート♪

お待たせいたしました!

連載9回目にして、やっとピアノを弾くところまで辿り着きました(笑)。

 

これまで『プレ・ピアノランド』1、2巻の大切なところをかいつまんで、ピアノランドメソッドの要となる“二段階導入法”の概念と手法をお伝えしてきました。

これだけの準備をした場合としない場合とでは、どれくらい結果に差がでるかは、ご想像の通りです。

ピアノランドメソッドで育てた子ども達が、「はじめから“音楽”を、はじめからいい音で奏でる」理由をおわかりいただけたところで、『プレ・ピアノランド』3巻に入ります。

 

今回の目次です。

●いい音は、いい姿勢から。きれいにすわろう!

●「ピアノランドメソッド」読譜はミドルCから、演奏は黒鍵からスタート♪

●ピアノデビュー!「はじめてのピアノ」は、黒鍵で♪

●黒鍵で「シーソー」と「きかんしゃ」を弾こう!

 

 

ねずみくんのイラスト

レッスン1「きれいにすわろう!」を開くと、まず、ねずみくんのイラストが目に入ります。

これは、ピアノランドメソッドをよく知らない方が1、2巻を飛ばして3巻のピアノを弾くところからスタートしてしまうのを防ぐために、「音楽を聴く耳も歌心も、美しい手のフォームも、読譜も、もう勉強してきましたね!」という確認をしているのです。

お気づきの方も多いと思いますが、『プレ・ピアノランド』シリーズの中で、ねずみくんやりすくん達が呟く台詞はとても大切なことばかり。

ある先生は、吹き出しの台詞だけをピックアップして子どもに読ませたり、色鉛筆で印をつけたりしているそうですが、とてもいいアイディアですね!

 

●いい音は、いい姿勢から。きれいにすわろう!

座り方のレッスンでは,テキストに沿って下記の点を1つずつ確認してください。

1)椅子の高さは、ひじから手首、手の甲までがほぼ一直線になるように調節しましょう。

2)足台を必ず使いましょう(足をぶらぶらさせるのはNG。お尻と両足で体重を支えます)

3)椅子には浅めに腰掛け、武道で言うところの“丹田”が安定する位置をみつけます。腰が後ろに落ちないように。

4)ひじを張らない、身体につけすぎない、げんこつ1つ分くらい身体から離します。

5)肩の力を抜き、背中はまっすぐに伸ばして首と頭を支えます。背中を丸めたり傾けたりしない。

 

演奏のために椅子に座る。

たったそれだけのことですが、それがどんな音色でどのように演奏できるかに、深く関わっています。

 

〈先生のためのチェックポイント〉

先生も、改めて座り方を確認してみるといいですね。もしかしたら、どこかに力みや癖があることを発見できるかもしれません。

骨盤が安定する位置に座っていますか? 腰骨を立て、丹田が自分の中心となるよう意識して、その上に上体をふわっと乗せ、背筋や腹筋で上体が崩れないように支えている感覚があるでしょうか。

 

肩の力を抜いてだらりと下ろした腕の重さを感じてみましょう。

その腕を自然に前に持っていき(そのときに肩が前にいきすぎないようにします)、ピアノを弾く位置にキープできていますか?

脱力をしながらも、ピアノを弾く位置に腕をキープする感覚は、とても大切です。

よく、ひじを張りすぎて構え、弾く度にひじを上げる人がいますが、そうすると腕にムダな力が入り、音が痩せたり,固くなったり、腕が疲れやすくなったり、手首に負担がかかったりしますので気をつけましょう。

 

鎖骨、肩、ひじ、手首、指のつけ根から指先までが、ピアノに例えるとまるで1つのアクションのように連結され繋がっていて、様々な筋肉や腱がそれらを支え、関節の角度を変えることでいろいろな動きができるように助けています。

 

身体の機能を上手に利用しながら、“ピアノ仕様の身体”を作っていくために、ピアニストはまず座り方を、そして腕の構えを、そしてタッチの感覚を注意深く観察しています。(バレリーナがバレエのための身体と感覚を育てていくように、スポーツ選手もそれぞれの競技に合わせて感覚を研ぎすませて身体を作っていきます)

自分の身体の中で起こっていることを意識する感覚を持つのは、精密なコントロールのためにとても大切なことです。

いつも、脳からの指令で自分の身体を動かしていることを意識して、まずは脱力の感覚、座り方、各部位の用い方を意識して、美しい音色を生み出してくださいね。

第2回で取り上げた「ピアノを弾く過程の分解図」で、脳から身体各部への指令を出す部分を再確認しましょう。

 

第2回「ピアノを弾く過程の分解図」より

 

 

 

 

黒鍵の和音でスタートする理由

●「ピアノランドメソッド」は読譜はミドルCから、演奏は黒鍵からスタート♪

この段階まで習った子ども達は、すでにミドルCから両側5指のポジションの読譜はスラスラできるようになっています。

読譜は演奏するよりも前にミドルCのポジションから覚え、実際に演奏するのは、脱力や“音色”に集中できるよう、黒鍵から始めるのがピアノランドメソッドの特徴です。

 

2、3、4の指を使って黒鍵の和音からスタートする理由はテキストの7ページ(上記イラスト下)にもありますが、さらに付け加えると、力みのない“自然な腕の構え”で美しい響きを生み出すため、と説明するとわかりやすいと思います。

「肩の力を抜いてだらりと下ろした腕の重さを感じて、その腕を自然に前に持っていき、ピアノを弾く位置にキープしましょう」と書きましたが、そのためには、手の中心にある長い指3本で腕の重さを支える基本の構えを体得するのがベストです。

それが安定した後に、1や5の指を下ろすと、フォームが整います。

という訳で、L1で姿勢を整え、L2で黒鍵の和音で演奏、そしてL3ではじめて1の指でドを演奏する、という流れで進んでいくのです。

 

目次
10p はじめてのピアノ 頁全体

●ピアノデビュー!「はじめてのピアノ」は、黒鍵で♪

では、動画をご覧いただきましょう。

このように、演奏の前はいつでも、“二段階導入法”の考え方で何が必要かを考えます。

 

 

 

 

実際には、勢いをつけ過ぎて指先がつぶれてしまったり、そーっと下ろし過ぎて音が出なかったり、和音がズレたり、押さえている指が途中で浮いてきたりといろいろなことが起こります。

すかさず笑顔で、「惜しい! 指先がつぶれちゃったね。“そーっとタッチでキュッ”をしてから弾こう」と、指先でつかむ感覚を思い出させたり、「和音がズレて残念!ぴったりに弾けるかな?」と、きれいに演奏できるまで明るく励まします。

この日の為に頑張ってきたのですから、必ずできます。

ちょっとしたコツがつかめるまで、飽きてきたらいろいろな音域の黒鍵に挑戦させながら、美しい和音で弾けるようにしてからレッスンを終えましょう。

子どもだからと言って、いい加減なところで次にいかないこと。

ここが、このあとの美意識の出発点になりますから、子ども自身が胸を張って「きれいな音でピアノデビューできた!」と言えるところまで、耳を澄ませて聴きましょう。

 

12p シーソー

●黒鍵で「シーソー」と「きかんしゃ」を弾こう!

それでは、黒鍵の和音を使った曲をお聴きください。

 

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いかがだったでしょうか?

ミュージックデータに合わせることで、はじめからテンポ感もついていきます。

みなさんも、美しいフォームで、黒鍵の上にタッチポイントを置き、息を吸ってから、いい音で黒鍵を響かせてみましょう!
きれいな和音になったかな?

樹原涼子

公開日: 最終更新日:2015/09/25

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