軽井沢合宿最高! 武蔵野音大研修センターにて
音楽の中だけに生きることができる時間を持つという贅沢。
「家事やレッスンや気がかりな諸々をみんなどこかに置いて、今は音楽のためだけに、自分のやりたいことだけに集中する! 合宿に参加することを楽しみに1年過ごしてきました」と言われて、私も心から嬉しくなりました。
私の中で「合宿」は、普段できない質と量を短期間に効率的に伝えられる喜びがあります。みんなが忘れないうちに(1ヶ月たつと何分の一か忘れちゃう 笑)次のことを積み重ねられるので、知識と実践がいくつか組み合わさったときの爆発的な理解と表現につながることが嬉しいのです。今回は、そのことがとても良い形で表れたので、充実感溢れる合宿となりました。
長野県の女神山から武蔵野音楽大学の軽井沢研修センターに場所を移して2年目、猛暑の東京よりは涼しい環境で勉強した3日間を簡単にリポートします。私自身が後で思い出すために、内容にも少し触れておこうと思います。
今年の合宿が今までと異なる点は、大きなテーマを設けたことです。3日間を通して、私が目指していることを理解してもらえるよう、1日ごとにタイトルをつけました。講義は、作曲家の樹原孝之介(次男)が担当するものもあり、バラエティに富んだ内容となりました。
【コードと機能和声を結びつけて学ぶ 調性の有る音楽の特徴をつかむ】
初日、昼食後、軽いストレッチをしてから講義に入りました。
古典やロマン派の作品で親しんできた調性のある音楽の機能和声(役割)をどのように聴いたり、感じたり、表現したりすればいいのか、単に音符を音に置き換えるだけではなく、音楽の意味を伝えるためにすべきことは何か、集中してトレーニング方法を解説しました。説得力のある音楽と、気分だけで弾いている音楽との違いはとても大きい。
そして、そのお手本としてほしい! 宮谷理香さんとの10月の《樹原涼子》を弾きたいシリーズ トーク&コンサートツアーのお知らせをしているところです。宮谷さんの音楽への深い洞察力に魅せられてコンサートに通ううちにご縁ができて、昨年春に開催した樹原作品を演奏していただくコンサートが好評で、倉敷(10/27)、大阪(10/28)、熊本(10/30)へ参りますので、みなさんぜひお聴きくださいね! と力説しているところです♪
【機能和声・調性のない音楽 小節線のない音楽へ、耳と心を開く】
2日目の朝、まずはストレッチから。
私は、自分でできる肩こりに効くストレッチを何種類か紹介。辛い肩こりが取れますように!
孝之介のストレッチとジャズダンスは、朝と夕方二度に分けて音楽と結びつけての講義。
自作の「戦果」(ゲーム音楽「俺の屍を越えてゆけ2」より)を振り付け、踊れるようになったところでみなさんにコードを耳コピしてもらい、耳から機能分析して、それを動きで表現するという流れでジャズダンスの時間を組み立てました。身体各部のストレッチを目的とした、ゆったりとしたテンポの短い繰り返しのダンスは「家でもできる!」と好評でした。
(ダンス中の写真は遠慮させていただきますね)
朝のストレッチの後は、前日学んだ長調や短調といったこれまで親しんで来た「調性」から離れ、調性のないスケールにはどんなものがあるのか、また、モードとは何か、新刊 連弾組曲集『時の旅』から2つの組曲「小さな時間旅行」(モードを使った)と「美しい時間」を孝之介との連弾で聴いていただきました。
午後は、『耳を開く 聴きとり術 コード編』と『ピアノランド スケール・モード・アルペジオ』をレッスンで定着させて使いこなすためのコツを講義。何のためにこのテキストが生まれたかを知って使えば、確実に効果が上がります。自分が学ばなかったことでも、次の世代に伝えたいことがあります。
休憩時間は、ちょっと優雅にコーヒータイム。前日にスタッフと買ってきたクッキーやゼリーがとても美味しくてよかった~!
