「Lichtー大中恩歌曲集ー」春日保人&小原孝 夢の共演!

「Lichtー大中恩歌曲集ー」春日保人&小原孝 夢の共演!

「Lichtー大中恩歌曲集ー」春日保人 ピアノ:小原孝

 
届いてから既に3回聴きました。
みなさんにお知らせしなくちゃ!と締め切りを横目に……急いで書いています。
大中恩(おおなか めぐみ)先生の日本歌曲、合唱曲、童謡の数々は、どなたもよくご存知でしょう?
このCDは、2018年に亡くなられた大中恩先生を偲んで、バリトン歌手春日保人さんの発案で作られたものです。

 

 
 
まずは、CDの感想から書きます。
 
こんなに自然に、歌と伴奏が一体となったCDはそうありません。
歌曲集「おもろうて」の1曲目「仔猫のようだった」のイントロが始まった瞬間に小原孝さんの魔法にスーッと惹き込まれていくと、すぐに春日さんの品のある深い声の響きに魅了され、主人公の気持ちにどんどん共感していきます。春日さんの素晴らしい歌声の中には力強さと端正さとユーモアがあって、表情が変わるたびに市井の人の様々な心が垣間見えます。
 
続く、バリトンのための歌曲集「ユダ 哀しい裏切り」の6曲。
こちらは打って変わって、キリストを裏切ったユダの揺れ動く気持ちを歌う「嫉妬」「疑心」「落胆」「慟哭」「罪人」、最後はキリストがユダを思って歌う「ひかり」。
聖書の中の物語が、歌の力、作品の力によって、立体的に説得力を持って語りかけてきます。弱く変わりやすい人の心を、大中先生はこんな風にご覧になっていたのだなぁと思いました。王子ホールで生で聴いたときにも感動しましたが、こうして再度CDで聴くことができてよかった!
大中作品の良さは、美しい歌のメロディのみではなく、伴奏の素晴らしさにもあります。歌を支えるハーモニーの美しさを余すところなく伝える小原さん。歌の合間の伴奏の表情も目を離せず、ピアノも歌う歌う。だから、このCDはずっと春日さんの歌と小原さんのピアノの歌が競演、饗演しているのです。歌い合い、ハモリ合い、影になり日向になり、音楽を高めあっていく。凄いコンビができたものです。組曲の最後は、とても粋な感じで終わっていて素敵です。
 
 
そして、大中先生の奥様でソプラノ歌手の北原聖子さんが歌うのは、ソプラノとピアノのための3つのソネット「アマリリスに寄せて」
この曲は春日信子さん(保人さんの母上)の委嘱作品で、私は信子先生のリサイタル(熊本県立劇場)での初演を聴いています。大中先生最後の作品として、この3曲は長く愛されていくのだなぁと思いながら、改めてCDを聴きました。
どうしてもこのCDを作りたかった春日先生親子の熱い気持ちが伝わってきます。
 
 
母と子のひと時を歌った「こんな静かな夜は」は、北原さんと保人さんのデュエットで暖かく優しく。
最後の「じゃあね」(作詞 谷川俊太郎)の言葉は、大中先生からの最後の挨拶のようで、この選曲にもぐっとくるものがあります。
 
「ひとりぼっちはこわいけど きみにはきみの明日がある」
 
「年を取るのはこわいけど ぼくにはぼくの日々がある」
 
「もうふり返らなくてもいいんだよ
 さよならよりもきっぱりと 
 じゃあね じゃあね……」
 
 
このCD、みなさんの心には、どんな風に響くのでしょうか?
 
 
*****
最後に、これまでのエピソードを。
 
2017年のこと、大中先生ご夫妻、春日保人&信子先生とお食事した折、大中先生から企画中の演奏会のピアノを頼みたいので小原孝さんに頼んで欲しいとのこと。
数々の大中先生の曲を長いこと演奏していらした小原さんは、とても喜んで引き受けてくださいました。

 

 
合唱のコンサートの後、大中先生を囲んで
左から樹原孝之介、春日信子先生、樹原涼子、春日保人さん、北原聖子さん、右下徳山美奈子さん(作曲家)。
 
そうして、皆さんご出演の素晴らしい演奏会が銀座の王子ホールで開催され、私は運営のお手伝いをさせていただきました。大中先生は、その日を待たずに亡くなられて本番をご覧いただけなかったのは本当に残念でした。ですが、大中先生は天国でどんなに喜ばれたことでしょう。

 

 
その演奏会があまりにも素晴らしく、同じプログラムを春日先生の地元熊本でも開催しようということになり、さらにコロナ禍の中、CDのレコーディングも行われました。
春日さんと小原さんは、ピアノランドフェスティバル以来何度も共演を重ねられ、とうとう完成したのが、この「Lichtー大中恩歌曲集ー」。
 
私がお奨めせずにはいられない気持ちが、お分かりいただけたかと思います。
 
 
このCDの発売を記念した演奏会は下記の通り開催されます。
興味のある方は、ピアノランドメイト事務局までご連絡ください。
チケットの手配をさせていただきます。
 
2021年5月1日(土)14:30開演(14:00会場)熊本県立劇場コンサートホール
 
一般 4,000円/ペア券 7,000円/親子券 5,000円/学生券 2,000円
全席自由 コロナ禍のため、400名限定

 

 
 
プログラムは、CDの収録曲を中心に、「ひとりぼっちがたまらなかったら」(寺山修司作詞)春日信子の他、ピアノソロ、長く愛されてきたこどもの歌などバラエティ豊かです。
ぜひ、お聴きくださいね!
CDのご希望も、ピアノランドメイト事務局までお知らせください。

「Lichtー大中恩歌曲集ー」春日保人 ピアノ:小原孝 (税込¥2,750)

ピアノランドメイト事務局
電話:03 5742 7542
メール:info1@pianoland.co.jp
樹原涼子
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