度肝を抜かれたリサイタル!
度肝を抜かれたリサイタル こんな演奏、初めて聴いた!
人よりはたくさんコンサートに行っていると思いますが、これまで数え切れないほど聴いたピアノリサイタルの中で、今夜の演奏は度肝を抜かれました。だって、こんな音、こんなバランス、こんな演奏、聴いたことない!
始まりは11月6日のFacebookで、クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんが、あまりにもすごい音楽を聴いて取り乱しているのを見て、彼女ほどの耳の持ち主がこんなに大騒ぎするって何?
調べてみると7日にフィリアホールで演奏会があり、あとは静岡とか遠方で日程も無理。というわけで、大急ぎで夫がチケットを押さえて、仕事を早めに終わらせて(終わってないけど)かけつけるということになったのでした。
オールショパンの1曲めは、ノクターン嬰ハ短調(遺作)から。
こんな音、聴いたことがない。
ここまで大胆で緻密なバランスも聴いたことがない。
この和音がこんな風に響くなんて、どのピアニストが弾いたときとも違う、全く異なる響きが聴こえるけれど、これは何?
このホールのスタインウェイは何度も聴いたことがあるけれど、宇宙の彼方から飛んできた楽器のように、私が知らない音がする。言ってみれば現代のスタインウェイではなく、20世紀の巨匠たちが演奏していた乾いた木の香りがする昔々のスタインウェイのような、いったいどこまでコントロールすれば気が済むの?というくらいデリケートなタッチと陰影。
美しいだけではない美しい音。
無数のグラデーションがあり、どんな小さな音符達にも役割が与えられている。
ハーモニーの表現が素晴らしい。
私がコード塾で取り組んできたことの答えがここにある。
そこには、意思があり、深い精神性が宿っていて、ゆるぎなくそそり立つような音楽。
トークタイムに、この企画をされた浦久俊彦さんのインタビューがあり、第二次世界大戦でドイツがポーランドに侵攻したとき、ショパンの音楽を徹底的に破壊したこと、そんな苦しいとき、ポーランドの人の心の支えであったショパン……。
華麗な、情熱的な、激しい、憧れの……というのとは全く違うショパンがそこにありました。
ヤノシュ・オレイニチャク氏は2020年のショパンコンクールの審査員とのこと。まだまだ日本で知られていない素晴らしい演奏家がたくさんいるのだろう。
この企画を手がけられた浦久さんに、そして、この公演の素晴らしさを伝えてくれた飯田有抄さんに感謝いたします。
終演後、飯田さんご夫妻とピアニストの内藤晃さんと小一時間楽屋口で感動を語り合いました。とてもこのまま帰れないよね!と、それぞれの感想を伺いながら、共に聴けた喜びを確認しました。
サイン会終了を待ちながら、実方 康介さん、内藤晃さん、私、飯田有抄さんと語り合いました。
そして、浦久さん、ヤノシュ・オレイニチャク氏、夫も一緒にみなさんと。
みな、それぞれの感動を胸に、この日の衝撃をもう少ししないと受け止め切れないかもしれないと思いながら家路につきました。
日本の風景や心を、私なりにしっかりと音楽にしていこうと、心に誓いました。
私が音楽をしていることの意味を改めて考えさせられたコンサート。
ヤノシュ・オレイニチャクさん、ありがとうございました。