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ピアノランドこどものスケール・ブック

発売元:音楽之友社
定価: 1,650 円 (本体1,500 円)【購入】
発行年月日:2021年1月
樹原涼子著
菊倍判・56頁
【ISBNコード】 9784276451773
【商品コード】 451770

〈編集者より〉2016年の刊行当初から大好評を得ている『ピアノランドスケール・モード・アルペジオ』のさらに前段階で学習できるスケール教材。子供が自分自身で「持ち、読み、書き、弾く」ことのできる教本・ブックとして、①音階のしくみ　②指使いの法則　③調性　④2オクターヴまでのスケールとカデンツに絞り、丁寧な解説をしていく。「感性を育みながら、しくみを理解して弾く」「自分でフィンガリングを考える素養を身につける」ことができるなど、著者樹原涼子が長年、世に訴えて続けてきた指導の真髄に、スケール学習の面からも触れることができる。

ようこそ『ピアノランドこどものスケール・ブック』へ！

できました！「子どもの頃、こんな風にスケールを習いたかったなぁ、もっと早く知りたかった！」と思うことを、一冊の本にしました。

人参やピーマンが嫌いな子に「栄養があるよ」「身体にいいよ」と言っても、喜んで食べるはずもありません。スケールや音楽理論も、人参、ピーマンと同じです。大人は「将来役に立つよ」と言うけれど、楽しくなければつづかない。

料理人は、もう一度食べたいと思わせられるかが勝負です。私にとっては、子ども達が喜んで食いついてくれるかどうかが勝負です。興味がなければ、せっかくの「テトラコードしりとりで一周するスケールの神秘」も、「つやつやの音」で「指を自由に速く動かすには」とショパンのように長い指を黒鍵に置いて練習する面白さも、演奏の助けにはなり得ないのです。

昭和の子ども時代には、スケールは指慣らし、ウォーミングアップだと教えられたものです。それを一新すべく、2016年出版の『ピアノランド　スケール・モード・アルペジオ』では異なる価値観を提案しました。「スケールとは音楽の美しい素材で、作曲家の物差しでもあります。その種類と違いを知って見分け、聴き分け、意味を弾き分けられるように育ててましょう。短調には3つのスケールそれぞれにカデンツが必要だし、調性以外のスケールやモードも知って欲しい。アルペジオはコードを分解したものだから、元のコードを理解して即興でも使えるように……」と欲張った本は、お陰様でピアニストや先生方に好評で、版を重ねています。

その入門編、「子ども版」にあたるのが本書です。

『ピアノランド』出版以来、40冊余りの楽譜と本を出版してきた経験を総動員して、書きたくて書きたくて挑んだ、子どものためのスケールの本です。次の世代に私たちを超えてもらうにはどうしたらいいかを、真剣に考えて書きました。どこまで飛べるかは、スタートラインが大事です。同じ年数をかけて、指だけ動かすか、頭と心を駆使してピアノを弾くかの違いは言わずもがなです。

きっと、そのことを大切に感じている方に、手にとっていただけたと信じます。習ってこなかったことを教えるのは、最初は骨が折れますが、ご一緒に、最後まで子どもたちを、そして子どもに限らずピアノを弾く多くの方を、この本で励ましていただけますように！

音楽は数学です。スケール周りの数字にもご注目を。スケールの発見者ピタゴラスに感謝！

そして、私のスケール研究のきっかけを作ってくれた、100歳で天国へ逝ったピアニスト、ホルショフスキーにも感謝を。ドキュメンタリーで彼のスケールに心を鷲掴みにされなかったら、『スケール・モード・アルペジオ』も本書もなかったのです。スケールを弾くと心の肌理（きめ）が整い幸せになれます。あなたも、スケールで幸せになってください。

2020年1月　樹原涼子