札幌、仙台のツアー 「再発見したことは深い!」
久しぶりにピアノランドシリーズの新刊を作っています!
そんな時期に思いがけず熊本地震があり動揺しましたが、スケジュールは待ってくれません。
5月26日のピアノランドマスターコースを終え、その日のうちに札幌入り、27日はカワイ札幌、28日はカワイ仙台で、かけはし芸術文化振興財団主催の「ピアノランドのミュージックデータを使って、ピアノランドの世界をさらに広げるセミナー」を開催いたしました。
トランクには、セミナーの準備の他に新刊の原稿一式を持って、ホテルでは夜中まで編集者やイラストレーターとやりとりをしながらのセミナーの旅。
と言うと大変そうに聞こえますが、つい先日熊本にプライベートで帰省して両親の顔を見て安心したこと、ピアノの先生方のためのお見舞いコンサートで喜んでいただけたこと、よく知っている方達が「くまもと音楽復興支援100人委員会」を立ち上げ、楽器支援や演奏でお手伝いすることが決ったり等、精神的に元気を取り戻し足取りも軽く出かけることができました。
(熊本でのことは、また改めて書きます)
5月27日は、一昨年オープンしたカワイ札幌のホールChou Chou(シュシュ)で、Shigeru Kawai を演奏しながら、iPhoneアプリ SOUND Canvas for iOSを使ってピアノランドのミュージックデータを再生、Bluetooth対応のスピーカーを使用して聴いていただきながら、これまでとは異なる発想で“聴く力”をみるみる伸ばしていく方法を沢山ご紹介しました♪
音楽は時間の芸術ですから、時間軸をしっかり捉えて音楽することを習慣にして、音楽表現のクオリティを上げましょう!
漠然とレッスンしていても“時間の目盛り”は育ちません。
教える人がはじめから緻密なテンポ感の目盛りをつけることを目標にしていない限り、目盛りがアバウトなまま大人になってしまう……。
札幌では樹原涼子のセミナーに初参加の方が半数であるにも関らず、ピアノランドのミュージックデータの活用率が格段に高く、熱心な方々がお集りいただいているのだと感激。
演奏家レベルのテンポ感覚の育成を図る必要性とその方法について事細かに提案していくと、先生方の目の色が変わっていきます。
「ピアノランドシリーズの様々なレベルで何をどのように聴くことを教えればよいのか」、具体的に様々なアプローチをご覧いただき、参加したみなさんの耳が今ここででみるみる開いていくのを見て、「さっきと違う聴こえ方になった!」ことを実感していただきました。
講演の最後には、『ピアノランドコンサート』下巻より「風の平原」をコンチェルト形式で、「子猫のワルツ」の連弾もコンチェルト形式でミュージックデータとの共演をお聴きいただき、
「ミュージックデータに合わせるだけで生徒には大変と思っていましたが、データの中の音楽の動きや意味を知らずに聴けていない状態では、無理だったのですね」
「データの中の楽器、フレーズと生き生きと音楽をやり取りして感じあいながら表現していく方法を知って驚きました! 生徒に聴く力をつけなければ単にメトロノームと同じ。拍と拍の間にこそ音楽の素晴らしさがあることが、よくわかりました」
と、熱い感想をいただきました。
人は、知っているようで知らなかったことに出逢うと、「何も知らなかったんだ!」と、大発見するのですね。
改めてその深さに足を踏み入れると、泉のように学ぶ意欲が湧いてくるのだと、みなさんの反応に感動しました。
違いを聴いて実感していただくためにセミナーは本当に大切で、「行ってよかった」と思う瞬間でした。
終了後に、カワイ札幌支店長の合田さんと記念撮影。
お忙しい中セミナーをお聞きいただき、内容や楽曲のクオリティをお誉めいただき、とても嬉しく存じました。
セミナーの後は、札幌での勉強会(ピアノランド、聴きとり術クラス)に参加しているみなさんがランチを計画してくださって、ホッとする一時。
ランチではリズムボールの脱力について質問をいただき、その場で“脱力”を体感していただけて問題解決!という楽しい副産物も♪
“聴きとり術”勉強会の成果や“二段階導入法”でレッスンがどのように変わったか、みなさんの報告を聞いているうちにあっという間に時間が経ち、解散直前に写真を撮り忘れたことに気づき、半分以上の方が帰ったあとでパチリ。ごめんなさい!
そして、セミナーツアーの一行は仙台へと向かいました。
仙台は、ほとんどの先生がレッスンをしている土曜日、しかも、告知期間が1ヶ月(急遽開催が決ったセミナーだったので)ということもあり参加者は少なかったものの、だからこそ熱く伝わったものもあったのではと思います。
ミュージックデータを使ったことがないという方は「絶対に使いたい!」という気持ちに、すでにお持ちの方は「宝の持ち腐れにならないよう、きちんと使おう!」と、明るい表情でお帰りいただけてよかったです。
「ゆかいなロックンロール」を移調してブルース進行のアンサンブル。データがあると楽しい!
やはり、自分が子どもの頃に習わなかったことを教えていくには、勉強が必要です。
時代と共に進化した教育方法で指導していきたいという、前向きな方がいらっしゃる限り、日本の未来は明るいと確信します。
ピアノランドメイトの入会方法を尋ねてくださる方が多く、今回のツアーを充実した気持ちで終えることができました。
参加いただいた皆様、お世話になった楽器店のスタッフの皆様、企画運営のかけはし芸術文化振興財団の皆様、ありがとうございました!
仙台でも「子猫のワルツ」をミュージックデータとのコンチェルト形式でピアノランド勉強会講師と連弾♪
カワイ仙台も近々にリニューアルされる予定とのことで、また、仙台にお伺いするのが楽しみです♪
こうして、遠くに出かけて行く度に多くの方と出逢い、新しい何かに繋がっていくのは素晴らしいことです。
ピアノランドを書き始めた頃には、電子楽器と縁ができるとは予想していませんでしたし、その上、今ではiPhoneアプリを使って高度な練習ができるようになるなんて、夢にも思いませんでした。
これからも、時代の変化を怖れず、変化を楽しみながら進化していくことをモットーとして、音楽を愛するみなさんとご一緒に頑張ります。
終了後に、仙台在住のソプラニーノ奏者の荒川知子さんのお母様でピアニストの荒川幸子さんが駆けつけてくださって、9月6日の知子さんのCD「しあわせの木」発売記念コンサートのチラシを頂きました。
知子さんのために私が作曲した委嘱作品「海風に乗って」が収録されており、コンサートでは私もその曲で共演いたします。
東北の震災支援活動で知り合った荒川さんご一家は熊本の震災支援にも心を尽くしてくださっていて、セミナーツアーの折りにお目にかかることができて嬉しい!
札幌、仙台のみなさま、また、お会いしましょう♪