汐留ベヒシュタイン・サロンにてレッツプレイ♪ピアノランドでした!

汐留ベヒシュタイン・サロンにてレッツプレイ♪ピアノランドでした!

6月16日(日)は、父の日だったのですね!
「レッツプレイ♪ピアノランド」の日程を決めるときには、そんなことは思い出しもせず、“日曜日”ということでホールを取ったのでしたが、前日の大雨とは打って変わった晴天、家族でお洒落なイタリア街に出かけていただくのに丁度良い日となりました。

「レッツプレイ♪ピアノランド」を一言で言うと、「ピアノランドや樹原涼子の作品を演奏したい人を募り、出演者の演奏に対する作曲者のアドバイスをみんなで聞く会」です。そして、自宅や教室では弾く機会の少ない名器のフルコン(フルコンサートグランド)を、演奏会用の丁寧な調律で、子供達や先生方にも楽器の持つパワーと繊細さを感じていただき、楽器と対話しながら演奏してもらいたい、と「ピアノ」にこだわりを持って会場を選んでいます。

5月5日はカワイ表参道で Shigeru Kawai のフルコンで、そして6月16日は世界三大ピアノの一つであるベヒシュタインのフルコンで、という機会を作りました。どちらも沢山の演奏の応募をいただき、汐留では30数人が出演、100人以上の来場者で冷房もフル回転、熱気あふれる1日となりました。保護者の皆様、先生方それぞれにまたとない体験をしていただけたのではと思います。

 

レッツプレイ♪ピアノランド in 汐留のプログラムと、集合写真です。

10:30~12:00  グループA ピアノランド1、2巻を中心に

 

 

13:00~15:00  グループB ピアノランド3、4巻を中心に 作曲作品も

 

 

15:30~17:00  グループC ピアノランド5巻、樹原涼子ピアノ曲集から

 

 

グループA

グループAでは、年長さんから小学生の子供達が9名、その年らしいのびやかさと素直さでピアノランド1、2巻の曲を次々に演奏。ちょっとしたミスを物ともせずに音楽に乗って演奏できる姿もよかったし、みながとても綺麗な音で演奏できていることもよかった。ほとんどの子供達が無理のないフォームとタッチでベヒシュタインからクリアで可憐な音で演奏している姿に目を細めつつ、「ここがとてもよかった!でも、さらにこうしたらもっとよくなります」とアドバイスしていきました。

 

 

公開レッスンではないので、一人一人へのアドバイスは口頭でその子にわかるように伝えていきますが、上の写真のシーンは「おつきさまのふね」を演奏した吉田実丘さんに「その曲で一番大切な長い音は、ただ鍵盤に指を置いておくのでは物足りない。例えば、バイオリンであればビブラートをかけて弓に圧力をかけて音を歌わせたいところです。それを、ピアノではどうしたらいいかな?」というわけで、1ポイントクリニック。ピアノで長い音を歌い切るコツを、6歳でもしっかりマスターできました。拍を数えながら鍵盤に指を置いておくだけではなく、自分の腕の重さと気持ちを使って音楽を歌いつづけ、最後の最後まで響きを届けられるように、できました!

 

 

 

他に、「譜読みが早くできるようになるためにどうしたらいいですか?」という質問ももらったので、Q&Aのコーナーでお答えしました。
「音の高さと長さがわかればピアノを弾けるって思ってるでしょ? そうではなくて、音楽の流れの中でそれを読んでいかなくては音楽にはならないのです。それには、テンポ感と拍子感が必要で、その中でリズム、音の高さを、必要な場所に置いていけるようにしていきます。だから、ただ、音の高さと長さがわかれば弾けるわけではないのです。“二段階導入法”で、拍子を感じながらリズムボールを叩く勉強をしましたね。そこに、音の高さを入れていきます」
このようにお話ししたところ、先生方と保護者のみなさんは驚きと納得の入り混じった反応がありました。拍子感が会得できているかどうかは、演奏以前に、譜読みの力の差となって跳ね返ってくることを、先生方に伝える必要性を感じた一コマでした。

 

グループB

グループBでは、ピアノランド3、4巻の演奏11人、作曲4人が頑張りました。
驚くことに、弾き語りをする子供達の割合がとても高く、それもとても上手! 演奏と歌を同時に行うというのは、脳の中で沢山のシナプスがつながってその動作を行っているということです。演奏だけでも魅力的に弾くのは大変ですし、人が聴いて楽しめるほどに歌うということはとても難しいものですが、その両方を上手にできる子供達。ミュージックデータに合わせたり、一人でソロを弾きながら歌ったり、生き生きとした演奏がつづきました。それを見て、私も子供の頃にピアノランドでピアノを習いたかったなぁ……と思いながら、アドバイスをしていきました。

 

作曲作品は4曲でした♪

作曲に取り組んだ子供達は、「これを音楽にしたい!」とくっきりとしたイメージを持って作る場合と、弾いているうちにいい感じになってそのイメージのタイトルを後からつけた場合とがありました。前者が「のんびりひこうき」「こぐまのさんぽ」「雪の中のしあわせ」、後者が「夕日の海」。どちらの方法でも曲は生まれますが、作曲したことがない子供達にとっては、こういう話もとても大事です。そして、タイトルと曲の内容が一致していることもとても大事です。今回の作品は、ネーミングもみな上手で、曲調とよく合ったタイトルです。それぞれの曲に個性があり、よく工夫されていて、努力の跡がよくわかります。

