樹原涼子ようこそピアノランドへ!

 
 
 


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いろんなことがあり過ぎて…の連続です。

 私の場合は、毎日ではなく時々更新しているので、その1週間の間の印象に残ったことやみなさんにお伝えしたいことなどを、いくつかピックアップして書くようにしています。が、今週は本当に困ってしまうくらい色々ありました。

 本の執筆がいよいよ山場を迎えると同時に、ムジカノーヴァの連載やピアノランドメイトの締め切りもやって来て、ピアノランドフェスティバルの取材インタビュー、大阪のセミナー、講師の研修準備…そんな中、二十数年来の友達というよりは仕事と人生の大先輩である栗本薫さん、私にとっては中島梓さんの訃報が届きました。

 
 まだ音大を出て間もない頃、仕事らしい仕事を始める前のこと、お宅によく遊びに行っては、料理を習ったり買い物に出かけたり、ピアノで遊んだり、本当に仲良くしていただきました。赤ちゃんともよく遊んだっけ…。あの頃は最年少で文学賞を取ってお忙しい頃で、歌舞伎からミュージカルまで手がけるスーパーウーマン!仕事とプライベートの区別やら、家事の段取り、パーティー料理の作り方におもてなし、着物の買い方(これだけはお金がなくてマスター出来なかったけれど)まで、お姉さんのように教えてもらったのでした。
 数年後にはピアノランドシリーズの出版が始まり、セミナーや子育てをかかえて伺えなくなりましたが、女性が出版界で活躍するにはどういう心構えがいるか、あの頃に自然と勉強させていただいたのだなと、本当に有り難く思っています。2年前には久々にご自宅で手料理をいただいて、少人数の執筆ライブを見せていただいたり。その後、闘病の様子は伺っていましたが、こんなに早く逝ってしまわれるなんて、本当に悲しい。

 私にとっての救いは、きっと、幸せでいらしたということ。誰よりも中島さんの書くものを理解して、いつも身近で支えていらした編集者でもあるだんな様と、それは仲のいいご夫婦でした。栗本薫の名前であの頃から書いていらしたグインサーガは、126巻目を春に出版されてもなお完結しなかったのは、とても残念だけれど。(外伝も数えると147巻にもなるそうです)

 
 明日は、中島さんに習ったタラモサラダやラタトゥイユを作って、大好きだったワインを開けよう。ありがとうございました、中島さん。

 きっと中島さんは、こんなときでも原稿を書いていましたよね。命がけで書いていましたよね。私も、泣かないで、書き続けていきますから。

2009年05月27日 樹原涼子
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アルゲリッチ音楽祭、行ってきました!

 15日は、樹原涼子のコード塾、第2期生の最後の授業&卒業パーティーでした。みんなに力がついたことが実感できたのが、何よりの喜びです。私も学んだことが多く、第1期よりも充実した講義ができたような気がしています。みんながそれぞれのペースで成長していくプロセスがすごくおもしろくて、コード勉強会の立ち上げのエネルギーにもなりました。
 卒業後、引き続き3期生になる人、コード勉強会やピアノランドコンサートの勉強会に進む人、すでにマスターコースを始めた人など、なにしろそのパワーに驚きます。ついてきてくれる人たちに、喜んでもらいたい、役に立ちたいと思うことが私のエネルギーなんだとつくづく思います。

 でも、桁外れなエネルギーの持ち主、マルタ・アルゲリッチにはかないません。
 17日、大分で開かれたマラソンコンサートに行ってきました!
 去年の紀尾井ホール(10周年記念で東京でも公演がありました)も素晴らしかったけれど、やはり、音楽祭の地元で、その渦中で聴くと、イベント全体が醸し出す熱気も感じられて、本当に素晴らしかった!(取材で行った1999年の第2回のマラソンコンサートの迫力を昨日のことのように思い出しました)4時間半にわたって次々と繰り広げられる競演の中身はどれも凄くて、ため息も出ないほどです。
 音楽って素晴らしい!堪能しきって喜びにヒタヒタに浸って、体中濃密な音に満たされた状態は、他のコンサートで味わえるものではありません。
 具体的に報告しようと思ったのですが、やはり、行ってみないと。どこがどうというのではないのですね。みなさん、来年、行きましょう!

