フルオーケストラと「花」のリハーサルをしました!

フルオーケストラと「花」のリハーサルをしました!

フルオーケストラと共演する経験は、そうそうあるわけではありません。しかも、歌いながら、なんて!

8月6日午後、ゲーム音楽の祭典PRESS STARTのリハーサルをすませて、明日7日のピアノランドフェスティバル西宮公演のために新幹線で移動中、感動がこみ上げてくるのを押しとどめることができず、日記を書き始めました。

 

 

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作曲家を志しつつ音大ではピアノ科に進んだ私ですが、一時期ピアノよりも熱心に、というくらい歌を練習していました。

自作の歌を作りながら、飽きずに歌っていたあの頃、歌の先生にはつかずに自己流で。

というのも、オペラ歌手のような本格的な発声も、いわゆるボイストレーニングで歌手らいしい発声になるのも違うような気がして、自分の自然な歌声や歌い方をみつけたいと思ったのです。

歌っているだけで楽しかった、というシンプルな理由かもしれません。

すぐにはできなかったけれど、何年かのうちには自分の声をみつけたかな、と思えるようになり、卒業後はCMの作編曲や歌も歌うようになり、そのうち歌のコンサートを開いたり、CDを作ったりするようにもなりました。

 

 

私の中では、作詞、作曲、演奏、歌のどれもが音楽活動として自然と結びついていたので、どれか1つで参加しても、全てを自分でやっても勉強になり面白かったので、アニメの作詞だけ、CMのコーラスだけ、ピアノ演奏だけ、ボーカルだけ、ゲーム音楽の編曲だけ、あるいは全てということもありました。

 

 

だから、こうして自分で作詞作曲した曲を、オーケストラと一緒に弾き語りするというのは、もしかして、私が目指して来たことの総合的な結果のような気がして、リハーサルを終えて何だかじわっと嬉しくなって書いています。

 

8月8日の芸術劇場大ホールで開催されるPRESS STARTというイベントは、ゲーム界で活躍する5人の著名な方達が中心となって、ゲームで使われている素晴らしい音楽をオーケストラで聴いてもらおう!と10年前に発足させた一大プロジェクトで、そのチケットを手に入れるのはとても大変なことと聞いています。

5年前に出演したときには、弾き語りではなく舞台中央に立って歌ったので、まるで歌手「樹原涼子」のようだったのですが、あ、もちろん、歌手でもあるのですが、やはり今回はピアノを弾きながら歌わせていただければとお願いしました。

この曲に関しては、私の中でピアノと歌はひとつになっているのです。

 

 

もう1つ、私が作りつづけて来たピアノメソッド「ピアノランド」は、全シリーズにミュージックデータを作ったのですが、そのこととの関連について少し書きます。

ピアノを習う人はひたすらソロ曲ばかりを小さい頃から練習することが多いのですが、実際にプロになってみると、ピアノという楽器は様々な形で伴奏やアンサンブルをすることの方が多いのです。

音大を出てすぐに、ピアノを教える以外にも様々なジャンルの仕事をしたことで、音楽を仕事にする、ピアノで仕事をするということはどういうことなのかを知るにつけ、音楽制作の現場で求められる力と当時のピアノ教育とのギャップや、足りない部分に気づくことができたのは、得難い経験だったと思います。

 

 

そこで、メロディを歌うセンスを単旋律の楽器並みに磨きたい(ピアノは一度に弾く音数が多いので、メロディだけを魅力的に歌わせることに意識が行き届かないことが多い)、アンサンブルをするのに自分勝手なテンポで演奏しないようにするにはどうしたらいいか(他の楽器を聴きながら演奏する経験が圧倒的に足りない)等、自分なりに問題点を洗い出し、改善する方法を真剣に考えました。

他の楽器の音色や、フレーズごとに入りくんでいる役割を聴きながら会話するように演奏するには……。

解決策は、子どもには最初メロディパートだけに集中させて、両手で受け渡して弾かせること。

連弾の伴奏パートは、広い音域にわたり、オーケストレーションを意識して、子どもの耳を刺激するようにと工夫をすること。

 

 

これはもう、ピアノランドを書いたときにあちこちに書きましたが、「一人で100回練習するよりも、自分よりも上手な人と1回合わせた方が上達する」ということを、スタジオで経験して以来、「レコーディング練習を家でもできるようにならないか」と真剣に考えるようになりました。

ヘッドホンをして他の楽器の音を聴きながらピアノパートを弾くことができれば、様々な要素に大して自分の演奏はどう反応すればいいのか、感じとれるようになるのではないか。

レコーディングでは、せいぜい数テイクしか演奏しませんが、それを、自宅で限りなく練習できたらどんなにいいでしょう。

 

 

 

そんなことを夢見ていたので、本当にミュージックデータを制作できることになったときは、「ああ、これでピアノを習う子ども達の耳がもっとよくなる!アンサンブルが上手くなる!」と嬉しくなったものです。

プロのミュージシャンに毎日合わせに来てもらうのは不可能でも、データなら何回も文句を言わず繰り返してくれる!

そんなわけで、先生と一緒に歌って弾ける「ピアノランド」を出版した数年後にミュージックデータを制作、自宅でレコーディングの練習ができる環境ができたのです。

そして、今はiPhone、iPadでもダウンロードしたミュージックデータを使えるなんて、夢のよう!

 

ピアノランドの広場アイコン

 

もちろん、ミュージックデータと本物のオーケストラは比べるべくもないけれど、でも、それで培った耳は、プロになってから現場でどれだけ役立つか、そのことが改めて実感できました。

少なくとも、イメージトレーニング以上のことができることを確信できました。

あの頃、とても大変だったけど頑張って作っておいて本当によかった!

 

 

こうして、今、作詞作曲した「花」を、自ら歌いながらフルオーケストラと共演しているのは、あの日見た夢が実現したということなのかなと、思ったのです。

ピアノランド育ちの子ども達の中にも、こんな経験をする子がでてくることでしょう。

演奏しながら弦楽器それぞれのハーモニーの作り方に、金管木管楽器の個性的な表現力に、パーカッションの色彩感に感動しながら演奏しました。

極彩色、豪華絢爛の「花」! ピアノの先生達でPRESS STARTをご覧になる方は、多分とても少ないのが残念。

よかったら、「花」が収録されているCD“The Four Seasons-sprng-約束”をお聴きくださいませ♪

 

 

それにしても、100人以上のオーケストラの音圧に負けない演奏をするには、体力気力も必要です!

早く寝なくちゃ。

8日の本番でも、頑張ります。

その前に、明日7日(今日!)のピアノランドフェスティバルも頑張ります!

 

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樹原涼子
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