小休止の後は、樹原作品の小節線のない楽曲を中心に捉え方のコツを解説。
「響く」「夢」「やさしいまなざし」「巡る」のミニコンサートとなりました。
午後の部終了後に、講師二人をみなさんが記念撮影してくれました。
そして、夜は交流会。
果物、フルーツジュースにビールの他、持ち寄ったお菓子も沢山。夜遅くまで楽しい話に花が咲きました。
【英語でピアノランド 即興演奏 これからの音楽教育】
最終日もストレッチ、ジャズダンスから。
そして、ピアノランドフェスティバルで好評だった「英語でピアノランド」を孝之介が解説。
音楽に乗せてどんな発音で歌うのかちょっとしたコツをマスターして、楽しく歌いました。
最近取り組み始めた「英語でピアノランド」の動画を、もうご覧になりましたか?
音楽教育の中で英語教育が同時に自然に行えること、また、日本に住む外国の子供たちにもすぐに取り組んでもらえることなど、メリットが沢山あります。
さらに、みなさんと歌ってみてわかったことは「何と言っても楽しい!」そして、「日本語と英語で覚えると表現に奥行きが出てくること」にも気づきました。
改めて、クリステル・チアリさんの英訳の美しさ、歌いやすさに驚きます。クリステルさんと撮影した動画を集めて、近々webの中で特集しますので、楽しみにしていらしてくださいね!
こちらは、合宿で人気だった「ぴかぴかぼし」をクリステルさんと解説している動画です!
つづいてムジカノーヴァで連載中の即興演奏を各月ごとにスピード解説、受講生全員がどれかの方法に挑むという実践をしました。よかったのは、全員が様々なアプローチに挑戦したので(オノマトペ、5つの音、半音階、全音音階、コード)、「どんなものもアリなので、教室で教えられそうです」「グループレッスンしたくなりました」と、即興演奏の敷居が低くなったことです。どの即興を選ぶか、ホワイトボードに書いてから演奏!
全員、アドリブができるって、なんて素敵なんでしょう。直前まで「できない」と言っていた方も、できないまま出てきていただいて、声をかけるうちに何だかあっという間にできてしまう! 即興は、おしゃべりと一緒なので、ちょっと言いたいことがみつかれば、すぐに音になっていきます。慣れている人とは、並んでアドリブ三昧。リクエストされた1コードで延々遊びました。
そんなヒントを毎月連載している『ムジカノーヴァ』をぜひご覧くださいね! 『ムジカノーヴァ』9月号は全音音階を使った即興、10月号はコードを聴いて反応する即興の予定です。
こうして、ストレッチから即興演奏まで、3日間で14の項目を次々に学びました。教えている私自身、楽しくて楽しくて幸せな時間でした。私のメモですが、大雑把にこんな流れで進めていきました。
今年の手応えが格別だったので、来年も合宿は絶対に開催しようと思います。
興味のある方は、春頃のお知らせになりますので、webのスケジュール欄やニュース欄、Twitter、公式Facebookページなどで確認していただければ幸いです。
ちなみに、武蔵野音楽大学の施設を利用しましたので、今年も大変リーズナブルに開催できて、コストパフォーマンス面でも喜んでいただけました。1日だけの日帰り参加、1泊の方も、それぞれの生活との兼ね合いを考えて受講され、足の便がよいこともよかったようです。
さて、避暑地の緑の中での講義という楽しい思い出を支えに、秋からのハードスケジュールに立ち向かっていこうと思います。みなさんも、どうぞ夏のお疲れは温泉で癒してくださいませ!
はい、実は私合宿の帰りに家族で温泉へ行って、すっかり一夏の疲れをお湯に流して参りました。しばらくは、何もできないくらいぼーっとしていたので日記が遅くなりました……が、温泉効果でとても体調良く仕事をスタートしました。
合宿万歳! 温泉万歳! 音楽ばんざ~い!
全国各地からお集まりいただいたみなさん、ありがとうございました!
合宿の準備に奔走したスタッフにも心から感謝します。