 

ただ、送られてきた楽譜を見ただけではまだ、伝えたいニュアンスがまだ十分に伝わってきていなかったのですが(作曲者の伝えたい情報をどこまで楽譜に書き切れるかは、プロでも苦労していることです)、子供達は演奏の中で、それをしっかりと伝えていました。「これはこんな曲なんです!ここはこういうイメージを伝えるための音型で……」という、作る立場になって初めて獲得する「表現力」が、これなんですね。これを獲得してほしくて、子供達に作曲を勧めているわけです。この苦労をした子は、作曲する人の頭の中を想像しながら演奏することができるようになっていきます。

 

各グループで「即興遊び」を少しだけ

もっと無限にインスピレーションが湧いてくるように、「即興演奏に挑戦してみよう!」 と、今回は『耳を開く 聴きとり術 コード編』のCやCmを聴いて、心に浮かんでくる具体的な音に耳をすませてみました。

写真は、孝之介が弾いたコードを聴いて、どんなフレーズが浮かんできたかインタビューしているところです。

 

 

 

グループC

6年生の佐々木恵さんと佐藤ほなみさんの連弾「いかないで」でスタート。発表会で演奏してから、さらにこのステージでの演奏とのことで、とても息が合っていました! お揃いの爽やかな衣装のように、コード感を共有して感じあい、反応しあって弾いているところが素晴らしい。心と心をここまで重ねて演奏できるのだから、これからはさらにもう一歩先の景色を見てみたいはず。アドバイスを聞いているうちに「自分たちにはもっとできる!」と自信が芽生えてきたようです。

 

 

この後は、5人のピアノの先生方が登場。ベヒシュタインで弾いてみたかった樹原作品を次々に演奏されました。アドバイス内容は演奏を聴いていない方に伝えるのは難しいのですが、“音楽的に演奏する”という際限のない扉を次々に開けては深く掘り下げていく研究会……という感じで、手応えのある時間となりました。何曲かはアドバイス後に再度演奏してもらう時間があって、聴講の方達も一緒に進化、深化を味わいました。

 

この催しは、決して子供のため限定ではなく、音楽するすべての方に開かれたものなのだなぁと、終わってしみじみと嬉しい気持ちになりました。出演された皆さん、ありがとうございました。

 

 

ミニコンサート

A、B、C、それぞれの時間の最後に、樹原孝之介と私のコンサートタイムを取りました。子供達や保護者の方に聴いていただきたい曲を、『ふたりで弾こう!ピアノびっくり箱』や樹原涼子ピアノ曲集から選び、連弾やソロで楽しんでいただきました。特にCの最後には、父に捧げた「やさしいまなざし」を(先日舘野泉先生がこのホールで演奏してくださったコンサートを思い出しながら……)、天国の父にも届くように、いつもよりも緩急のある演奏で。そして、ラストは孝之介が「いだてんのテーマ スローバージョン」をピアニッシモを効かせた演奏で。

5月、6月のレッツプレイ♪ピアノランドに持参した楽譜たち。日本では売っていない北京語の楽譜も混ぜてみましたがわかるかな? そう、「鋼琴園地」というのが「ピアノランド」なんですね!
香港の出版社のサイトで購入することができます。こちら

『いだてん メインテーマ』の楽譜は、ミニコンサートで演奏した賑やかな連弾バージョン(途中のクラップや、ラストに「いよ〜、ぽん!」の掛け声もぜひ)と、しっとりとしたスローバージョンの2曲入り。大友良英作曲、江藤直子編曲、発表会におススメです。

 

 

レッツプレイ♪ピアノランドin 汐留」を終えて

 

先生方のご協力により、保護者の皆さんにこのイベントの目的がしっかりと伝わっていて、こうして、多くの演奏者、保護者の方にご参加をいただくことができました。先生方、本当にありがとうございました。

私が思い描いた理想像に近い形での「レッツプレイ♪ピアノランド」が開催できたことは、本当に嬉しいことです。ピアノランドの初歩、中盤、卒業〜大人の曲を演奏するところまでの流れを、丸一日かけてご覧いただくことができました。これは、どんな教材であっても同じことですが、音楽教育には、それぞれの段階で端折ってはいけないところがあり、そこをきちんと伝えていくことで、ピアノ音楽という文化が、ピアノという楽器の素晴らしさが、次の世代に伝わっていくのだと思います。音楽の美しさを理解して表現する喜びを、これからも各地の皆様と分かち合いたく、楽しみにしています!

 

 

2019年 8月 2日(金)

ピアノランドフェスティバル2019東京 vol.20NEW

「ピアノランド王国物語 おてんば王女の大冒険」

 

下記の2つの催しは、受付開始日が決まっていて先着順となりますので、どうぞお忘れなく。

2019年 8月 7日(水)

みんなで弾こう 作ろう! レッツプレイ♪ピアノランドin名古屋NEW

申込受付開始日:2019年7月1日(月) AM10:00〜

 

2019年 9月 1日(日)

みんなで弾こう 作ろう! レッツプレイ♪ピアノランドin大阪NEW

申込受付開始日:2019年7月7日(日) AM10:00〜

 

 

 

樹原涼子
PAGE TOP ↑
single-diary.php