樹原涼子 ようこそピアノランドへ!

 
 
 

なぜそのように書かれているかを学んだ人は少ない!

 ピアノ曲集『こころの小箱』(音楽之友社)を題材に、~作曲家自身が楽曲分析と演奏のポイントを解説!~というセミナーを開きます。9月21日さくらホールにて。
それで、改めて自分の曲をちゃんと分析しているのであります。

 「なるほど!」と気づいたことがあります。他の作曲家の曲を弾くときはいつも、曲の流れを意識的に聴いて(読譜するときも和声の流れを頭の中で聴いている)います。だって、自分で書いていないので、次の展開はどうなるのか、注意深く譜面を見たり聴いたりしてストーリーを追いかけていくわけです。
 ところが自分の曲はといえば、どんなストーリーかわかっているものですから、改めて、つきつめて分析する必要に迫られていなくて...結構新鮮な経験をしました!

 もちろん、大きな構成や組み立ては意識しているけれど、細かい音使いは本能的に書いていて、いちいち考えてない。あ、こういう言い方は誤解を招くかしら。
 言い直せば、美しい自然な流れ、自分の気持ちに一番合った細部の音使いは、必然的な内的欲求に基づくもので、音楽理論に照らし合わせて選んでいっているわけではない、という意味。たった一音でも譜面に書けば、次の音はいつも、自然に生まれてくるものだから。

 それで、丁寧に分析していくと、「そうか、そういうことをしていたのね、ここでは、ああなるほど、うんうん、なかなかいいかも、へ~、あ、そっちの調に行くわけ? また面白いことして...」などと独り言を言いたくなってしまう。
 それで、樹原涼子は最近こういう曲を書いているのか、と思いました。
 人の曲を見るように勉強してみると、自分の特徴も客観的にわかってくる。

 『こころの小箱』に関しては、本当に、みなさんには感じたままを素直に演奏していただけたら嬉しいので、解説なんかいらないかしら、とも思います。
 でも、作曲者から、解釈の可能性や表現方法の選択肢について話を聞いたり、実際の演奏を聴いていただくと、おそらく他のどんな曲にも通じる「作曲者の想い」を楽譜に表現していくための手段について、とても多くのことがわかるのではないかと思うのです。作曲家が選ぶ次の音符の意味や、楽語や記号の1つ1つが、きっと面白く感じられるのでは、と、何だか楽しみになって来ました。

 書いてあることをどのように弾くかは習っても、
 なぜそのように書かれているかを学んだ人は少ないように思います。
 そんなことが伝えられたらいいなと、芸術の秋の夜は更けていきます。

 音数の少なさで勝負しているかのような、曲たち。
 弾く人も、これで勝負しなくてはいけないので、きっと大変。
 特に、タッチとペダルへの要求度がとても高いから...。
 作曲ってなんてやり甲斐のある仕事でしょう!
 そしてピアノ弾きってなんて楽しいんでしょう!


 先日は、ちょうど今話題の「俺の屍を越えてゆけ」の主題歌になっている「花」の楽曲分析やレッスンを、ピアノランド勉強会講師にしました。かなり演奏できる人達でも、解説をしてからコードを意識したレッスンをすると、凄く変わります。
 音楽って面白いなと思います。音符を弾くのと、曲を弾くのは違うんですね。

 「花」をCDのように演奏したい人には弾き語りバージョン、初心者には味わい深いビギナーバージョン、上級者にはとにかくカッコいい演奏会用ピアノソロバージョンをおススメしますが、ピアノの先生やプレイヤーの方たちには、その3バージョンの音使いの違いを勉強してもらえたら嬉しいです!
 ゲーム「俺の屍を越えてゆけ」のファンの方は、「花」ビギナーバージョンおススメです。弾けたら泣けます(笑)。それから、「リンダ3」の「TRY AGAIN」の弾き語りバージョンの楽譜も入っています。各曲のエッセイも読んでね!

 今、それらを収録した楽譜"The Four Seasons ベスト・セレクション"(リットーミュージック)をテキストにしたコード勉強会を各地で始めています。この楽譜からコードを学び始められるんですよ~! すごく楽しいので、興味のある方はピアノランドメイト事務局までお問い合わせくださいね。
  
 
 「俺の屍を越えてゆけR」(11月10日発売のリメイク版)の「花」のア・カペラコーラスバージョンの触りが聴けたり、新旧のCMがアップされているので、ピアノの先生達もよかったらこちらを覗いてみてくださいね。音楽はすべて私が書いています。
http://www.jp.playstation.com/scej/title/oreshika/gallery.html 

 ピアノ曲、ゲーム作品、分野は違うように見えますが、私の中ではみんな音楽。
ピアノファンの方もゲームファンの方も、どちらも聴いていただけたら嬉しいです。

 
 もうすぐ涼しくなるそうで、本当の秋が待ちどおしいですね。
 お元気でお過ごしください!

2011年09月18日 樹原涼子
ピアノランドフェスティバル ピアノランドメイト入会のご案内


〔CD〕樹原涼子ピアノ曲集「こころの小箱」(2枚組)
〔CD〕樹原涼子ピアノ曲集「こころの小箱」(2枚組)
ピアノ曲集「やさしいまなざし」
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〔CD〕風はどこから
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ピアノ曲集「夢の中の夢」
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ピアノ連弾のための「ラプソディ第1番」
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ピアノ曲集 こころの小箱
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樹原家の子育て ―ピアノランドと笑顔の毎日―
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