汐留の贈り物ツアーはまた、ちょっと違って……♪
こんな猛暑が続くとは!
「未来へ手渡す音楽の贈り物ツアー in 汐留」は7月23日、38℃という気温にも負けず、みなで笑顔で終了することができました。よかったです!
この日、ユーロピアノの代表取締役社長の加藤正人さん(マイスターでもいらっしゃる)に、ベヒシュタインの魅力や気をつけることを伺ったところ、なんと、「音色を変えるというのは、そこに含まれる倍音をコントロールするということです」と、“通”に教えるようなことを子供達へ特別にレクチャーしてくださいました。
特定の倍音を鳴らし、それを聴く練習をさせてくださったので、先生方もびっくり!
倍音を聴く耳を育てたいと常々思っていたことに大きなヒントをいただき、ありがとうございました。(この倍音については、またの機会に!)
さて、大阪、福岡、名古屋と各地を回ってきましたが、地域ごとに個性があることがよくわかって面白いなと思いました。大阪と名古屋は個性的な作品や伝えたいエネルギーに溢れている子が多く、九州ではひたむきな集中力と自分らしさを持っている印象でした。今回の東京の1日目、汐留会場ではややおとなしいイメージがありましたが、内に秘めているものはそれぞれキラキラしています。それを、見える形にしていくきっかけになれば嬉しいなと思いながら、即興演奏のワークショップと公開レッスンをしました。
自宅に戻って改めて考えました。当日、私が子供達に伝えたかったことを少し整理してみます。
公開レッスンを通して伝えたかったことは、自分に自信を持つ、ということです。
「私はこう感じている」「私はこう思う」「こう弾きたい」ということをはっきり意識してほしいなと思うのです。
そのときに、「これは正しくないかもしれない」「変かもしれない」「自信がないから、ま、いいか」と思わないこと。
音楽や芸術に取り組むときに、失敗を恐れて何もしないのだったら……それは、ほとんど意味のないことになってしまいます。
勇気を出して、そうしようと思ったことはやってみましょう。
あなたが、自分の考えで音楽を表現することはとても大切なことで、それは、あなたが生きているということでもある、とても大事なことだから。
そして、そのためには何が必要かを考えること。
あなたの考えを音楽にするために、どんな音色やテクニックが必要か、と考えるとき、音楽はやっとあなたのものになり始めます。
それらを整理して、音楽を魅力的に輝かせるための方法を一生懸命考えましょう。
できていないことをできるようにするためには、何が必要かを考える。
これは、ゲームをするときに、目標を達成するためには何が必要か? 早く達成するためにはどうしたらいいか? どんなアイテムがいつ必要か? と考えるのと同じです。
音楽を自分のこととして意識できたときにはきっと、作曲家とコンタクトできているはずです。
もちろん、あなたが上達するために「先生」がいるのだけれど、そして私も「先生」をしているのだけれど、先生はあなたの音楽を引き出す手伝いはできても、あなたの音楽はあなたにしか演奏できないし、あなたの曲はあなたにしか作ることはできません。
先生は、あなたのサポートはできても、あなたの代わりに演奏することはできません。
あなたが、自分で自分の人生を生きていくように、自分の音楽を生きていくのです。
そんなことを、私は、レッスンで伝えたいのだなと、家に帰ってから明確に言葉にすることができたので、こうしてパソコンに向かっています。
何というか、子供たちがとても健気で可愛いと思いました。まだまだ、自分で考えつくことは少ないかもしれませんが、とても一生懸命に、みんな自分の言葉を探そうとしていました。
それを、急かさず、考えるきっかけを与えながら、教える側の考え方、生き方をしっかり見せていくことが大切だなと。
これは、20代、30代のときには思わなかった類のことかもしれません。
あの頃は、ノウハウを教えることに一生懸命になっていたし、それもまた大切なことでした。でも、沢山の本にノウハウをまとめ、本質を見極めたいと歩いてきた今は、少し違った角度から子供たちを俯瞰して眺められるようになりました。
その子が本当の意味で輝くために、音楽が必ず力になる。
そんな風に感じています。
明日(7月24日)は、武蔵野音楽大学で教員免許状更新講習があり、多くの先生方にお目にかかります。
音楽の先生という職業は、他の教科とは少し違う立ち位置にあって、本来数字で評価しにくい学科でもあります。
点数にはしにくいけれど、表現というものを子供に求める以上、私たちにはもっともっと考えなくてはならないことが沢山ありそうです。
つい前置きが長くなりましたが、子供たち、本当によく頑張りました!
★作曲の公開レッスン
1. 長島 和花 (小3) 春が来た来た!