 とはいえ、9つの演目から、せめていくつかはご報告しましょう。
 アルゲリッチは、前半にハイドンのピアノコンチェルト二長調、ラストにブラームスのピアノ四重奏曲第3番を演奏。ハイドンでは、宝石のようなきらめく音色で、自在な表現に時を忘れ…桐朋の学生オケも、アルゲリッチの怒濤のようなドライブ感に食いついて3楽章のアレグロ・アッサイでは素晴らしい高みに…アルゲリッチの、若い世代への教育によせる並々ならぬ情熱を感じました。オケはリハーサルよりずっとよかったそうですが、なんて幸せな経験でしょう。音楽は、愛だ…と感動しました。
 また、ブラームスは、マラソンコンサートの最後にふさわしく、これでもかこれでもかと言わんばかりの集中力と完成度で圧巻。ギドン・クレーメルの気品と知性あふれるヴァイオリン、他の曲では指揮でも活躍したユーリー・パシュメットの繊細で音楽性のあるヴィオラ、美しく優雅なチェロ、そしてみんなを音楽を奔流に巻き込みぐいぐいと引っぱり、命を吹き込むアルゲリッチのピアノ。繊細なバランス、生き物のようなダイナミクス、何もかもが夢のように美しい。特に3楽章のアンダンテはロマンティックで、どこか懐かしく、うっとりと味わいました。

 特筆すべきはセルゲイ・ナカリャコフのフリューゲルホルンでの演奏。なんとハイドンのチェロコンチェルトを演奏!本当に楽しい演奏でした!
 そして、ブラボーと叫びたくなったのは、ヴィヴラフォンのアンドレイ・プシュカレフ。バッハのインヴェンション4、9、2番を彼のアレンジで、限りなく Jazzyに聴かせてくれました。よく知っている曲たちが生き生きと跳ね回り、新たな魅力に輝いて、惜しみない拍手が送られました。そう、バッハはいつもクラシックをジャズに、ジャズをクラシックに連れて行ってくれる唯一の作曲家。この曲がラストから2番目を飾りました。ヴィヴラフォンのソロがラストのブラームスの前とは驚きましたが、聴いて納得、コンサートの副題『音楽の未来』にふさわしい演奏でありました。

 今回、熊本のマスターコースの卒業生数人と、熊本から列車で大分入り、一緒にコンサートを楽しみました。音楽祭がスタートしたときからアルゲリッチの譜めくりという大役を務めているのも卒業生のひとりなので、裏方の苦労にも思いをはせながら…。大変なんですよ、譜めくりは!無事に務めを終えた彼女と終演後に会ったときは、もちろんエネルギーを使い切っていましたね。音楽祭を支える伊藤京子さんはじめ、たくさんの人たちの献身的な働きは8年前に取材した時からさらにパワーアップしていて、おかげ様で本当に幸せな時間を過ごすことができました!
 この喜びと感謝の気持ちは、ピアノランドフェスティバルでたくさんの子どもたちにお返ししなくてはと思います。がんばるぞ〜!

 翌日は、大分でピアノの先生の質問になんでも答える、というセミナー。特定のテーマがないのはスリリングで、多岐にわたる質問にお答えしてきました。みなさんがどんなことに困っているのかよくわかったのと、いくつものセミナーのエッセンスが凝縮される結果になったので、お互いにとても勉強になりました。次は、七夕の日に、静岡でもQ&Aのセミナーがありますが、どんな質問が飛び出すでしょう…。
 帰りは、別府湾沿いにドライブをして空港まで。幸せで長い旅でありました。

 来週26日は、大阪で“The Four Seasons ベスト・セレクション”のセミナーがあります。インフルエンザでの休校も今週いっぱいなので、通常通り行うとのこと。様子が変われば、ホームページでお知らせしますが、直前にはお店までお問い合わせくださいね。

 それでは、長い報告を終わります!

