カワイ表参道にて、公開レッスン♪
7月25日は、カワイ表参道にて「録音応募プロジェクト」最後のプレセミナー、公開レッスンでした。
全国から何百件も寄せられた子供たちの録音を、1ヶ月半に渡って毎日聞いては講評、アドバイスを書き送り、その中から優秀者を選び、熊本、汐留、カワイ表参道の3か所で公開レッスンを行うという、一人で審査する身としては気が遠くなるようなプロジェクト。
昨日は、作曲部門、連弾部門とも、北は北海道、南は大阪、神戸までと広い範囲から選ばれた子供たちが家族総出で詰め掛けて、大変な熱気の中で行われました。
前半は、ちょうど前日に武蔵野音楽大学の教員免許更新講習の講義のメインテキストでもあった、『ピアノランド スケール・モード・アルペジオ』を子供向きに講義、美しい真珠のようなスケールの弾き方を指導しました。
これは、レガートのレッスンの様子。
日本の教科書には、レガートは「なめらかに」と書いてありますが、イタリア語の意味は「音と音とが、きつく、固く結ばれた状態」を表しています。そのことを子供達と体験して、音と音に隙間がない状態を作ってみました。
これは、隣の人とべったり重なっているので、レガーティッシモ。
このあと、ほんの少しゆるめてもまだまだ「レガート」。そして、だんだんお隣の人との間を空けていって少しだけ「ノンレガート」に。それから、どんどん隣り合った音との隙間が広くなって「スタッカート」へと変化していく様子を皆で表してみました。実際に、私もその変化の様子を音にして、音と音との重なり具合と隙間の有無を聴いてもらいました。
そうすると、隣の音との繋がり具合の変化は無段階にあるのだ! ということにみな気づいてくれました。一音一音に対してどのような表情付けをしていくのか、私たちには無限の可能性があるということも!
ここで、重大な忘れ物……。
熊本と汐留の会場では、拙著『ピアノランド スケール・モード・アルペジオ』からCmajorとAminorのスケールの演奏を聴いていただいてきたのに(長調のオクターブユニゾンと反行形のスケール、新たに作った樹原流の美しいカデンツや、自然、和声、旋律短音階それぞれのスケールの音階固有音を使った独特のカデンツ等)、お手本演奏をするのを忘れてしまいました(汗)。それを楽しみにおいでくださった方もあったのではと、心配です。
もちろん、会場ごとに少しずつ変わっていくのですが、それにしても、スケールは演奏したかった……。
ムジカノーヴァ9月号から、『ピアノランド スケール・モード・アルペジオ』の連載が始まりますので、どうぞそちらもお楽しみにしていただければ幸いです。
お詫びも兼ねて、秋口になったら、『ピアノランド スケール・モード・アルペジオ』についても動画をアップしてみようかなとチラッと思ったり。もし、ご覧になりたい方がいらしたら、リクエストくださいね。考えてみます。
公開レッスンでは、作曲の子供達が大健闘。会場のみなさんに覚えてもらい一緒に歌ったり、ピアノで演奏するだけではなく二声の曲を先生のリコーダーとピアニカで演奏してくれたり、楽しい時間となりました。
連弾の演奏では、「感情を込めて弾くのが苦手です」とメッセージをくれた子供に、どうしたらよいのかを真剣に話し、レッスンでも取り組んでみました。
「感情を込めて演奏するには、まず、感情を持つことから。感情を持つから、その感情を込めることができるのであって、それらしく弾くという意味ではない。《哀しい戦士》という曲は、どうして「悲しい」ではなく、哀れと読む方の「哀しい」という文字なのか、何がどんな風に哀しいのか想像するところから始めましょう」と、様々な例え話をしながらレッスンをしました。
先生方や親御さんに向けては、「感情を耕していく、表現を耕していくことも大切ですね」という話も。
音楽は、結局、作曲家の考えをどのように受け取り、どのように伝えていくかということでもあり、想像力、洞察力、観察力が必要です。そういうものを育てられるかどうか。
そんなことがじっくり伝えられた公開レッスン、私自身もとても楽しむことができました。
★作曲の公開レッスン
佐々木 陽世(年長)モノレール
伊藤 菜奈(年長)おほしさまきれいだね☆
森藤 優斗(小2)春まつりのきょく
齊藤 大輝(小2)わらうとブー
水谷 心音(小3)Go Go Let’s Go!!
★連弾の公開レッスン
田中 泉妃(小2)ちちんぷいぷい チャチャチャ (ピアノランド③)
中野 瑚子(小3)きょうりゅうのロマンス (ピアノランド④)
賀集 龍平(小3)うかれたきょうりゅう (ピアノランド④)
永井 千遥(小5)哀しい戦士 (ピアノランド⑤)
佐藤 ほなみ(小4)明日は いい日だ! (こころの小箱)
森川 真愛(小5)いかないで (こころの小箱)
そして、惜しくも公開レッスンは逃したものの、次点として素晴らしい曲や演奏をしてくれた記念演奏の子供たち。
たった一回の本番にかける意気込みは素晴らしかったです!
〈記念演奏〉
作曲
林 晃貴(年中) とっとっとー〈でんしゃのたび〉(病気で欠席のため、先生が代わりに演奏してくださいました!)
齊藤 向輝(小2) こうえんでやきゅう
本田 結梨奈(小2)大きなお山
木幡 百花(小3) せかいじゅうのながれ星☆
高田 誠仁(小3) 夏休み(組曲) 3.合宿
横山 あかり(高2)睡蓮の咲く水辺
連弾
河村 花梨(小3)まほうつかいのよる (ピアノランド①)
鈴木 健介(小2)さかあがり (ピアノランド②)
笠原 茉菜(小2)レッサーピョン (ピアノランドコンサート㊥)
田端 睦紀(小3)ピアノランドマーチ (ピアノランド③)
佐藤 千尋(小2)コロコロコロッケ (ピアノランド③)
高野 裕貴(小4)天の調べ (ピアノランド④)
佐々木 希(小6)風はどこから (こころの小箱)
吉田 愛唯(中1)いかないで (こころの小箱)
いよいよ明日は、汐留ベヒシュタインとカワイ表参道での公開レッスンに出演した子供たちの中から、ピアノランドフェスティバル東京への出演者を決定します。
このプロジェクトに参加した子供たち、親御さん、先生方には、本当に心から御礼申し上げます。次世代のために、音楽家として、作曲家としてできることを精一杯伝えていくという私の姿勢をご理解いただけたことがとても嬉しく、つづけてきてよかったなとしみじみ思います。
セミナー終了後に、子供たちの様子について話が弾みました。そして、ピアノランドメイト会員のみなさんと記念にパチリ。
全国各地から参加してくださった皆様、長時間にわたり、ありがとうございました。
いよいよ近づいてきました!
渋谷さくらホール、熊本県立劇場でお会いしましょう!
小原孝さんの素晴らしい演奏、木原浩太さんのキレッキレのコンテンポラリーダンス、小原孝さんと樹原孝之介の『ふたりで弾こう!ピアノびっくり箱2』からの連弾もお楽しみに♪
2017年 8月 3日(木)
ピアノランドフェスティバル2017東京 vol.18
開場:13:00 開演:13:30
03-5742-7542
熊本では、春日保人さんの素晴らしいバリトン、KAJUさんの弾き語り、本田浩平さんの津軽三味線も加わって、盛りだくさんのパフォーマンスとなります。
2017年 8月 12日(土)
ピアノランドフェスティバル2017 vol.18 熊本特別公演
~樹原涼子と復興を応援する仲間たち~
開場:13:00 開演:13:30