怒涛の3ヶ月を振り返って 感謝・原点・集合知・未来

感謝

GW明けに秋のイベントのチラシ準備を終えてからというもの、数百件の録音応募(連弾と作曲部門)を聴き続け、コメントを書いて選考、大阪、福岡、名古屋、汐留、表参道の5ヶ所での贈り物ツアー(選んだ子供の公開レッスン、即興セミナー、ミニコンサート)を開催し続けてきました。送られてくる録音、提出物の整理、会場との打ち合わせや準備、当日の運営まで、スタッフはどんなに大変だったことか! 休む間も無く次から次へと押し寄せる仕事をこなし、私が子供たちの未来のために必死で伝えようとしている“何か”が伝わるようにと、一緒に命をかけてくれたと言っても過言ではありません。

しかも、この時期に私は楽譜一冊分の作曲をするという荒技を平行していて(連弾組曲集『時の旅』)、その楽譜の校正や様々なやりとりまで含め、膨大な仕事が短期間に集中しました。8月2日のピアノランドフェスティバルに間に合わせるということで、出版も、録音応募プロジェクトも、フェスティバル準備と合わせて、とてもタイトに準備しなくてはなりませんでした。この2、3ヶ月間の怒涛のような日々を共に過ごし、この同時進行を支えてくれたスタッフと家族に、まずは心からありがとうを言わせてください。何もかも、一人ではできませんでした。

あ、まだ肝心の8月2日前なのに、安心している場合ではないのですが! とにかく、皆で元気でフェスティバルを迎えられそうなことが嬉しいのです。

そして、どの会場にも沢山の方が来てくださったこと。録音応募も贈り物ツアーも、参加してくれる人がいなくては成り立つものではありません。つづけて応募している子供達の力がぐんぐんついていること、先生方の視野が広がって指導力が総合的にアップしていることが感じられること、親御さんが来年も応募させたいと言ってくださること、見学にきた子供が自分も作曲して来年は応募したいと言ってくれること……。

 

あまりの大変さに来年の録音応募プロジェクトの開催を迷う気持ちがあったのが吹き飛んでしまうくらい、沢山の感想をいただきました。来年は、スタッフの仕事がこれ以上増えない形になるよう、方法を考えながら開催できればいいなと思います。

そもそも、個人の音楽事務所でこんなことを始めること自体が普通ではないとは思います。そんなわがままを聞いてくれるスタッフと家族と、それを待っていてくれる先生方や子供達がいて幸せです。

 

 

原点

ただ、大きな組織ではないからこそできる良さもあります。音楽は極めて個人的なものであり、平均的な良さを求めてしまえば個性はどんどんなくなり、当たり障りのないものになっていきます。ピアノランドの連弾を作曲者が直接アドバイスするということに一つの意味がありますし、また、作曲作品は良し悪しの審査をするというのではなく「あなたが作った曲はこんな構成になっていて、ここがこんな風に面白い」という具合に、作曲家の目から作品の解説をするよう心がけています。時には再提出してもらい、本人が納得できるものに仕上げる手伝いをするという2点において、他にはない内容だと自負しています。

私が子供になったとして、受けたいレッスンはどんなものだろう? 弾きたい曲はどんなものだろう? 何を知りたい、何を学びたいだろう? どんな手助け、チャンスが欲しかったか?
それが、録音応募プロジェクトの原点でもあります。

 

集合知

贈り物ツアーの谷間に母校での教員免許状更新講習に行きましたが、小中高の音楽の先生、ピアノの先生方に集中して講義できたことは、私にとって得がたい経験となりました。それは、全国から集まる音楽教育に携わる多くの先生方と、全国から応募してくれた育てられる側の多くの子供達、その両方の理想と現実、悩み、様々な思いに同時期に触れることができたからです。

双方の思いがうまく通じ合っていることもあれば、成果が上がっていないこともあります。それを乗り越えていくための、書籍や楽曲、方法論、セミナー等、既に提案して効果が上がっているものもあれば、まだまだこれから私がすべきことも沢山見えてきました。

 

時代とともに、“集合知”のようなものが変わっていくのは面白いですね。ピアノランドを出版する前はセミナーで「コード」に触れることすらタブー……という雰囲気が強かったものです。ピアノはソロの勉強ばかりでアンサンブルの経験など軽く見られていましたし、様々なところでいろんな変動が起きてきました。その根底の部分は、多くの人の向上心と、その時々の大きな時代の方向性のようなものと密接に関わっていて、やる気のある人たちがどの方向を選んでいくかということで、先はいつくにも枝分かれしています。

どんな分野でも、時代よりも少し先をいく、というのが一番いいのでしょうが、やはり、すぐにはわかってもらえないことでも根気よく研究をつづけて、理解できる形にして提供するということが必要です。ピアノランドを書く前から目標にしていたことは、今、次々に実現しつつありますが、何年も継続したからできたことばかり。まだまだ先まで届くよう、頑張りたいと思っています。10年、20年前を振り返れば、多くの方の努力のおかげで音楽の指導環境は大きく変わってきたということを励みに、でも、まだまだ全然満足できるところまではきていないこともわかりました。

何に満足できていないかは、ものすごく長くなるので、また今度。

 

未来

未来への宿題は、永遠にあるのだなぁと思います。それらの宿題は、生きている時間との競争かもしれない。

教育によって未来は変わる、という確信をこの頃さらに強く持つようになりました。教育によってしか変わらないものがあると気づいたからでもあります。

たとえ才能がある子供がいたとしても、その才能の使い方、伸ばし方、そして才能に潰されない生き方までも身につけられるように見守ることの大切さ。

そして、きらびやかな才能ではなくとも、自分のよさを認め自分の音楽を大切にすること、コツコツと続けることも立派な才能であることを伝えていくこと。

 

教える人は、子供がする努力は子供自身のための努力であるようにと、忘れないでいてもらえたらと思います。
燃え尽きて音楽をやめてしまう子供がいなくなるように。
音楽が、生きる力を与えてくれるものであるように。

 

 

そんな願いを持って長く続けて来たことの一つ、18年欠かさず開催してきたピアノランドフェスティバルは、今回19年目、そして64公演目にあたります。その全てにお付き合いくださっている小原孝さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

今年のピアノランドフェスティバルは、私が見たいと思う「ピアノランドフェスティバル」。

「ピアノランド王国物語」やピアソラ等、春日保人さんの迫力の歌声はきっと心にしみるでしょう。
小原孝さんのソロコーナーでは、懐かしさと美しさで会場が満たされることでしょう。
クリステル・チアリさんの英語の歌のコーナーでは、会場に笑顔の花が咲くでしょう。
新刊の初演でお届けするお話組曲「小さな時間旅行」では、モードの不思議な旅へ。
小原さんのピアノで春日さんと歌う「花」では、生きる力を感じていただけるように……。

 

2018年 8月 2日(木)

ピアノランドフェスティバル2018東京 vol.19

「歌うピアノランド 壮大なピアノランド物語を聴こう! 歌おう!」

開場:13:00 開演:13:30 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(東京都渋谷区)
ピアノランドメイト事務局 03-5742-7542 info1@pianoland.co.jp

 

 

 

 

 

樹原涼子
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