2009年05月21日 樹原涼子
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倉敷はもう、夏でした!お元気ですか?

 24日は、少し早めの便で岡山から倉敷入り、地元の若手ピアニスト友光雅司さんのサロンコンサートに。ときどきは、こうして知らない人の演奏を聴くのも楽しみです。
 ヴィラ・ロボスやコープランド、バルトークなど、最近のものをとても楽しげに弾いていて、そう、時代が近いものって、弾く人が作曲家と共有できるものが多いという点で、実はわかりやすい部分もあるんですね。自分が生理的に共感できる曲を選ぶのも、ピアニストには大切なことです。もちろん勉強も大切だけど、好き、というエネルギーは、音楽においてとても大切だと、改めて思いました。これからの活躍が楽しみです。

 翌日の公開レッスンが同じ会場、同じピアノだったので、とても興味深い経験にもなりました。「君は君のままで」「夢のように花のように」「どんな日もどんな日も」「花」。どれも、和声変化やメロディから曲の心を感じ取って表現しているのが伝わり、6回シリーズで時間をかけてきた手応えを感じます。
 今回は、ペダルと脱力がいかに「伝える」クォリティにかかわっているか、がテーマに(結果的に)なりました。ドライブ感、音楽の推進力はプロでも足りない人が多いけれど、みなさん健闘していてよかった!どの人も、緊張しつつもとても楽しそうで、人前での演奏が癖になっていく気配濃厚です。
 こうして、私の作品が誰かに演奏されて、曲としての命を持つ瞬間に立ち会えるのは、幸せなこと。生みの苦しみが喜びに変わるから、止められないんですね…。

 東京、名古屋、広島、大阪、津山、倉敷…限られた地域でしか行っていないけれど、この『The Four Seasons ベストセレクション』のセミナーは続けていきたい、と固く心に誓いました。どの曲にも私の人生が詰まっているから、きっと、ピアノの先生たちにとっても、時代、シチュエイション、そして生理的に共感していただける部分が大きいのかも…だから、公開レッスンの素材としても、高い効果があるのかもしれません。

 そういえば、「花」の作曲、初演日を調べてみたところ、1995年の作曲で、初演は10月20日に国立楽器のライブでした。あれからもう、14年近くもたっているんですね!びっくりです。
 DVDを見て、初演のときと歌詞を変えたことを、すっかり忘れていてまたまたびっくり。そういえば、ゲームデザイナーの桝田省治さんが、その次のライブの時に「歌詞、前と変わった?」と言っていたのを思い出しました。数回のライブの映像を確認して、演奏だけでなく衣装やおしゃべりも懐かしくて、ちょっと夜更かししてしまいました。ああ、ほんとに音楽ってやめられない!また、メラメラと歌いたい気分が盛り上がってきました。
 今年は、先生としての仕事と、シンガーソングライターとしての仕事の両方が忙しくなればいいな、と、欲張っています。8月2日のPRESS START 2009 SYMPHONY OF GAMESにも、どうぞお出かけくださいね。


 では、次回はアルゲリッチ音楽祭のご報告をお楽しみに!

2009年05月14日 樹原涼子
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ゴールデンウィーク、満喫されましたか?

 私は、来る日も来る日も原稿書きにいそしむ日を過ごし、大満足の連休でした。何が楽しいって、電話も打ち合わせもなく、ひたすら音楽のこと、ピアノのことを考え続ける時間が持てるなんて、普段では考えられないことです。家に居ながらにしてホテルに缶詰になったようでした。ハタからは、旅行にも行かず,遊べなくてかわいそうなのかもしれませんが、ずっと書いていたいなと思うのです。
 まだしばらくかかるので、いいものができるように頑張ろう!

