「『音大卒の戦い方』出版記念シンポジウム」にパネリストとして参加しました♪

「『音大卒の戦い方』出版記念シンポジウム」にパネリストとして参加しました♪

2月28日(日)は、『「音大卒」の戦い方』出版記念シンポジウムに、パネリストとして参加いたしました。(於 ヤマハ銀座スタジオ)
大内孝夫先生の前作『音大卒は武器になる』(ヤマハミュージックメディア刊)以来、音大卒業生の進路について、音楽業界全体で考えていこう!という方向性が生まれたことは本当によいことだと思います。
そのシリーズ第2弾『「音大卒」の戦い方』では、みずほ銀行から武蔵野音楽大学の就職課に転身された珍しい経験を存分に活かして、音大卒業生に向けて具体的な提案をされています。
昨日はその本の出版記念シンポジウムとあって、音大生、指導者、各地の音大関係者のみなさん、取材の方も多数集まり、著者である大内先生の基調講演後、各界からのパネリストが音大生にエールを送りました。


 (上はリハーサル、下は本番の写真です)
 
写真 2016-02-28 13 02 30
写真 2016-02-28 15 15 05
 
大内先生の講演では、日本の一世帯あたりの収入がどんどん減り、派遣社員などの働き方が増えていく中で、音大卒業生はどのように生き抜いていったらよいのか、沢山のグラフを使って解説しながらの説得力のあるお話に、会場はぐいぐいと引き込まれていきました。
演奏家がピラミッドの頂点に立つという考え方ではなく、「演奏」「指導」「一般企業に就職すること」はそれぞれ並列であり、その中から自分の適性に合った道を選ぶ、というお話は心に残りました。



〈シンポジウム〉
司会の山浦直宏さんは、国立音大の管楽器で大学院へ、そして広告代理店、ファーストリテイリング等を経てトランスコスモス(株)で主席コンサルタント、立教大学経営学部他で教鞭をとっていらっしゃるそうで、他分野でバリバリとご活躍の「音大卒」。
まずは、音楽家になるばかりが音大卒の進路ではない! というお手本として、和やかにシンポジウムを進行してくださいました。

ピティナの福田成康さんは、ピティナの事務職で採用している音大卒のみなさんの優秀さ、音大は素晴らしい人材の宝庫であると力説、特にピアノを演奏している方の優秀さについてお話されました。

三井物産(株)の執行役員である堀健一さんは、仕事ではお互いがお互いを「値踏み」する値踏み合戦でもあり(笑が起こりました!)、リベラルアーツ(一般教養)としての音楽を深掘りしているみなさん(音大生)は素晴らしいとお話されました。
「1つのことを極めるということに対して人は敬意を払うでしょう?」本当ですね!

全日空の客室乗務職採用担当の田邊彩乃さんは、趣味で合唱団に入った活動経験が役立ったこと、自分はメゾソプラノを担当しているが、それはソプラノになれなかったのではなく、音域が違うという適性の違いであるということ等、ピラミッド型の考え方ではなく自分の適性を見極めてという、大内先生のお話に通じるお話をされました。


ほんの一部しか触れられませんでしたが、主催のヤマハミュージックメディアやムジカノーヴァ他でも詳しいレポートがあることでしょう。
私にとっては、他分野のみなさんの貴重なお話を伺うことで、とても有意義な時間となりました!
このシンポジウムを通じて、音楽を学ぶ人にも様々な選択肢があり、学んだことに誇りを持ち、有意義な人生を送ることができるという自信をもっていただくこが出来たのではないかと思います。
大内先生の著作をきっかけに、「音大卒」の未来が明るくなることを祈ります!



「それで、樹原先生はどんな話を?」とスタッフに訊かれたので、以下、簡単に。

樹原涼子がお話したこと、伝えたかったことは……時間が短かったので少し付け加えつつまとめます。

●音大に行ってよかったことは?
音楽を、様々な角度から学べたこと。音楽以外の一般教養も学べたこと。
武蔵野音大卒業後に改めて勉強しようと購入した本は、音大でお世話になった先生方が執筆されている本でした!
なんと恵まれた環境で勉強できたことでしょう。
もっと勉強すればよかったのは、語学!

●私から音大生へのメッセージ
私は、音大生のみなさんに、“自分は音楽とどのように関って生きていくのか”を、自分の頭で考えて、決断して、行動することの大切さについてお話しました。
どんな状態を自分は“幸せ”だと感じるのか、それを明確にして、そのためにはどうしたらいいのかを考えて生きていくこと。

「ピアノを弾くのが好き」を将来の自分とどう結びつけるか考えた場合、練習するのが好き、人前で弾くのが好き、教えるのが好き、演奏してお金を得たい、というのでは、それぞれ全く準備が異なります。
はじめの2つは他の仕事で生計を立て、アマチュアとして音楽を楽しみながら生きていくという選択もできます。
後ろの2つは、教えるための勉強、プロとして通用するための準備が必要です。
夢を現実にするためには、自分の考えや力を見極めて、具体的なプロセスを持つことが大切です。


音大の先生や親御さんが生きてきた時代と現在ではあまりにも時代が変わり、過去の考え方では乗り切っていけない局面も多くなりました。
いつの時代でも、年長者のいうことに「素直に従う」のではなく、(それを参考にしながらも)自分の頭で考えて、自分の人生を切り開いていく必要があると思います。

●仕事のポートフォリオの見直しをしましょう!
『「音大卒」の戦い方』の168ページに「仕事のポートフォリオを組み替える」という項目があります。
大内先生が書かれている通り、人生の折々に、度々、仕事で得られる資産構成の中身を組み替えて、よりよい時間の使い方、お金の使い方を考えるといいと思います。
振り返れば、私は、音大卒業後、かなり、人とは異なる時間とお金の使い方だったと。
(原稿を書いたり作曲したりする時間を捻出するために、テレビは見ない、持たないという選択をして、本を1冊読むならそれを講義するつもりで読む、生活費を節約して収入の多くを勉強に使う、etc.)

人それぞれの価値観を大切にして、親の望む幸せより自分の望む幸せを、人から羨ましいと思われるためではなく、可能な限り自分が生きたいように生きていけたらと思います。
誰も、他人にはなれない。
自分自身であることに胸を張れるように! 音大卒、頑張れ!と思った一日でした。
大内先生、ご出演の皆様、ヤマハミュージックメディア、ヤマハ銀座店のスタッフの皆様、貴重な機会をありがとうございました。


GTB01091937
樹原涼子
PAGE TOP ↑
single-diary.php