きれいな音色で弾かなくては、そのタイミングで弾かなければ、意味がない
長いことマスターコースやコード塾で講義をしていると、
伝えたいことがたくさんあり過ぎて、どれも大切で、本当に困ってしまいます。
よく、セミナーの後に「頭を振ったらこぼれそうなので、こぼれないように気をつけて帰ります」とか、
「樹原先生は、出し惜しみされないんですね」と言われるくらい、盛沢山になりがち。すみません...。
音楽は宝の山だらけで、掘っても掘っても宝物がつきません。1つ講義したら、
次のアイディアがスッと降りてくる。不思議なもので、出し惜しみしない方が、どんどん生まれてくるんですね。
あるセミナーのために考えたことが、後々の大きな基盤になることも多いので、講義内容を考えるのは大好きです。
そんなわけで、今年も勉強好きな音楽家のみなさんと一緒に、いろいろなセミナーや勉強会
(もちろんコンサートもやりますよ〜!)で研究を深めていく予定。その中で、特に忘れたくないことが2つあります。
どんなにコードの仕組みがわかっても、和声分析できても、ピアノを弾くのならここが出来ていないとね...という大切なこと。
それは...
「きれいな音色で弾かないと、聴く人の心に届かない。聴く気にさせる美しい音、自分でもずっと聴いていたい音で演奏しなくちゃ」
「拍子感を持ってドライブしましょう。もしもテンポや拍子、リズムに関係のないタイミングで音が出たら、
もしも指が迷ってタイミングが狂うくらいなら...その音は弾かない方がいい。音は、そのタイミングで弾かなければ意味がない」
昔、新宿にヤマハがあった頃、『ピアノランドたのしいテクニック上』のセミナーで
「きれいな音でなくちゃ弾く意味がない、タイミングが狂うならその音は弾かない方がいい」と言ったら、
会場がどよめいたことを鮮明に覚えています。
若いのに生意気だと思われたのか、厳し過ぎると思われたのか、痛いところに届いたのかはわかりません。
でも、本当にそう思っています。そう思い続けて、セミナーをしています。
指が早く動いても、汚い音の羅列だったら聴きたくない。独りよがりなテンポやリズムでは聴く気がしない。
そういうことは、はじめにハッキリさせておいた方がいいと思うのです。
きれいな音で弾こうね。
正確なテンポで、拍子を感じて弾こうね。(もちろん、ステキなアゴーギグをするためにも!)
当たり前だけど、徹底させるのはとても難しいこと。難しいけれど、出来たら、本当に素晴らしいこと。
そして、音楽家を目指すなら絶対に必要なこと。音楽が好きなら、絶対に出来た方がいいこと。
教える人に、いい加減にして欲しくないことです。
演奏する曲の難易度に関わらず、どの楽器を演奏する人も、その楽器から引き出せる
最も美しい音色を奏でたいと思うことです。出ちゃった音...ではなく...。
そして、次の音を発するべきタイミングを、流れている時間の中でみつけること。その瞬間に、美しい音を奏でる。
それが、優れた音楽家にできて、素人に難しいこと。
だから、そこを目指せばよいのです。まっさらな子ども達も、アダルトビギナーも、音大受験生も、
ピアノの先生も、初心に返ってみんなにマスターしてもらいたいこと。
1月26日(金)倉敷市芸文館アイシアターでのセミナーは、ピアノ曲集『こころの小箱』を題材に、
「美しい音の出し方」「音楽の流れの中で次の音を出すタイミングをみつける方法」
「ペダルで美しい響きをデザインする」「ソロの醍醐味」「連弾の醍醐味」「左手だけのピアノ曲」
「オスティナート」等、チラシには書ききれなかったテーマを踏み込んでお話していく予定です。
ピアノの先生だけではなく、ピアノファン、アダルトビギナー、生徒さん、お家の方もどうぞお出かけくださいね。
詳しくはこちら。
午後は、ピアノソロ曲の公開レッスンも。どうぞお楽しみに!
そして、3月2日(金)は、吉祥寺スターパインズカフェで「樹原涼子のひな祭」。
スタパならではのプログラムをお届けしますので、楽しみにいらして下さいね!
昨年のひな祭りライブは、ゲーム『俺の屍をこえてゆけ』のリメイク版発売記念で
「俺屍復活祭」を開催、ニコニコ動画で生中継されましたっけ。
昨年秋には、無事『俺屍R』と、CD「俺の屍を越えてゆけ」 コンプリート・サウンドトラック
〜いつか きっと〜が発売されたので、ライブ当日にお持ちいただいた方にはサイン会をします。
もちろん、当日サントラCD他、私のCDもお求めいただけます。
あれよあれよという間に、今年のスケジュールが始まってしまいました。
みなさん、インフルエンザにお気をつけて!