 それから、お知らせです。引き受けたわたし自身が、そうだったの!と、スタッフが買ってきてくれた『ファミ通』でイベントの概要を今日知って驚きました。8月2日、東京芸術劇場で「PRESS START 2009 SYMPHONY OF GAMES」という、ゲーム音楽の祭典のオーケストラコンサートがあり、そこで東京シティフィルをバックに「花」を歌うことになりました。
 昨年は発売即日完売という、ゲームファンにはとても有名なイベントなのだそうです。「俺の屍を越えてゆけ」というRPGの音楽を全編作曲したのは、もうずい分前のことですが、オープニング曲の「花」は長く愛され続けていて、カラオケにも入って、弾き語り用曲集『樹原涼子の The Four Seasons ベスト・セレクション』も作りたくさんの人が演奏してくれるようになり、華麗で難しいピアノソロバージョンのほうはピアノの先生たちの人気曲となり、11日も倉敷で公開レッスンの曲になっていて…。
 この曲は、どこまでも私をいろんな所に連れて行ってくれるようです。今年は昼夜2回公演なのだそう。あ、人ごとでなく、私も2回、歌うんですね。
 「花」はごきげんバンドで2回レコーディングしていて、ひとつはゲームのサントラ盤、もうひとつはそう、この右のバーの上から3番目の、「spring 約束」の中にも収録されています。どちらも思い出がいっぱいのレコーディングでした。今回はオーケストラでどんなアレンジになるのか、とても楽しみです。(ちなみに、8月のピアノランドフェスティバルでも演奏します)
 興味のある方は、ファミ通の5/22号、またはこちらまで。

 では、11日の倉敷の公開レッスンで、お会いしましょうね!


P.S.
6月7日の表参道での子ども公開レッスンで、「陽だまりの家」を弾く生徒を募集中です。ご希望があれば、ピアノランドメイト事務局までどうぞ。

2009年05月 8日 樹原涼子
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いよいよゴールデンウィークですね!

 みなさんは、どんな連休をお過ごしですか?
 私は、事務所はカレンダー通りだし、連休中に本を1冊書き下ろす計画なので、明けても暮れても原稿を書く予定です。集中が続くように、ストレッチや食事にも気を使っているので、いつもより元気です。今日も昨夜のつづきが早く書きたくて目が覚めてしまいました。がんばります!少しメドがたったら報告しますね。
  
 23日はマスターコース10期生の 同窓会 &久々の講義。脱力や手のフォーム、タッチポイント、よい音響く音で弾けるかなど、改めて当たり前のことをいろいろな角度からチェックして、みんなの進歩に目を細めてから美味しい仏料理。みんな引き続きピアノランド勉強会や6月に始まるコード塾などで勉強する人が多く、勉強する人はずっと勉強するのだと改めて納得しました。自己投資がよい結果を生む、よい流れ、よい循環を自分で作ってきた自信が、みんなを輝かせているのでしょう。

 27日は熊本でのマスターコースの卒業演奏会&昼食会&私のミニコンサート。九州各地から集まり、2年間の勉強の成果をそれぞれに発表したみなさん。それぞれに思い入れのある曲でプログラムを組み、ステキな演奏会となりました。やり通した晴れがましい気持ちが伝わってきて、本当に嬉しい。東京以外で初めて開いたマスターコースは、私にとっても挑戦でした。卒業おめでとう!
 九州でコンサートができる機会は少ないので、午後は私のミニコンサート。CDになっていない曲も演奏して、私からの愛と感謝を精一杯伝えてきました。こんな時代だからこそ、ピアノの先生たちには自信を持って音楽の素晴らしさを子どもたちに伝えていってほしい!これからもずっとずっと応援しています、と、別れを惜しみました。

 でも、卒業は終わりではなく新しい始まりです。これからも九州各地での活動は続ける予定です。そのスタートとして、5月18日に大分で「ピアノの先生方の疑問にお答えするセミナー」を開きます。ぜひ覗いてみてくださいね!お役に立てれば嬉しいです。

 それでは、みなさん、楽しい連休をお過ごしくださいね。 


P.S.
好評でスタートしたコード勉強会、新たに池袋、桑名市、飯塚市で募集を始めました。
発表会用曲集ピアノランドコンサートの勉強会は国立、大阪、広島で募集中です。

2009年05月 1日 樹原涼子
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