2. 足立 優妃 (小3) 組曲「森の中」
1 朝の風 昼の風 夜の風 2 かなしいおはなし 3 からすの気持ちになって
3. 上野 悠 (中3) おんぷのダンス
1 春が来た喜びがメロディになり、自然と言葉が流れ出しました。改定版の歌詞いいですね。
2 組曲には工夫がいっぱい。「カラスの気持ちになって」がとても不思議で面白い!
3 ロンド形式で、ステキな曲ができました。引き立てあうセクションの作り方を学びました。
★連弾の公開レッスン
1. 岡本 織月 (小3) ピアノランドマーチ (ピアノランド③)
2. 笠原 茉菜 (小3) なつかしいカノン (ピアノランドコンサート㊥)
3. 一宮 倫寧 (小4) 気のあうふたり (ピアノランドコンサート㊥)
4. 飯塚 心彩 (小6) Dreaming (ピアノランド⑤)
1 フレーズ中の細かいイントネーションが大進歩。ぐんとコード感が出ました!
2 6手連弾で主役らしさを出し、最後のピチカート風スタッカートもステキになりました。
3 パキッとしたアクセントをマスターして大変身、楽しみました。
4 フレーズ内の強弱、歌い方が細やかになり、Dreamingらしい演奏に。
次点の子供たちの演奏も記念に発表してもらいました!
〈記念演奏 作曲部門〉
1. 岡本 織月 (小3) ランラン・ルンルン・楽しい楽しい楽しい動物園
2. 髙野 絢 (小3) みんな 大すき
動物の特徴を動物本人に聞くというユニークな視点の曲と、広い音域で歌い上げる愛に満ちた曲が演奏されました。大人にはない発想です。
〈記念演奏 連弾部門〉
1. 島村 花暖 (小3) ピアノランドマーチ (ピアノランド③)
2. 木幡 百花 (小4) たからのダンジョン (ピアノランド③)
3. 田中 泉妃 (小3) 動物園は大さわぎ (ピアノランド④)
4. 市原 ひまり (小5) 哀しい戦士 (ピアノランド⑤)
5. 久野 聖空 (中1) 子猫のワルツ (ピアノランドコンサート㊦)
表情豊かなマーチ、不気味な雰囲気が醸し出されたダンジョン、生き生きとしたエネルギー溢れる弾き語り、8ビートで切々と戦士の心を、子猫の表情が音で伝わる演奏……子供達のそれぞれの輝きがベヒシュタインの音色に乗って客席に届きました。私も、連弾していてとても楽しい時間でした。
ミニコンサート
最後の孝之介とのコンサートタイムでは、クリステル・チアリさんのユーチューブの動画を見て、みんなで「どどどど どーなつ」を日本語と英語で♪
ピアノランドフェスティバルでは、「ぴかぴかぼし」 「きつねとうさぎ」 「ぐーぱーたいそう」もクリステルさんと一緒に歌えますから、みなさん、楽しみにしていてください!
今回のコンサートタイムでは、ベヒシュタインのフルコンだったので、他の会場とはまた少し違う味わいがありました。孝之介は、「ベヒシュタインは、クリアで響きがイメージがあるけれど、今回は“豊か”という印象だった」そうです。私は、ドリアンモードの新曲を弾いたときに、音が重なっても重なってもその濃淡が美しいことが印象的でした。ペダルを踏み込んだ状態での微妙な調整が効くので、ブレンドの妙が伝わったのではと思います。
『ふたりで弾こう!ピアノびっくり箱2』の「星に願いを」で低音の鍵盤を音がしないように押さえて上の方で演奏するアレンジでは、宇宙空間に音が浮かんでいるようなイメージが出たと思います。写真はよく見えませんが(すみません!)左腕の肘から手首までを使って鍵盤を静かに下ろしてダンパーを浮かせているところです。←そのために、他の弦が共鳴して、ペダルとは全く異なる不思議な響きが生まれます。
びっくり箱の「メリーさんの羊」から始まる4曲×2パターンのアレンジによる「お話組曲」は各地で大好評で、疲れた子供たちもここで復活(笑)。
7月25日は、いよいよ最後の贈り物ツアーです。一期一会のワークショップ、公開レッスン、コンサートをお楽しみにおでかけください。
そして、ピアノランドフェスティバルでお逢いしましょう!
2018年 7月 25日(水)
樹原涼子の 未来に手渡す音楽の贈り物ツアー in 表参道
10:30~ カワイ表参道 03-3409-2511
2018年 8月 2日(木)
ピアノランドフェスティバル2018東京 vol.19
「歌うピアノランド 壮大なピアノランド物語を聴こう! 歌おう!」
開場:13:00 開演:13:30 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール(東京都渋谷区)
ピアノランドメイト事務局 03-5742-7542 info1@pianoland.co.jp